【後編】認知症社会の見守りサービス『高齢者を“意識させずに”見守る〜株式会社ソルクシーズ〜』

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65歳以上の4人に1人が認知症予備軍とも言われる現代。前編では、ソルクシーズIoT事業推進室執行役員室長の中島秀昌氏と、同グループサブリーダーの豊田章義氏に、見守りの仕組みや会話が弾むといった意外な効用などについてお話を伺いました。後編では、社会に対する影響や今後の展開について伺いました。

「在室」に加え、「在宅」も確認することで、徘徊予防にも役立つ

Q:認知症への対策は考えられていますか。

中島:従来のモーションセンサーや温度・湿度・照度のモニタリングでも、1ヵ月分のデータを一覧することはできますし、1年分は遡って、特定の日のデータを閲覧することもできますので、時系列での状況変化には気づきやすいサービスとなっています。

豊田:実は、認知症を早期発見できる症状のひとつとして、「生活が昼夜逆転する」ということがあるそうです。夜中に目が覚めて動かれていたり、夜中に部屋の明かりが点いていたり。逆に昼間の活動がおとなしくなっていたりしたら、一度認知症を疑ってみた方が良いかもしれません。

中島:実際に認知症の症状が見られる場合には、ドアセンサーをオプションで付けることもできます。従来の部屋ごとのセンサーで「在室」しているかどうかは分かりますので、「在宅」しているかどうかを玄関にドアセンサーを設置することで知らせてもらうのです。設定の仕方は、ご利用者様の状況に合わせていろいろとカスタマイズできます。外出されてから○時間以上帰宅されない場合に、見守る方にメールが入ったり、あるいは時間に関わらず、外出時・帰宅時にメールが入るようにするなどです。そうした設定の活用法については、当社でもいろいろとご相談に乗っています。

ご近所づきあいが希薄な地域で声をかけるきっかけづくりや、医師によるデータ活用も

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Q:地域ぐるみでの見守り例もあるそうですね。

中島:山形県の川西町という、冬季には雪深くなる地域で、自治体と共同で「健康寿命の延伸」を支援する目的で実証事業を行っています。当地の役場や地域包括支援センターなどと連携して、「いまイルモ」で得られたデータをもとに、地域コミュニティへの取り組みとしてひとり暮らしの高齢者の見守りに積極的に関わるようになっているのです。実際にあった例では、雪が降ると民生委員の方も近づけなくなってしまうような独居のお宅で、見守りセンサーのデータがパタッと途絶えたことがありました。調べてみると、電気が止まってしまっていたようで、すぐに確認をして行政から連絡を取っていただき、電気を復旧していただいたそうです。誰かが訪問するまで気づかれなければ、大事になっていたことでしょう。また、町ぐるみで見守るとは言っても、普段から近所づきあいをしていないと、いきなり近隣の戸をノックするのは勇気がいるものです。「いまイルモ」のデータによって何らかの異変らしき状況に気づければ、ケアマネジャーさん自身がすぐには見に行けなくても、近所の方に頼んで行ってもらうこともできます。

豊田:愛知県豊田市の中山間地区では、「モビリティ活用型モデルコミュニティの構築」の一環で実施されているプロジェクトで「いまイルモ」が採用されました。ひとり暮らしの世帯に設置して、必要に応じて日常の生活状況や行動状況の見守りデータを当地の病院と共有し、診察の際にドクターから生活指導をしていただき病気の予防保全につなげる狙いです。1ヵ月分の活動状況が帯で一覧できたり、温度・湿度の折れ線グラフを照らし合わせたりして見られるので、お医者様からは「診断に大変役立つ」との声をいただいています。

中島:こうした自治体との活動では、個人のお宅でのご利用では分からなかった、さらに役立てられる活用法などにも気づかせていただくことができます。当社のストック型ビジネスの強化・拡大のためにも、また社会的責任の観点からも、今後とも積極的に取り組んで、世の中にフィードバックしていければと考えています。

老人ホームなどの集団生活では、緊急時対応の一助にも

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Q:個人のお宅以外に、高齢者施設などでもニーズはあるのでしょうか。

