【前編】認知症社会の見守りサービス『高齢者を“意識させずに”見守る〜株式会社ソルクシーズ〜』

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高齢社会になり、65歳以上の4人に1人が認知症予備軍とも言われている現代の日本。そんな中、一人暮らしや老老介護となっている親の生活を、離れて暮らしていても見守れるような仕組みが様々考えられてきています。そうしたサービスのひとつ、「いまイルモ」の開発・普及に携わられている、株式会社ソルクシーズIoT事業推進室執行役員室長の中島秀昌氏と、同グループサブリーダーの豊田章義氏に、社会背景や今後の可能性について伺いました。

見守る側から異変に気づけるサービスが画期的

Q:高齢者の見守りシステムの開発をされたのは、なぜか教えてください。

中島:当社は主に、金融システム関連が強いソリューションカンパニーですが、子会社の中にはハードウェア関係に強い会社もあり、そこで「製作していたセンサーを活用して、実商品で社会貢献ができないか」と考えたのがきっかけです。また、実は私自身の義母も年老いて、自宅で家内が介護をしていたのですが、一日中ずっとそばに居られるわけでもなく、こうした見守りの仕組みがあればと実感いたしました。そこでアイデアを提案したところ、事業化が実現したのです。試作や改善も重ね、本格的に展開して2年ほどになります。最近では、山形県川西町や愛知県豊田市など自治体とのコラボレーションも始まっています。

Q:既存の見守りサービスとの違いはありますか。

中島:従来こうしたサービスを提供されていたのは、電気・ガス・電話などインフラ系の事業会社や警備会社が多かったように思います。電気ポットの使用状況を、安否確認に役立てるといった考え方のものもありました。「いまイルモ」のコンセプトは、日頃の生活パターンをデータから読み取って、見守り対象の方の異変にいち早く気づいて差し上げようという考えです。具体的には、モーションセンサーで、設置場所におられるかの所在を確認し、同時にその場所の温度・湿度・照度をモニタリングすることで、生活パターンに変化がないかなどを察することができます。

豊田:あと考えたのは、設置が大掛かりになり過ぎないことです。お住まいにカメラを据え付けたり、ペンダント型の機器を身につけていただくのは心理的な負担も大きくなります。意識した結果、生活パターンを変えられてしまったりして、かえって実際の状況が分かりにくくなってしまうものです。「いまイルモ」は、スマートフォンくらいの手のひらサイズで、落としても壊れず怪我もしないように、軽量化し、角も丸くしてあります。通常壁などに設置してご利用いただきますが、居室内で存在感が出過ぎないよう、シンプルなものとなっています。設置も10分あればできますが、そうした簡易さは、商品をご案内していても喜ばれますね。

離れて暮らしていても、「同居しているかのように」見守れることが大切

いまイルモ
Q:設置するのは、どのような場所か教えてください。

中島:基本は3台一組で、高齢者の動線と考えられる、「居間・寝室・お手洗い」の3ヵ所に置くのをお勧めしています。昼間は居間、夜間は寝室に居られる様子を見守れますし、お手洗いに行かれている時間や回数もチェックできますので。試行錯誤もありましたが、やはりこの3ヵ所ですね。就寝中は、約2時間ごとに寝返りを打つ人が多いそうなので、その状況も確認ができます。それぞれの場所に居ない時には、「○分前まで居間にいました」といったメッセージが出ます。お部屋の数が多ければ台数を増やすこともできますし、逆に、例えばワンルームであれば1台だけというのも可能です。

豊田:インターネットにつながっていることで、見守る側のお子様が、パソコンやスマートフォン、タブレットで管理画面をチェックできる仕組みになっており、設置場所にインターネット回線が無い場合でも「いまイルモ」モバイル通信版をご利用いただくことですぐにお使いいただくことができます。

Q:依頼されるのは、やはり息子さんや娘さんですか。

中島:ほとんどがそうですね。離れてお仕事されている、息子さんや、娘さんが、郷里の親御さんのために導入されることが多いです。設置の簡便さが喜ばれるのは、里帰りされるときに持参され、その場で据え付けてみて、ネット上で管理画面も確認できるからでしょう。親御さんのほうは、まだまだご自分はお元気だという意識が強いですから、自分からこうした見守り機器を検討されることは少ないですね。

豊田:お子さんから設置を勧める際の伝え方としては、「温度が私のほうでも分かるから、熱中症対策にいいんじゃないか?」などと言われると、同意していただきやすいようです。

日ごろの生活パターンを知ることで、会話のきっかけを見つけやすい

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Q:お子さんが親御さんの生活に介入していくタイミングというのは難しそうですね。

中島:私どもが考えているのは、まだまだお元気で心配の少ない、いわゆる「アクティブシニア」の段階での導入なのです。お年寄りというのは、今できていることが、明日には突然できなくなっている可能性があるものです。日ごろから、活動の状況など生活パターンが分かっていれば、些細な変化にも気がつくことができるでしょう。離れて暮らしていると、高齢者の事故などのニュースを見て気になって、親御さんに電話はしてみたものの、「大丈夫?」「心配ないよ」といったやり取りだけで終わってしまったりしますよね。ましてや、これが息子さんであれば電話自体も滅多なことではかけないでしょうし、会話が進まなくて逆に連絡が億劫になってしまうこともあると聞きます。実は「いまイルモ」の効用として、生活パターンが分かっていますから「居間が暑いようだけれど、エアコンは何度にしてあるの?」「最近睡眠時間が少ないようだけど大丈夫?」などと、話のきっかけを得やすいのです。

豊田:様子が分かれば、コミュニケーションも取りやすいですね。親御さんには気遣う気持ちもとてもよく伝わるのか、「うちの息子はよく電話をくれて助かる」などと、ご近所に自慢されることが増えたという声もいただきます(笑)。

(プロフィール)
株式会社ソルクシーズ
IoT事業推進室
執行役員室長
中島秀昌
2010年、前職のIT企業より転職。
当初は中国事業推進室に勤務。
見守りシステムのアイデアを事業化させ、3年半ほど前から「いまイルモ」の販売をスタートさせる。
同システムやベッドセンサーの中国などアジアへの展開も検討したいが、ネット環境のインフラにまだ不安があり、検討中。

株式会社ソルクシーズ
IoT事業推進室
サブリーダー
豊田章義
2011年、技術要員として転職。中国事業推進室から現職に異動して、開発が進んでいた「いまイルモ」の主に販売に携わる。個人ユーザーからの問い合わせ対応の一方で、豊田市でのプロジェクトも担当。山間部など、限界集落に近い状態での独居高齢者の現実にも詳しい。

株式会社ソルクシーズ
コンピュータ、周辺機器、通信機器およびソフトウェアの開発、設計、製造、販売などを行う。
そして2年ほど前から見守りサービスの「いまイルモ」を市場に展開している。
http://www.solxyz.co.jp/

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