【後編】ダイバーシティ経営には何が必要か『女性が活躍できる環境整備の現状と今後、その効用』

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笹尾佳子
22年勤めてきたリクルートで、とらばーゆ、じゃらん、ゼクシィの営業およびマネジャーとして結果を残し、その後は介護事業を行う東京電力子会社で経営再建にあたり、2年で黒字化を実現させた笹尾佳子(ささお よしこ)社外取締役。前編では、女性としてしなやかに男性社会を生きてきた経緯やその都度のリアルな思いを語っていただきました。後編では、レオパレス21のダイバーシティを推進するための取り組みと課題を伺いました。

女性の管理職比率アップには、若いうちのキャリア経験も大切でしょう

Q:レオパレス21で社外取締役就任を決められたのは。

A:レオパレス21がこの数年、人材育成にたいへん力を入れており、会社としてもダイバーシティを推進していくために女性の管理職を増加させるという経営の意志の表れとして女性の社外取締役を欲していたという背景があります。また、シルバー事業もこの会社の成長事業のひとつですが、そこに対しても私の経験を踏まえた助言を求められたのだと感じています。私もこれまで、組織を変えたい、企業を変えたいという思いで仕事をしてきて、この歳になってくると、自分がやってきたことを中心に世の中を変えていくメッセージの発信なり啓蒙をしていきたいと思うようになりました。

Q:女性が働く環境として、レオパレス21をどうご覧になりますか。

A:レオパレス21は、女性社員比率が28.4%、育児休業取得者数は79人、短時間勤務制度利用者数も87人と、女性が働く環境としては恵まれています。ただ、女性管理職は54人と、比率で言えば4.1%に留まっています。当社に限った話ではありませんが、日本の企業では今、様々な施策によって女性の定着率が上がってきているんです。しかしながら、管理職比率はそれに伴って上がっているわけではありません。なぜかと言うと、待遇が良くなっているから皆、辞めはしないけれど、女性が活躍するための施策が足りないんですね。それは、男女平等の人事制度や、性差なく各職種に配置する、若いうちにキャリア経験をさせる、女性でも管理職研修に入れる、女性も長期的に現場のマネジメントをできるようにするといった施策です。実は私自身、この4月から中央大学大学院戦略経営研究科のドクターコースに通っています。ワークライフバランスやダイバーシティに知見のある佐藤博樹先生のもとで勉強させていただいているのですが、そうした研究をもとにして現場にメッセージを送っていきたいと思っています。

女性にも、何が何でも働くのだという“覚悟感”を持ってもらいたいですね

笹尾佳子
Qレオパレス21における、女性活躍支援の施策は十分でしょうか。

A:日本のワークライフバランス制度は、特に育児については充実してきていると思います。レオパレス21でも、制度としては時間当たりの有休取得もできるようになっています。あと必要なのはやはり、女性側の働き続けようという「覚悟感」と、それをバックアップする会社の「風土」「環境」づくりですね。どちらも、研修でフォローしていきます。女性が働き続けるためには、現場のミドルマネジメントのスタンスが一番大事だといわれていますので、管理職向けにも女性の活躍を支援するマネジメントのあり方や意識を醸成する研修を行います。若い女性に対しては、「女性にも活躍してほしい」という経営の意志を私からもお話させていただこうかと思っています。今、考えている内容としては、細く長く勤めていく大切さなどを生涯賃金データなども示しながら伝えるのと、仕事を通じて賢くしなやかに生きていきましょうというメッセージですね。レオパレス21の会社としての対応は女性にとって大変恵まれたものですから、それはきちんと伝えてあげたいと思っています。早まらないでと(笑)。

Q:最近は、夫婦間においてもイクメンという言葉があるように、男性が優しくなっています。子どもを産むことや、子どもを持ってなお働くことに積極的な若い人たちが増えているのでしょうか。

A:そういった傾向はあるでしょうね。また、生活していくにも夫婦ふたりの収入が必要な環境に、日本の社会もなってきている面があります。ただ、ダイバーシティという観点で言うと、女性を応援するということだけでなく、本来は人間間の差を無くすことです。一人ひとりにポテンシャルを生かして活躍してもらうには、どうすれば良いかという問題で、それを会社としては人事制度や研修でフォローしていくことが大事です。

男性女性、外国人、障がい者・・・ 多様な価値観を得ることで企業も成長します

笹尾佳子
Q:レオパレス21はどのようなダイバーシティを目指しますか。

大事なのは、多様な価値観を持つ人が増える中で、自身の価値観をもとに、働き方を選べるということではないでしょうか。男性でも管理職を望まない人が増えています。働く障壁となるのは出産・育児だけではなく、40代になると介護の問題もありますから、男女に変わりはありません。企業としては外国人や障がい者の雇用も進めていくべきで、そうした時には、いろいろな人を効率良くマネジメントできる体制が必要になります。これまでの、男性・フルタイム・終身雇用で時間外労働も厭わない人だけをマネジメントするやり方からは変化していかねばならないのです。そのためには、様々な人が働けるように業務の標準化や見える化をしていくのもひとつの手段でしょう。それができれば企業はしなやかに、生産性も上がって、社会貢献も意識しながら、世の中に本当に役に立つ企業になっていくことができます。レオパレス21でいえば、賃貸事業はじめ、どの事業も地域との関わりなしには成立しませんが、多様化した人材や価値観を受け入れるスタンスでコミュニケーションや行動をしていくことが、まさに地域との関わりにプラスになるでしょう。シルバー事業もしかりで、これを良い形で拡大していくことが地域への貢献となっていくのだと思います。

※ダイバーシティのテーマは今後も続きますのでご期待ください。

(プロフィール)
株式会社レオパレス21 社外取締役
笹尾佳子
1984年に株式会社リクルート入社。『就職情報』『とらばーゆ』『じゃらん』『ゼクシィ』などの営業を経て、2000年、株式会社リクルートスタッフィングで営業アウトソーシング事業の立ち上げに関わり、4期で100億円ビジネス規模に成長させる。
2004年、最優秀経営者賞および最優秀ユニット賞受賞。
1992年、企業派遣として早稲田ビジネススクールに国内留学。リーダーシップ理論を学ぶ。2003年、法政大学大学院経営学修士取得。
2006年、東京電力株式会社への転職を経て、2007年、同社の子会社で介護事業を行う東電パートナーズ株式会社に常務取締役として経営再建に入り、2年で黒字化を実現。
2012年7月から同社代表取締役を務める。
2015年より株式会社レオパレス21の社外取締役に就任(現任)。
中小企業診断士、介護福祉士。
法政大学大学院政策創造研究科坂本光司研究室特任研究員。
中央大学大学院戦略経営研究科博士後期課程入学(佐藤博樹研究室)。
著書:「業界未経験で、初めて企業再建いたしました」朝日新聞出


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