中島:施設では、日頃から介護士の方々の目が行き届いていることもあり、求められるのは緊急時対応です。例えば、ベッドセンサーには2種類あるのですが、一つは寝ておられる状態で心拍数・呼吸数が計測できるものです。これは、どちらかと言うと、お看取りに向けての急変に備える目的といえます。もうひとつが離床センサーで、ご入所者様がベッドにいるのかいないのかをスタッフの方が事務室にいながらチェックするためのものです。そのほかに、トイレセンサーというものもあります。介助の必要な方をスタッフがお手洗いにお連れしますが、座っていただくと、ほかの方の介助などもあるため、いったんその場を離れます。それで、ご用が済んでトイレで立ち上がられた時に、センサーが反応してスタッフのスマートフォンにメッセージを送って知らせるように設定しています。メッセージをご覧になったスタッフが、すぐに介助に向かわれる、といった使い方です。こうしたものも、高齢者施設からのご相談やご依頼で開発・提案をしています。

遠く離れた親はもちろん、近くでも毎日は行けない、日中独居の見守りにも活躍

Q:見守る仕組みというのは、その場その場でいろいろと求められるのですね。今後、考えられていることは何かございますか。

中島:「いまイルモ」をロボットへ組み込むことを検討中です。据え置き型のコミュニケーションロボットに見守り機能を組み込んで、外出から帰られた時に会話をしていただいたり、天気予報などの情報をしゃべらせたりすることを考えています。「いまイルモ」の開発コンセプトと同様に、ご利用者様に何かプラスアルファの行動をお願いすることは避けたいので、ロボットが「お帰りなさい」と話しかけた時の反応を見守るなど、これも日頃のパターンから些細な異変を汲み取れるようにできないかと研究中です。ご利用者様が特に何もされなくても、いつも見守られているのだと安心していただければ良いですね。

豊田:「いまイルモ」は、解約される方がほとんどいらっしゃらないのが自慢です。ご満足いただけているのはありがたいですね。あるお客様で、海外赴任中に親御さんが心配で「いまイルモ」をご利用いただいていた息子さんの帰国が決まって「いまイルモ」を解約されたのですが、今後また使うことがある時のために、センサー機器をそのまま保管されている例もあります。また、同居であっても、お子さんが昼間はお勤めをされている「日中独居」の方にもお使いいただいているようです。近くにお住まいでも、毎日は顔を見に行けないからというご相談もあります。親御さんからすれば、いちいち来なくてもいいよと思われることもありますし、そっと見守ることができるのは便利だという声は多いですね。「カメラが付いていないのでプライバシーに配慮できる」、「日常生活の中でいつでも見守ることができる」、「過去のデータも見られるので体調が心配な時に役立つ」というのが、導入をお決めになる理由でよく聞きます。データが溜められていること自体にも、安心を感じていただけているのかもしれません。

中島:データをずっと見ていると、行動や体調の変化も分かるので、例えば、「そろそろ同居しようか」とか、「介護施設への入居を考えようか」といった話もされやすいようです。事故があってからでは遅いですし、いろいろなことを未然に防ぐ効果があるのは、ご利用いただいているお客様からも感謝の言葉などでも実感するところです。これからも、お客様や施設そして自治体の方々などと、いろいろと取り組んでまいりたいと思っております。

(プロフィール)
株式会社ソルクシーズ
IoT事業推進室
執行役員室長
中島秀昌
2010年、前職のIT企業より転職。
当初は中国事業推進室に勤務。
見守りシステムのアイデアを事業化させ、3年半ほど前から「いまイルモ」の販売をスタートさせる。
同システムやベッドセンサーの中国などアジアへの展開も検討したいが、ネット環境のインフラにまだ不安があり、検討中。

株式会社ソルクシーズ
IoT事業推進室
サブリーダー
豊田章義
2011年、技術要員として転職。中国事業推進室から現職に異動して、開発が進んでいた「いまイルモ」の主に販売に携わる。個人ユーザーからの問い合わせ対応の一方で、豊田市でのプロジェクトも担当。山間部など、限界集落に近い状態での独居高齢者の現実にも詳しい。

株式会社ソルクシーズ
コンピュータ、周辺機器、通信機器およびソフトウェアの開発、設計、製造、販売などを行う。
そして2年ほど前から見守りサービスの「いまイルモ」を市場に展開している。
http://www.solxyz.co.jp/

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