【前編】留学生受け入れに欠かせない「JAFSA」の役割とは〜JAFSA(国際教育交流協議会)〜』

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政府が「留学生30万人計画」を打ち出しているのに呼応して、海外から日本への留学生は増加傾向にあります。日本で外国人留学生支援などの国際交流を行う団体として「JAFSA」があるのはご存知でしょうか。日本の国際交流の担い手である特定非営利活動法人JAFSA事務局長の高田幸詩朗氏に、日本の留学生交流におけるJAFSAの役割などについて伺いました。

日本で唯一留学生の国際交流に関する活動を行う「JAFSA」

Q:JAFSAとはどういった目的で設立されたのでしょうか。

A:JAFSAは、まだ日本への留学生の数が少なかった1968年、大学の関係者を中心にした任意団体として始まりました。当時は意見交換などが中心でしたが、その後、留学生の増加とともに業務が拡大し、2003年に、「JAFSA(国際教育交流協議会)」という名称で、特定非営利法人格を取得しています。理事は加盟する大学の学長や総長を中心に構成されています。留学生の国際交流促進と大学の国際化をサポートする大学を主とするコンソーシアムで、日本では国際教育交流分野におけるオンリーワンの民間非営利団体です。

Q:JAFSAに加入されているのはどういった団体でしょうか。

A:JAFSAは、正会員と賛助会員を合わせて346団体で構成されています(2016年11月現在)。日本にある780ほどの大学のうち、留学生の受け入れを行うインバウンド、日本人の学生を海外に送り出すアウトバウンド、あるいは、学術協定や交流協定などを含めて国際交流を行っている大学は500ほどです。そのうちの40%強にあたる227大学が加盟し、これらの大学で海外から日本へ来る留学生の90%をカバーしています。

大学以外では、在日公館にご加入いただいており、以前は英語圏の国が中心でしたが、フランスやドイツ、イタリアなどが加わりました。それぞれの国と留学フェアを開催するなど、交流を促進する目的でご加入いただいています。

そのほか、日本語学校や専修学校、各種学校、アウトバウンドの教育関連団体、試験関係の教育機関など、大学と非営利団体が正会員です。

賛助会員はソーシャルビジネスパートナーズと呼んでいるもので、企業様が中心です。10年前の2006年は8社でしたが、大学だけの活動ではなく、企業様とコラボレーションしていくことを考えていった結果、2016年時点では60社近くに増えています。賛助会員企業の増加を見ても、留学生が増えていることがビジネスチャンスを生み、経済の活性化につながっているといえるでしょう。

留学フェアの参加で日本への留学生を呼び込み

JAFSA
Q:JAFSAの主な活動内容を教えてください。

A:JAFSAの活動には、「グローバルネットワーキング」、「人材育成」、「アウトリーチ」の3つの柱があります。

第1の柱の「グローバルネットワーキング」は、文部省が設定した「Study in Japan」というブランドのプロモーションを海外で行い、日本への留学を促進する事業です。世界中の大学や教育機関が集い、ブースの開設やセッション、レセプションなどを催す大規模な海外フェアに参加しています。

最大のものは北米で毎年5月末に開かれる「NAFSA」で、約1万人が参加する海外フェアです。日本からは約60大学が出展します。JAFSAはオーガナイザーとして本部とやり取りをして、出展を希望する大学の募集から準備まで1年かけています。次に規模が大きいのは、欧州で9月中旬に開かれる「EAIE」で約5000人が参加し、約30大学が出展、アジアで3月に開催される「APAIE」には約20大学が出展します。それ以外、韓国の「KAIE」(韓国の大学の国際部門のコンソーシアム)大会にも参加しています。

JAFSAの活動は基本的にはB to Bで大学や企業が対象となりますが、「Education USA EXPO」というアメリカ大使館が主催するイベントは、唯一B to Cで留学を希望する中高生を対象としたものです。

第2の柱の「人材育成」の分野では、研修が中心となっています。大学教職員の中で、国際部門に異動になった職員に対する初任者研修を年に2〜3回、留学生の受け入れや留学する学生へのオリエンテーションなどのテーマを設けたワークショップを随時開催しています。その他ブリティッシュ・カウンシルと共催で国際部門で必要な英語研修を年に8〜10回ほど開催しています。

第3の柱は、会員の方や政府・企業・民間非営利団体とともに課題を発見し、解決に導いていく「アウトリーチ」という活動です。インターンシップや留学生の就職支援、住居不足の問題といった課題の見える化を図ったり、トライアルを行ったりするものです。

「留学生30万人計画」の達成には受け入れ体制の整備が不可欠

JAFSA
Q:大学が留学生を受け入れるに当たっての課題としてどういった点が挙げられますか。

A:福田康夫首相の時代(2008年)に「留学生30万人計画」が打ち出されていますが、その前の中曽根康弘首相時代(1983年)に「留学生10万人計画」があり、達成されていました。この「30万人」という目標が設定された時、「本当に30万人受け入れられるのか」という疑問が持たれ、議論を呼びました。しかし、具体策がないまま、「30万人」という数字が一人歩きしていた感じでした。

大学が留学生を受け入れるのは簡単なことではありません。学業という基本的な部分と生活環境を整えること、そして、就職支援という出口戦略がないと、「Why Japan?(なんで日本なの?)」という問いに答えることができないからです。

1大学当たりの留学生受け入れの平均割合は3.8%程度ですので、100人の学生に対して4人程度です。大学のキャリアセンターにとっては一般の学生の就職支援だけでも大変なのに、4人のために人手はさけないといった議論もありました。また、留学生への対応は国際部門が扱い、就職は就職課やキャリアセンターが行うため、縦割りになっていて上手くいかない部分もありました。当時は今とくらべて、「外国人留学生のための就職セミナー」といったものはさほど開かれていませんでした。

多くの外国人留学生を受け入れていくためには、住居の確保や就職の支援といった課題を一つひとつ解決していく必要があるのです。今後も30万人という数字の実現にむけて、外国人の若者が日本で増えていくことが想定されます。

(プロフィール)
特定非営利活動法人JAFSA(国際教育交流協議会)
事務局長
高田幸詩朗
1981年早稲田大学卒業後、民間企業勤務、大学院修士課程在籍(国際関係修士)、91年より笹川平和財団にて民間非営利活動、NGO活動の支援担当プログラムオフィサー。2000年より国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部にてTOEFLテストの事務局として広報・ETSとの交渉に関わる。
2007年より初の専従専任の事務局長として、JAFSAの運営に携わる。

JAFSA(国際教育交流協議会)
https://www.jafsa.org/


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