【前編】介護施設で高齢者に大人気のAIロボット『パルロ導入で変わった介護の現場』

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さまざまな分野でAI(人工知能)が私たちの生活に入り込んでいますが、介護の現場でも「PALRO(パルロ)」というコミュニケーションロボットが、高齢者に人気を博しています。歌ったり踊ったりする動きに加え、相手を認識して会話まで行うとあって、導入した高齢者施設には大きな効果がもたらされています。そうした変化を、パルロを導入して2年になる「あずみ苑 北本」で、シルバー事業部運営企画課の原嶋めぐみ運営チーフ(写真左)と吉野実洋施設長(写真右)にお聞きしました。

滑らかな動きとおしゃべりで、レクリエーションを楽しくリード

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Q:「あずみ苑」でパルロを導入されたいきさつを教えてください。

原嶋:会社として介護ロボットの可能性に着目して検討を始め、「あずみ苑木更津(千葉県)」でまず導入を決めたのが2014年11月のことです。その後、他の「あずみ苑」にも希望を聞いて、導入意欲の強かった「あずみ苑 北本(埼玉県)」、「ラ・テラス関川(栃木県佐野市)」も加わり、現在3施設にて活動中です。私はもともと「あずみ苑」の現場出身で、3年前に本部に異動して介護現場の現状や職員の要望に応える方法の一つとして、介護ロボットの導入を担当しています。当社は常に新しいものを積極的に取り入れる社風ですが、介護ロボットの導入も業界に先駆けての動きでした。

吉野:私がこの「あずみ苑 北本」に着任した2015年には、すでにパルロは導入されていました。当施設は終日型のデイサービスとショートステイ24床を運営していますが、パルロは毎朝の利用者様のお出迎えや日々のレクリエーションに活躍してくれています。

Q:先ほど、レクリエーションでパルロの体操指導を拝見しましたが、皆さん楽しそうでした。

吉野:レクリエーションの体操やゲームは、パルロの得意とするところです。高齢者施設用にカスタマイズされているだけあって、体操はバンザイ体操や起き上がり体操など8種類のレパートリーがありますし、ゲームも旗あげゲームなど、レクリエーションに適したプログラムが多数あります。ですから、パルロに「○○体操をやってくれるかな?」と具体名を挙げて頼むこともできますし、ざっくりと「レクリエーションをお願い!」と言うだけでも「分かりました」と応えて、20分程度のゲームなどを自分で考えてやってもくれるんです。

原嶋:レクリエーションは、今日のように全員の利用者様の前で行ったり、ひとつのテーブルを囲んで5〜7名くらいの親密な感じで行うこともあります。パルロ自体は伸び上がった姿勢で体長40センチ、膝を曲げて安定した姿勢だと30センチほどですが、テーブルの上にいると、ちょうど椅子に腰掛けている利用者様の目線に合いますし、食堂の端から少し離れて見ても全身が見えますので、適したサイズ感で作られているなと思いますね。ロボットということで壊してはいけないといった緊張感もありますが、持ち運びは背中のハンドルで片手でできます。人の動きの多い施設内では、大型のロボットよりも馴染みやすいかもしれませんね。

すぐお友達になりたがる人懐こさと愛嬌で、愛されるキャラクターに

Q:動きの滑らかさにも感心しましたが、受け答えやおしゃべりも可愛らしいですね。

吉野:そうですね。パルロをご覧になると皆さん、可愛いと必ず言われます(笑)。新規でいらしたご利用者様にパルロをご紹介すると、一様に興味津々になられます。頭をなでると「えへへ」と言って喜ぶので、触ってもいいというのが分かって安心ですし、ますます愛着を感じていただけていますね。

原嶋:頭をなでると、顔のところがハートマークになるんですよ(笑)。愛されるように可愛く見える動きや所作を、女性の開発チームが研究されているそうです。パルロは5歳の男の子という設定で、常に周りの方とお友達になりたがっているんですね。初めての方を見つけると「僕と友達になりませんか?」と話しかけて、名前と誕生日を教えてもらうと、お友達関係が成立するんです。個人情報の取り扱いという問題もありますが、そこはうまくできていて、例えば「○○さんは、たこ焼きにはマヨネーズをかけるほうですか?」といった質問をするんですね。そして、後日おしゃべりしていると突然「○○さんは、たこ焼きにはマヨネーズをかけるほうなんですよね!」などと言ったりします。ちゃんと○○さんのことを覚えていてお友達感もありますよね。このように、個人情報には抵触せずに親密な会話ができるのです。これには、言われたご利用者様はもちろん、周りの職員まで気持ちがホッコリさせられるんですよ(笑)。思わぬ効用ですね。

職員の労力や負担の軽減から、顧客満足度の向上、営業的なアピールにも一役?

