【前編】ダイバーシティ経営には何が必要か『女性活用のルーツを紐解く』

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笹尾佳子
ダイバーシティ経営、という言葉があります。多様なバックグラウンドをもつ従業員による様々な視点や考え方を事業に組み込むことで、経営改善や向上を目指すというものです。そして、その方策のひとつとして、女性の活躍支援があります。レオパレス21でも、この数年大きく舵を切って人事制度や研修でのフォローアップを図ってきました。そうした動きについて、笹尾佳子(ささお よしこ)社外取締役に伺いました。

とらばーゆで転職した読者からの感謝の手紙には感激しましたね

Q:まずは笹尾さんご自身の就職活動について教えてください。

A:私は、母が仕事をしていたこともあって、自分も細く長く仕事をしていきたいと思っていました。法政大学の法学部に進学したのも、公務員や教員などを目指せるかなと思っていたんですね。ただ、当時は糸井重里さんなどコピーライターが全盛で、私も憧れてマスコミ塾に行ったりしていました。ところが、一浪・コネなし・4年制の女子大生ですし、男女雇用機会均等法の施行以前でしたから、面接はおろか書類選考もままならない状況でした。そんなわけで大学の就職部に相談したら、ここなら雑誌も出しているみたいだからと紹介されたのが、リクルートでした。1984年のことです。

Q:当時、仕事は面白いと感じましたか。

A:営業で毎日のように飛び込みを100件も行っていましたから、とても勇気のいる仕事でしたね。ちょうど「とらばーゆ」が創刊されて、働く女性を応援する雑誌ですよと企業に啓蒙して回っていたので、社会を変革していくのだという気概はありました。営業して出稿いただけた求人広告でも、コピーライター志望ですから、自分でも制作に関わっていました。仕事で得る喜びも多く、とらばーゆで転職された読者の女性からのお礼のお手紙に感じ入ったり、自分が採用に関わっていた小さな会社が5年10年後に上場したりすると私まで誇らしく感じたものです。自分は単なる求人広告の営業ではなく、企業の成長を支援するためには何でもするというポリシーで仕事に没頭していましたね。

メンバーと必死に取り組んだ“やけのやんぱちキャンペーン”を機に、マネジメントに目覚めました

笹尾佳子
Q:初めて管理職になられたのは、いつ頃か教えてください。

A:入社6年目、ちょうど30歳頃ですね。営業だけでなく制作、アシスタントも含め、部下が30人ほどでした。女性だからという気負い以上に、サラリーマン人生では一つひとつのジョブをクリアしていかないと先に進めないという覚悟のほうが強かったかもしれません。苦労はしましたが、マネジメントが天職だと感じる出来事がありました。あるクォーター(4半期)の最初のひと月を終えた時点で、全国30営業所のうち売り上げが最下位だったのです。このままでは終われないと思い、「やけのやんぱちキャンペーン」と銘打って、まずは不足分の2億5000万円をみんなで想像し合って勝手に読み数字を作るところから始めました。その後、その営業計画に沿って動き出したら徐々に数字が積み上がっていき、最終日には目標まで1000万円を切っており、メンバー全員が少しずつ数字をかき集めてきて達成できたのです。組織が自分との関わりでこんなにも変わるのを目の当たりにし、マネジメントの奥深さにのめり込みました。

Q:それで、早稲田ビジネススクールに行かれたのですね。

A:どんな組織を任されても、最低限業績を上げられるような勉強をしたくて、一年間リーダーシップ理論を学ばせていただきました。ただ、組織のステージによってマネジメントの手法も変わるという論文も書いたのに、リクルートに戻った最初の職場で、私自身その組織に応じたマネジメントができていなかったようで、メンバーが離れていくという経験もしました。リーダー目線に凝り固まらずに、メンバーの目線に立ってコミュニケーションをとる大切さを実感する良い機会になりましたね。

入社3年目までにやりがいを感じる仕事経験をさせると定着率が上がります

笹尾佳子
Q:そうした経験は、その後、介護の会社で経営再建する際にも生きましたか。

A:そうですね。組織を変えることから、企業を変える経験をしてみたくて、東京電力への転職を経て、2007年に子会社の東電パートナーズで介護事業の再構築に取り組みましたが、そこでは社員の8割が女性で離職率が30%強という状況でした。ということは3年で全員が入れ替わってしまうわけです。まず大切なのは組織の健全化だと考え、目標を明確にしたり情報をきちんと共有するなど、メンバーがモチベーションを上げられるような環境づくりに取り組みました。その上で、それを推し進めるために研修などで人材育成に力を入れました。

Q:笹尾さんが目指されたように、細く長く、女性が働くためには、何が必要でしょうか。

A:女性の場合は、入社3年目までにやりがいを感じる仕事体験をさせることが定着率につながります。また、20代でいくつかの職種を経験させると、将来、管理職になりやすいとも言われています。実際、結婚・出産といったライフイベントが始まる前に、視野を広げておくことは有効でしょう。また男女問わずですが、家庭に入れば自分が家庭を守るという気持ちでやっています。子どもを守り、ご近所や親戚との関係もうまく行い、自分が理想とする家庭を築くという思いがありますが、それは仕事に置き換えれば中間管理職そのものです。その点から女性は比較的、上手くこなせるのではないかと思っています。

(プロフィール)
株式会社レオパレス21 社外取締役
笹尾 佳子
1984年に株式会社リクルート入社。『就職情報』『とらばーゆ』『じゃらん』『ゼクシィ』などの営業を経て、2000年、株式会社リクルートスタッフィングで営業アウトソーシング事業の立ち上げに関わり、4期で100億円ビジネス規模に成長させる。2004年、最優秀経営者賞および最優秀ユニット賞受賞。
1992年、企業派遣として早稲田ビジネススクールに国内留学。リーダーシップ理論を学ぶ。2003年、法政大学大学院経営学修士取得。
2006年、東京電力株式会社への転職を経て、2007年、同社の子会社で介護事業を行う東電パートナーズ株式会社に常務取締役として経営再建に入り、2年で黒字化を実現。
2012年7月から同社代表取締役を務める。
2015年より株式会社レオパレス21の社外取締役に就任(現任)。
中小企業診断士、介護福祉士。
法政大学大学院政策創造研究科坂本光司研究室特任研究員。
中央大学大学院戦略経営研究科博士後期課程入学(佐藤博樹研究室)。
著書:「業界未経験で、初めて企業再建いたしました」朝日新聞出版


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