人件費とインフラが魅力!日本企業がベトナムに進出する理由

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近年ではいわゆるチャイナリスクに備えて、中国以外にも海外の生産拠点を置く、チャイナプラスワンの拠点として、ベトナムには多くの日本企業が進出しています。そして、これまでの日本企業のベトナム進出との違いは、製造業だけではなく、IT関連や小売業の分野でも進出していることにあります。人件費が比較的安いとされるアセアン諸国の中でも、ベトナムが選ばれる理由はどこにあるのでしょうか。

小売りやIT分野でも増加するベトナムへの日本企業の進出

ベトナムへの日系企業の進出は、JICAによると2016年3月時点のデータで1553社に及び、在留邦人の数については外務省の「海外在留邦人数調査統計(平成28年要約版)」では、2015年で14695人となっています。

日本企業のベトナム進出は、今に始まったものではなく、これまでにも盛んとなった時期がありました。1990年代には天然資源や安価な労働力を利点として、製造業の進出が進み、「世界の成長センター」と呼ばれました。2007年のWTO加盟と前後して、2006年頃からも進出が増加しましたが、2008年のリーマンショックを機に一旦ブームが終息しています。

そして、2009年に100%外資系企業による販売業が解禁になったのを受けて、2011年頃から再び卸売業や小売業での進出が目立つようになってきました。それまでの日本企業は、製造業が現地を生産拠点として輸出する「外需」が中心でしたが、近年はベトナムの「内需」をターゲットとする業種も進出しているという違いがあります。また、IT関連企業によるオフショア開発も増加し、ベトナムは「IT工場」とも呼ばれています。

人件費だけではないベトナム進出の魅力

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ベトナムは、ベトナム共産党による一党制の社会主義国家で、国民の8割が仏教徒であり、政治や社会が安定しています。

日本企業進出の要因を人的資源の側面から見ていくと、まず、人件費の安さが挙げられます。中国やタイよりも人件費が低廉なこともあり、製造業では「タイプラスワン」とも呼ばれているのです。

ベトナムの人口は、2014年ベトナム統計総局のデータでは9073万人、そのうち、首都ハノイが709万6000人、ホーチミンが798万2000人を占めています。2013年の計画投資省統計局による人口ピラミッドでは、40歳未満が人口全体の64%とされ、若年層の豊富な労働力が魅力となっています。

識字率が90%を超え、勤勉かつ真面目で親日的という国民性も、日本企業にはプラス材料です。日本との良好な国際関係も影響して、日本語の教育課程が設けられた大学もあり、ほかのアセアン諸国と比較して日本語学習者が多いことも特徴です。

ベトナムは、電力や通信環境などのインフラが、周辺のアセアン諸国に比べて整っているため、IT企業のオフショア開発にも向いています。教育機関などによってIT技術者の育成が進んでいますが、同じ技術を持つ中国のエンジニアよりも人件費がリーズナブルです。また、日本との時差が2時間あるものの、出勤時間が早く、旧正月以外は祝日が少ないことも、日本企業のビジネスのしやすさにつながっています。

小売業や飲食業などベトナムは内需も魅力

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若年層が多いベトナムの人口ピラミッドは、労働力の面だけではなく、内需の拡大によってビジネスチャンスが生まれるという面でも、アドバンテージとなっています。

ベトナムは経済発展が進み、2014年の実質GDP成長率は6.0%です。人口の多くを占める若年層の収入増加によって、ソフトドリンクやビールといった飲料業、外食産業、化粧品事業、自動車産業などの需要が増加し、内需の拡大につながっています。そのため、100%外資系企業の販売業への進出が認められたことなども受けて、小売業や飲食業にもビジネスチャンスが広がっているのです。

これまで、日系企業など外資の小売業は、ベトナムが南北別々の国として発展してきた歴史的背景による南北格差から、首都のハノイではなく、東南部に位置するホーチミンが中心でした。しかし、2014年にはハノイにも、既にホーチミンに進出していた「AEONモール」のベトナム第3号店が出店するなど、日本をはじめ外資系企業による展開が進んでいます。

ベトナムへの日本企業の進出は、チャイナプラスワン、あるいは、タイプラスワンとしての製造業での拠点というだけではなく、人口減少に悩む日本の新たな市場としての価値も見いだせます。ベトナムは法制度が未整備で、官僚による不透明な運用が懸念材料とされる点や、韓国やシンガポールなどの企業も進出しているため、飽和状態の指摘もあります。また、今後は中国やタイのように、賃金の上昇も見込まれています。

しかし、日本にとって、ベトナムの経済発展による市場規模の拡大は大きな魅力であり、今後も日本企業の進出は続いていくでしょう。

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