【後編】住宅の断熱性能を高める最新技術『「窓」以外の分野でも追求する高断熱』

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江川隼太設計主任
高断熱の建物にするための重要な部分となる窓について前編で解説していただきました。後編では窓以外の屋根から天井、壁、床などの幅広い製品群で高断熱の住まいづくりのサポートをする旭ファイバーグラスの遠藤潤氏(写真右)に新技術について伺いました。そして、その技術を取り入れて賃貸住宅に活かすことについて商品技術統括部の江川隼太設計主任(写真左)にもお聞きしました。

断熱性の高い住まいが高齢化社会にとって効果的な理由

Q:高齢化が進む日本で住宅に断熱が必要な理由とは。

遠藤:高齢化が進むと、家の中での温度差が、健康と密接に関係してきます。リビングや水回りといった部屋同士の温度差、あるいは同じ室内の足元と天井の温度差などが、そこで暮らす人の血圧の上下に直結し、ひいてはヒートショックという現象を引き起こします。お年寄りが浴室やトイレで倒れることが多いのは、こういった室内での大きな温度差が原因となっているものです。一定の温度で保つために、躯体の断熱が求められるのは当然のことと言えます。当社ではグラスウールをはじめとする様々な断熱材を開発することで、建物の躯体の断熱に力を入れてきました。

江川:住宅を供給するレオパレス21としても高齢化に対応することは大切な課題であると考えており、高断熱の住まいを提供することで、入居者様の快適な暮らしをサポートしています。初期投資は若干費用が掛かりますが、熱が逃げにくい住宅にすることで冷暖房費を抑えることができるのもメリットです。

様々な技術で高断熱を実現する努力

江川隼太設計主任
Q: 超細繊維で高断熱を実現する「アクリア」とは。

遠藤:壁や床は、厚くすればするほど断熱効果が上がります。また壁、床、天井そして窓と全てが断熱されることで効果が表れます。当社は、建物の限られた壁の厚みの中で、どれだけ高性能の断熱ができるか、断熱材の研究に力を入れてきました。ノンホルムアルデヒドの高性能グラスウール「アクリア」において、住宅用グラスウール断熱材としては、世界初の超細繊維と世界最高水準の熱伝導率(λ)0.032を実現した「アクリアα」シリーズを発売、基準値である熱抵抗値3.3m2・K/Wを標準的な柱の厚み105mmで実現しました。

江川:一般的に断熱性能は、「熱伝導率(λ(ラムダ)値)」と「熱抵抗値(R(アール)値)」と呼ばれる値で表されます。熱伝導率は同じ厚さの断熱材を比較して熱の伝わりやすさを示す値のことで、その数値が小さいほど熱が伝わりにくいことを表します。熱抵抗値は、実際に使用される断熱材の厚さを加味して、熱の伝わりにくさを示す値です。この値が大きいほど熱が伝わりにくい、つまり断熱性能が高いことを表します。レオパレス21では1棟ごとに断熱性能の計算を行い、立地や建物の断熱に対する特性を考慮して、最適な熱抵抗値の断熱材を選定するようにしています。

Q:部屋の空気質を向上させる換気システムとは。

江川:住宅の高断熱・高気密が進むほど、換気システムが重要になってきます。建築基準法の改正によって2003年より施行された24時間換気設備の導入は、現在では一般的に認識されるようになっています。24時間換気システムには、第1種換気方式・第2種換気方式・第3種換気方式の3種類があり、当社の場合は、最もランニングコストが安く、近年の高気密高断熱住宅において採用実績が多く、信頼性やメンテナンス性の高い第3種換気システムを採用しています。およそ2時間に1回の割合で室内の空気が入れ替わることになっています。

将来的に必要とされる断熱への対応とあるべき姿

遠藤潤
Q:「省エネ住宅・建築物の整備に向けた体制整備」への対応。

江川:弊社の法令への対応としては、現時点で平成29年4月から適用される予定の、建築物省エネ法の基準に、いち早く対応しており、窓の大きさが違うなど、設計が異なる物件1つひとつに対して、断熱材の計算をしています。断熱材の使い方や考え方に関して、年に1回は説明会を開いて社内体制を整えるようにしています。将来に向けた活動として、さらに厳しくなる省エネ基準に対応するため、ZEH(ゼッチ:建物で消費するエネルギーより建物でつくるエネルギーが多い建物)の検討なども始めております。

遠藤:建築物省エネ法の適用については、現在は努力義務なのですが、将来的に適合が義務化されると考えられるので、1棟1棟全ての建物に、いち早く基準に合った施工が必要になると思います。この法律は、躯体の断熱だけではなく、エアコン、給湯器などの使用するエネルギーに関しても規制があることです。今後は照明器具をLEDにしたり、人感センサーを取り入れたりすることで、冷暖房以外の設備でも省エネ化を進め、国が決めた数値より10%くらいは余裕を持って建築する必要があると考えています。

Q:断熱リフォームによって、これからの住宅はどのように変わるか。

江川:高断熱は、住まい選びをする時の大きな指標となっていくと思います。入居者様にもオーナー様にも、高断熱の住宅はメリットが大きいのではないでしょうか。また既存の建物に関しても、今後リフォームなどの対応をすることで新基準に合った住まいの提供ができれば良いと思っています。

(プロフィール)
株式会社レオパレス21
商品技術統括部
商品開発部 システム開発課 設計主任
一級建築士
江川隼太
2014年入社。一級建築士。入社当初より遮音や断熱に関わる商品開発を行っている。

旭ファイバーグラス株式会社
住宅営業部 ハウジンググループ
兼 南関東支店 主席
遠藤潤
1990年入社。2015年より現職。住宅のあらゆる断熱について取り組み、建築物省エネ法についての対策も行っている。

旭ファイバーグラス株式会社
https://www.afgc.co.jp/

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