日本での就職率は3割どまり。就活に苦戦する外国人留学生たち

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日本で就職を希望しながらも、実際には7割の外国人留学生が就業できない現実があります。高齢化が進む日本の社会にとっての活性化につながる、外国人受け入れ態勢の課題に迫ります。

大都市圏・大企業志向の強い留学生の就職希望とのミスマッチ

2015年に海外から日本へ留学した学生の数は、独立行政法人日本学生支援機構の調査によると20万人を超え、10年前に比べると約2倍となっています。これは日本の入試・入学・入国制度の改善や大学のグローバル化の振興によるものです。その一方で、卒業後の日本での雇用については、卒業者数3万9650人に対して就職者数1万1647人と、3割弱にとどまっています。 就職先の企業を所在地で見ると、約半分が東京、次いで大阪、神奈川と、大都市圏で8割を占めています。そもそも留学生の採用に意欲的な企業が大都市圏に多く、留学生向けの合同企業説明会の開催も東京・大阪に集中していることから、地方の大学の留学生にとっては厳しい就活環境といえます。

また、留学生のほうでも昨今の日本人学生と同様、大企業志向が強い傾向があります。母国でも名の通ったブランドの消費財を扱うような有名企業への入社を希望するのは仕方のないことかもしれません。しかしながら、実際の就職先では従業員数300人未満の中堅企業が6割を占め、中でも4割強が50人未満の中小・零細企業となっています。日本の中小企業は大企業の下請けにとどまらず、世界に誇る技術や特定分野で大きなシェアを獲得している優良企業も少なくありません。見た目での分かりやすい企業規模だけでなく、事業内容の研究を深めていくことで、マッチングの機会も広がるのではないでしょうか。

留学生は出だしから、日本社会の「ホンネとタテマエ」に戸惑うことも

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留学生の就活における最大の問題点は、日本企業の就職活動が独特な形態をとっていることでしょう。横並びのスケジュールで開始時期も早く、活動期間も長い上に、選考方法が複雑です。また日本人の学生は、大学の就職課などからの情報のほかにも、家族や親戚の紹介、ゼミ・サークル活動の先輩からの情報提供を受けることもあります。友人同士の口コミやSNSによる独自の情報ルートを駆使している人も多いですが、外国人留学生はそうした輪からも外れがちです。これは、ある意味で日本社会の「ホンネとタテマエ」の洗礼を受けるようなものかもしれません。

そのためにスタートで出遅れてしまい、十分な準備ができないままに就職活動に入るものの結果に恵まれず・・・といった悪循環に陥ってしまいがちです。期待していたような就職先に出会えず、不本意なまま進学する、あるいは母国へ帰国するといった留学生も少なくないようです。

留学生向けの求人情報については、合同企業説明会などのほかにも、近年はインターネット上で留学生を積極採用する企業の特集が組まれることがあります。企業側の新卒採用ページに留学生向けのコンテンツが設けられるなど、留学生に向けた就活の情報発信は増えてきています。それでも、企業側も留学生の採用に関するノウハウがまだ少なく、これまでに採用実績のある一部の企業に留学生のエントリーが集まりやすい状況です。情報を発信する側と受け取る側のミスマッチの解消が望まれます。

会議や電話など、社内外の日本語コミュニケーション力まで求められる?!

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留学生の採用が進まない背景には、留学生に求められている日本語スキルの問題もあります。ビジネスシーンにおけるコミュニケーションでは、日常会話に加えて尊敬語・謙譲語・丁寧語をTPOによって使い分けられるレベルが求められます。もちろん多くの日本人学生と同様に、内定・入社後にビジネスマナー研修などで訓練を受けますが、それ以前に就活においてもエントリーシートや履歴書での筆記能力、面接での会話力が求められます。特に会話においては、日本の企業風土からいっても「話す能力」以上に「聞く能力」が重視されることに、多くの留学生が戸惑います。

理系の技術職や研究職であればまだ、社内のコミュニケーション能力があれば可とされますが、文系の営業職や総務職になると社外の顧客や協力会社との会議・打ち合わせ・電話といった能力まで期待されます。留学生に対する日本語教育では、これまでの大学での学習に必要なレベルの教育に加え、ビジネスシーンで通用するような訓練の提供も必要となります。

また、1人当たりのエントリーが数10社から100社以上にもなる昨今、最初にSPIなどのウェブテストによる選考で機械的に候補者が絞られることも、留学生にとっては大きなハードルです。例えばSPIは、人物像を明らかにする性格テストと、言語分野と非言語からなる基礎能力適性検査で構成されています。日本人には何でもない言語分野でも留学生には四字熟語すら難しく、長文問題の速読や紛らわしい選択肢から答えを選ぶのも大変なことでしょう。最近は、留学生採用を重視している一部大手企業ではこれらのウェブテストを日本人の学生と同等ではなく、独自のウェイトで位置付けることも行われているようです。しかし、実施そのものは今後も続くと見られるため、就活スタート前から問題演習を重ねる努力が求められています。

企業側が留学生を採用する目的は、国籍に関わらず優秀な人材を求めていることに加え、母国と日本両国の良好な関係構築のための架け橋となるブリッジ要員となってもらうためです。また、組織の活性化を目指して、多様な背景をもつ人材登用という意味合いもあります。そのためには、上記のような障壁を少しでも見直したりする、日本人学生とは別に留学生採用を実施したり、選考における優先順位を見直す必要があるでしょう。

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