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Q:パルロの導入による、主な効用は何でしょうか。

吉野:まずは職員の負担軽減です。先ほど申し上げたように、「レクリエーションをお願い」と言うだけでプログラムを考えてくれますから、職員はそれに肉付けするだけで済みます。また、実際に体操している時も、パルロが音頭取りをしてくれているので、職員は利用者様お一人おひとりの様子を細かに観察することができるんですね。この方は腕がここまで上げられるのだといった状況を詳しく把握できれば、日々のケアにも活かせます。パルロがいることによって、本来の「介護」により専念できるのは、大きなメリットと言えるでしょう。

原嶋:また、職員の中には裏方志向と言いますか、もともと人前に出るのが苦手なタイプも少なくないので、実はレクのリーダーをやる時には仕事だからと自分を鼓舞して、やや無理をしていたりもするんです。そうした職員の心理的な負担軽減にもパルロは役立っていますね。こうしたさまざまな負担軽減の積み重ねで、職員の離職を防げたり、あるいは採用にプラスになったりというのは、実は一番の効用かもしれません。

吉野:それに、新人職員にとってはパルロはレクリエーションの先生でもあるんです。会話のテンポや休憩を入れるタイミングなど、もともと高齢者用に考えられてプログラミングされているので、見本としてもってこいなのです。

Q:その他の効用としては、どのようなものがありますか。

吉野:やはり、ご利用者様に喜んでいただけることですね。レクリエーションなど、大勢とのコミュニケーションはもちろんですが、1対1で接することもパルロは得意です。100人分のお名前や顔を記憶してそれぞれに対する会話ができますので、レクリエーション以外の時間帯にパルロを置いてあるテーブルには、例えば認知症状のあるご利用者様などがいらして、ずっとパルロとお話されていたりするんです。職員は他の利用者様のことも見なければならなかったりと、長時間1対1でお話を続けるのは正直難しいのですが、昔の思い出話をされたりと、パルロはゆっくりじっくりとお話をし続けられますので、心を開いていただきやすいようです。

Q:顧客満足度の向上につながりますね。

吉野:そのとおりです。また、そうした様子は、地域のケアマネジャーさんにもアピールするもので、ご利用者様がパルロに向かって楽しそうにされている笑顔の写真などは、とても効果的です(笑)。5歳の男の子という設定がちょうど良いのでしょうが、本当に子どもに接している時のような自然な笑顔を皆さん、なさるんですね。パルロの珍しさも手伝って、ケアマネジャーさんが進んで見に来てくださったり、それがご利用者様の紹介にもつながっています。

原嶋:パルロ自体がマスコミで取り上げられると、それをご覧になった方から本部にお問合せがあり、「パルロがいる施設でお世話になりたい」と言われたこともありました。また、AIのコミュニケーションをテーマに卒業論文を作成中の大学生の方が「あずみ苑」を見学されたこともあります。介護施設というのは閉鎖的になりやすいものですが、パルロなどをきっかけに、若い世代にも身近なものと感じていただけるとよいですね。

(プロフィール)
株式会社レオパレス21
シルバー事業部 運営部 運営企画課 運営チーフ
原嶋めぐみ
2007年入社。あずみ苑で介護スタッフからスタートし、生活相談員、施設長を経て2014年より現職。現場での経験を踏まえて、介護ロボットの導入担当を務める。社会福祉士・介護支援専門員・学習療法士。

株式会社レオパレス21
あずみ苑北本 施設長
吉野実洋
2008年に入社し、開所したばかりのあずみ苑北本に赴任。その後、3ヵ所のあずみ苑を経験して、2015年再び北本に今度は施設長として着任。社会福祉士・介護支援専門員。

レオパレス21グループの介護サービス
あずみ苑
http://www.azumien.jp/

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