ミシュラン三つ星を獲得。外国人に人気の岐阜「飛騨高山」の地方創生

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伝統工芸の街として知られる飛騨高山。欧州発のアートも積極的に取り入れ、国際的評価を得た街を紹介するとともに地方創生のヒントを探ります。

訪れる外国人観光客の2割以上は、ヨーロッパから

JNTO(日本政府観光局)による調査では、2015年の訪日外国人の数は1900万人を突破し、過去最高となっています。これは、東南アジア諸国のビザ発給の緩和策や消費税免税制度の拡充、最近までの円安進行による訪日旅行の割安感の浸透などによるものと考えられます。

そんな中、温泉や古くからの街並みで知られる飛騨高山でも2015年の観光統計によると、外国人観光客が36万4000人と過去最高を記録し、対前年比30%増となり、国内屈指の勢いです。そして実は、飛騨高山を訪れる外国人の2割ほどはヨーロッパからの旅行者なのです。訪日外国人旅行者におけるヨーロッパからの観光客の割合は、JNTOによるデータから算出すると約0.5%ですから、飛騨高山は“ヨーロッパ人を魅了する街”であるといえるでしょう。飛騨高山で何が観光客を惹きつけているのでしょうか?

日本を代表する観光地である飛騨高山を分析することで、「地方創生」のヒントを得ることはできないかという視点で考えていきます。

外国人旅行者に優しい街づくりを実現

バリアフリー
訪日外国人観光客の多くが団体ツアーを利用し、旗を振るガイドに率いられての観光となりがちです。また、多くの日本の観光地では個人旅行で訪れて、地図や表記の分かりにくさから、戸惑う外国人の姿も見られます。しかしながら、飛騨高山ではガイド付きツアーに参加しない個人旅行者の多い欧米人であっても、特に不便を感じずに歩けるような街づくりができているのです。

土産物店や飲食店の従業員も、片言の外国語にあとは身振り手振りで、日本人に対するのと変わらない様子で接客に当たります。また、最近では中心地に無料Wi-Fiスポットを12ヵ所新たに整備して、外国人観光客にネット環境の提供を図りました。多様な文化的・宗教的背景を持つ観光客に配慮したサービス提供のための研修会を行うといった取り組みも続けています。観光情報の発信も、インターネットのほか、FacebookやWeiboなどのSNSも活用して、11ヵ国語で世界にアピールをしているのです。

飛騨高山では、国が外国人旅行客獲得に取り組む以前から、受け入れ環境の整備を行ってきました。1996年にはモニターツアーを行って、外国人旅行者から改善点を直接聞き取っていく取り組みを始めています。もともと飛騨高山は、「住みよいまちは、行きよいまち」を合言葉にバリアフリーな街づくりを推し進めてきました。その対象が高齢者や障がい者、子育て中の人であり、また、外国人でもあったわけです。

外国人観光客の動線やマインドを考え、エリアの魅力を連携でアピール

飛騨高山
飛騨高山は、古い街並みや奥飛騨温泉郷、世界遺産の白川郷にも近く、もともと観光資源に恵まれた土地柄です。それらに甘んじず、累積標高差2500mという100kmを走る「飛騨高山ウルトラマラソン」を毎年開催してきました。北陸新幹線の開業に伴い、周辺市町村とも連携を図って、誘客にも積極的です。

飛騨高山が、フランスの旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で5回連続三つ星(=わざわざ訪れる価値がある場所)を獲得していることは知られていますが、岐阜県内ではほかに、アール・デコから現代ガラスまで約1000点を収蔵する、飛騨高山美術館と白川郷も三つ星に輝いています。そこで、三つ星を獲得したことのある金沢市の兼六園や、世界遺産である富山県の五箇山などとルートを結んだ「北陸飛騨3つ星街道の旅」といったプロモーションも行っているのです。 外国人に向けてのプロモーションとしては、1989年より、従来の東京から京都、大阪を巡るゴールデンルートに代わる「日本の歴史的、文化的な魅力に特化したもうひとつの観光ルート」の開発に、松本市、金沢市などと取り組んできました。それが実を結び、これらのルートが、神社仏閣や古い街並み、お祭りなどの伝統文化に関心の高い欧米からの旅行者に認知され、ヨーロッパでは「サムライルート」として親しまれているのです。

広域連携の例はほかにもあり、2009年には富山県と、欧米の個人旅行者が愛用するガイドブック『Lonely Planet』の富山・高山版を発行しました。これにより、喧騒の東京と古き良き京都の間に宿る“THE HEART OF JAPAN(日本の魂)”として海外でも広く知られるようになりました。

このように飛騨高山では、単体で我が街だけをアピールするのではなく、イメージの近い地域とも連携して、外国人旅行客の旅先として求められるものを意識してプロモーションを行ってきています。最近では、官民一体で中部北陸9県を龍がうねりながら昇っていく形に見立てて結んだ「昇龍道(ドラゴンルート)プロジェクト」にも参加して、中華圏へも魅力ある発信をしています。こうした地域連携の考え方が「地方創生」の大きなカギとなるのかもしれません。

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