【前編】お部屋の遮音性への取り組みを聞く『3つの遮音構造「ノンサウンドシステム」の開発の背景』

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和田稔
賃貸住宅などの集合住宅においては、「音の問題」は三大クレームのひとつと言われ、問題になるケースがあります。そのため、様々な遮音性の向上のための技術の開発が進められてきました。

レオパレス21では、「ノンサウンドシステム」を標準装備し、賃貸住宅の悩みのタネである音の問題に対応しています。上下階の床の衝撃音を最大1/3に低減する「ノンサウンドフロア」、左右のお部屋との間に設置する「高遮音界壁」、水回りの音に配慮した「防音排水管」の3つを合わせたものです。「ノンサウンドシステム」の開発に携わった商品技術統括部の和田稔理事統括部長(写真左)と勘造新一設計課長(写真右)に、開発の背景などを伺いました。

住宅にとっての重要なポイントとなる音の問題への対応

Q:賃貸住宅の音の問題とはどういったものでしょうか。

和田:住まわれている方の隣戸や上下階から発生する生活音や排水音の苦情、例えば人の話し声、テレビの音、音楽、歩いたり走ったりする音、モノを落としたときの落下音など、様々な音がこれまで問題になってきました。また、夜中に洗濯機を回す、掃除機をかけるなど、生活時間帯が違うために問題が起こることもあります。音の問題は、人によって感じ方に違いがありますし、気になる音が異なる場合も多いようです。

勘造:どうしてもSRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)が多い分譲マンションより、木造や鉄骨造が多い賃貸住宅のほうが、遮音性が低いと思われがちです。また音は目には見えない問題だけに、解決策も難しいと思います。建築コストにも影響するため、施工方法の効率化などを図り、居住者の方にも満足してもらうために、様々な企業努力の必要性を痛感していました。

Q:これまで騒音の問題にはどういった対策をとられていたのでしょうか。

和田:当社では管理センターで、入居者様・近隣からの様々なクレームに対応しています。音の問題についても管理センターに寄せられる内容から、どのような対処が求められているかについて、社内で話し合う機会を設けてきました。

勘造:当社アパートにおいても、従前から鉄骨造では、上階の床に厚さ100mmのALC(軽量気泡コンクリート) 敷きを標準仕様にするとともに、遮音性の高い厚めのシート材を敷く、また木造の場合は毛足の長いカーペットを敷き込むなど、日常の生活音や落下音を抑止する対策を講じてきました。さらにタウンハウス(長屋)などにある内部階段の昇降音に対しては、床同様に遮音性の高いシートで壁面を覆ったり、踏板に遮音材を貼ったりして、音の発生を抑えてきました。しかしながら、いずれも根本的な対策にはなっていませんでした。階段から居室までの距離をとるなどの設計の工夫も重ねてきました。

繰り返し行った遮音の測定実験により、ついにシステムの完成へ

Q:遮音構造「ノンサウンドシステム」の開発の経緯を教えてください。

和田:賃貸運営するにあたり、こういった「音の問題」は避けて通れません。2012年5月に、創立40周年事業の一環として、商品のグレードを上げ、デザインを一新、遮音性能をむしろ当社のセールスポイントとし、機能や設備を充実させたアニバーサリーモデルを発表しました。2012年10月には、遮音フロア、高遮音界壁、防音排水管を採用した、アニバーサリーモデル1棟目が竣工しました。この実邸で行われた、遮音性能実験には、特別に社長にも参加してもらい、住戸間界壁の実験(テレビや携帯電話の着信音を最大にして、隣戸に聞こえるかどうかの実験)や、上下階排水音の実験には、100点満点をいただくことができました。しかし対策がまだまだ不十分だった上下階の床の音では60点との厳しい評価でしたので、それに奮起した開発チームは各分野のエキスパートを集結させて、さらに開発に力を入れました。

勘造: 2012年11月には、木造3階建ての第三ショールーム内に測定実験室を新設、遮音実験を繰り返しました。複数の内装・建材メーカーにもご協力いただきながら、設計→施工→実験→解体を繰り返し、約3ヵ月間で計19回もの測定検証を実施、その中で最も効果が見込めた仕様を選択し、2013年2月より第三者機関である財団法人建材試験センターでの測定を開始、こちらでは木造と鉄骨造を合わせ計15回の測定試験を行いました。結果、床に関しても遮音等級で従来より3ランク以上向上することができ、それまでの高遮音界壁・防音排水管に新たに高遮音床を加えた「ノンサウンドシステム」として2013年4月に木造商品、7月に鉄骨造商品の発表につなげました。

上下階の床の衝撃音を最大1/3まで低減することに成功

財団法人建材試験センター:測定風景

タッピングマシン
和田:その後も「ノンサウンドシステム」の完成という結果に甘んじることなくさらなる性能向上を目指し、大手建材メーカーとの共同開発を進め、社内検証および第三者機関によるものを合わせて最終的に計38回もの実験施工・測定試験を実施しました。その結果、従来は越えられないと考えていたハードルを越えることができ、業界最高水準となる「ノンサウンドフロア」の開発を実現、2013年9月には「新・ノンサウンドシステム」として発表することになりました。

Q:「ノンサウンドシステム」の床・壁の工法について教えてください。

和田:壁については、できる限り「構造絶縁」をすべく木造では横胴縁などを採用し、壁から伝わる振動を抑制しています。また鉄骨造では、壁下地を交互に配置し、床から壁に直接伝わる振動を抑えるため、敷目板という緩衝材を採用し、木造同様に振動軽減を実現しました。

界壁仕様_断面模型
勘造:床については、「28mm厚構造用合板+石膏ボード+ALC」を組み合わせ、特殊な遮音材を裏面に敷き込んだフロア材を採用しています。また下階の天井は独自開発の防振吊木による二重天井で、上下階の音の伝導を最小限に抑えました。その結果、上下階の床の衝撃音を最大1/3に低減することができました。
界床仕様_断面模型
Q:排水管の対応について。

和田:上下階の音の問題のひとつに生活排水音があり、特に周囲が寝静まった静かな時間に気になることが多いようです。そこで排水管と防音材を複合した防音排水管を導入しました。一般的に使用されているVU管(硬質塩ビ管)に比べて、平均15db〜19db低減しています。

勘造:防音排水管の導入の結果、騒音環境は「図書館や深夜の郊外」並のレベルとなりました。当社の場合、ワンルームの割合が多く、水回りの音の低減も快適な生活に結びつくと考えています。

防音排水管
(プロフィール)
株式会社レオパレス21
商品技術統括部
理事統括部長
和田稔
1984年に入社。一級建築士。2013年より現職。

株式会社レオパレス21
商品技術統括部 商品開発部 商品設計課
設計課長
勘造新一
1995年に入社。2016年より現職。

「ノンサウンドシステム」について
http://www.leopalace21.com/type/nosound.html

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