【後編】集合住宅に想定するライフスタイル〜鈴木エドワード建築設計事務所株式会社〜

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鈴木エドワード
エリアや立地など様々な条件を活かして数多くの建築物を手がけてこられた建築家・鈴木エドワード氏。前編ではこれまでの建築物のコンセプトや集合住宅を造る際のこだわりについて伺いました。後編では、建築後に集合住宅に暮らす人々との交流やアフターメンテナンスなどについてお聞きします。

建築家が関わることで、集合住宅全体のグランドデザインができる

Q: 想定するライフスタイルについて教えてください。

A: 15年くらい前に「エディズハウス」というプレハブ住宅を企画したことがありますが、インターネット経由の販売方法で、工場直売やPRをしないというプロジェクトでした。それは「家の中に外がある」というテーマで、家の中心に4.5畳のパティオ(※1)のある家でした。全ての部屋がパティオに向いた、都会の悪条件から身を守る家です。
そのとき、住み手の方々とインターネットで意見の交換をしました。あなたが住んだら、どう暮らしたいですかと投げかけをし、それに答えてくれるというプロセスを大事にしました。「中庭があったら休日にハンモックで読書をしたい」、「子どものプールを置いて遊ばせたい」など多彩な意見が生まれ、ファンクラブまでできました。
集合住宅に、そんなライフスタイルを想定することから始める手法があっても良いかもしれません。

※1 パティオ:スペインやラテンアメリカの住宅に見られる屋内の中庭。床にタイルを張り、噴水や植木で構成されている。

Q:建築家自身が集合住宅に関わることの意義は何ですか。

A:「建築家に頼むと、設計料が掛かるから」と躊躇する方がいます。でも10〜15%の設計料は、建築家が関わることで簡単に取り戻せる金額なんですよ。例えば工事費の見積もりができた場合、建築家がプロの目でチェックするだけで、総費用を抑えられる場合が多いのです。また総合的にデザインすることで、良い形・良い価格で、良い建物を造ることができます。
高額な素材をたくさん使ったからといって、素晴らしい空間ができるとは限りません。どんな設計で、どんな素材を使い、どんなデザインをするか、ほんの少しの工夫で実は違ってくるものです。全部トータルで見ることによって、快適な環境をつくりだせると思っています。
以前造った集合住宅で、土地のオーナーが敷地の北側の1階の部屋を選んでくれたことがありました。一般的に条件が悪いと思われる区画ですが、南からの光も十分に取り入れた魅力的な空間になりました。そういうことが建築家の力だと思います。

暮らす人と建築家の交流が、次の建築へのヒントにもなる

鈴木エドワード
Q:建築後の監理体制などには配慮しますか。

A:デザイン監修で参加した物件は別ですが、私自身が設計・監理(※2)を担当した集合住宅については、建築後、何十年もずっとお付き合いしています。「建物は生きもの」だと思っていますので、完成して終わりではなく、そこからがスタートになると考えています。
監理というとクレームを受けるのが大変と思われがちですが、振り返ってみると、その対処をきちんと受け止めることで次の仕事につながることが多いですね。建築家は造ったものに自信と責任を持ち、そこに暮らす人は愛着を持って住み続けていく、すごく良い関係性が生まれると思います。

※2 監理:設計者が設計図通りに施工が進んでいるかチェックをすること。

インテリアの一部としてアウトドア空間を取り入れた住宅を

鈴木エドワード
Q:今後、日本の集合住宅に求められるのはどんなものですか。

A:やはり、アウトドア空間が大切だと思っています。まだテラスなどに対する評価は低いですが、インテリアの一部として居室と変わらない工夫をすれば、それ以上の魅力的な空間になります。
伝統的な西洋建築は、外敵から身を守る要塞のような建物ですが、伝統的な日本建築は自然とともに生き、自然を活かす建物です。自然の恵みである緑や風、光をできうる限り享受して、自然のエネルギーを活用することで、気持ちの良い暮らしをして欲しいと思っています。
また建物は減価償却されてしまい、新築の時がいちばん評価されますが、住む人が愛情をもって手を入れた建物の歴史的な魅力がもっと評価される時代になって欲しいと思っています。

(プロフィール)
鈴木エドワード
建築家、鈴木エドワード建築設計事務所代表
1947年埼玉県生まれ。
ノートルダム大学、ハーバード大学大学院アーバンデザイン建築学部卒業後、1974年バックミンスター・フラー・アンド・サダオ、イサム・ノグチスタジオ、丹下健三・都市建築設計事務所を経て、1977年鈴木エドワード建築設計事務所設立。
さいたま新都心駅や渋谷警察署宇田川派出所、下鴨の家など、公共施設から個人邸、集合住宅まで幅広く手がけ、グッドデザイン賞、エコビルド賞など数々の賞を受賞している。

鈴木エドワード建築設計事務所株式会社
http://edward.net/

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