【後編】高齢化社会における財産管理と資産継承『信託スキームの活用で財産管理や相続税対策を〜司法書士法人 山口事務所〜』

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認知症が65歳以上の高齢者の7人に1人と、日常的なリスクとなってきているこの高齢化社会で、「成年後見人制度」や「信託スキーム」といった手法を用いれば、財産管理をスムーズに行うことができることを前編では伺いました。後編では引き続き、司法書士法人 山口事務所代表・司法書士の山口達夫氏(写真左)、同グループ副代表の坂本拓也氏(写真右)に、信託スキームの活用方法を伺いました。

ケアマネージャーと一緒に活動することで、福祉の現場にも役立つ提案を

Q:高齢者の財産管理相談が増えてきたのはいつ頃からでしょうか。

山口:成年後見人制度は介護保険法と同時施行ですから、もう16年ですね。実は同時期に司法制度改革が推し進められており、司法書士の業務がある分野でそれまでの書類作成から、弁護士業務と重なるような範囲まで大きな広がりを見せたのです。それに伴い私自身も新しいトライを行っていこうと思いました。そのひとつが成年後見人制度でした。ただ、私たちは財産管理や法律のプロではあるけれど、成年後見では身上監護・財産管理というのが2本柱ですので、身上監護のプロであるケアマネージャーと組んで、当事務所内に居宅介護事業所を開設したりもしました。地域包括支援センターのセンター長を退任されたばかりの方で、自分で独立してやっていきたいというので、協力し合うことにしたのです。

坂本:本来、ケアマネージャーも財産管理には関わらざるを得ないはずでしょうが、在宅で暮らすか入所を考えるかには、経済的な理由が大きいものです。私たちと一緒に取り組むことで、より現実的な提案ができるようになります。この一体化した取り組みは東京都も興味を持たれて、視察にも来られました。こうした経緯もあり、介護関係の方からの相談や、アパートの建て替え案件に関する問い合わせなども多いですね。銀行や農協などの金融機関やハウスメーカーからも多数、相談があります。

複雑な事情が絡む事案に、誠心誠意取り組んで解決を図る

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Q:印象深いケースはございますか。

坂本:脳梗塞で母親が倒れたという方の案件ですね。その方は次女です。先立った父親から法定相続を経て、自宅建物を母親が100%所有、土地を母親が1/2、長男・長女・次女が1/6ずつの保有でしたが、長男は精神障害があって母親と同居し、年金暮らしでした。長女は先天的知的障害で幼い頃から施設に入所しています。相談者の次女の方は地方で仕事をしていましたが定年も近く、自分の家族の生活で精一杯でした。認知症への備えなら、あらかじめ時間をかけて準備できますが、このケースでは脳梗塞ということで、一夜にして財産の名義人が判断できない状態になってしまいました。
母親の継続的な入院費用と長男の生活費や住まいを確保するために考えたのが、賃貸併用住宅への建て替えでした。オーナールームに長男が住み、賃貸住宅部分の家賃で入院費用と生活費を捻出しようとしたのです。しかし、銀行からの借り入れに際して土地の担保設定が必要になり、それも次女の方の持ち分である1/6では話になりませんでした。全体を担保に入れるために、次女の方が自分で後見人の選任申し立ての打診まで行いましたが、家裁から許可が下りないという段階でのご相談でした。
結局は私たちが書類作成のバックアップを行い、次女の方を後見人にしながら、自身で借り入れを起こしてアパートを建て、1室に長男を住まわせて賃料は母親と長男に振り分けるということで決着をつけました。

山口:非常に難しいケースでした。人助けのようなものでしたね。 このような案件は、今後ますます増えることでしょう。

相談者の課題はひとつ、だから窓口を一本化して事に当たる

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坂本:事案をさらに難しくしているのが、後見人選出のための審判は原則、非公開だということです。裁判であれば、憲法で公開原則が規定されているので、法律の条文を超えた判断の難しい部分も、オープンにされている判例の積み重ねから、十分対策を練ることができます。しかし、成年後見に絡む審判は○か×かの結果しか明らかにされず、判断に至るプロセスも開示されません。ですから、私たちもトライする時にはストーリーを大切にします。制度趣旨に沿った形での提案が可能な事案かどうかが大事ですね。

山口:信託スキームであれば、意思をはっきり伝えられるうちに信託契約を明確につくり込むことで、本人にも家族にも納得のいく財産管理や運用が可能です。これについても、手が掛かる事案ではあるので、トライする気持ちの強い司法書士でないと、扱うのは難しいといえるでしょう。
私の考えとしては、相談者の課題はひとつです。たまたまそれに対応する役所が様々に分かれているだけで、そうした役所への窓口を私たちのような資格者が受け持つということです。ですから、当事務所では司法書士のほか、土地家屋調査士と行政書士も所属して、相談内容についてワンストップで対応できるようにしています。ケアマネージャーと一体化になって対応したのも、福祉の問題から発生する依頼にスムーズに対処するためでした。
アパート経営ひとつとっても、オーナーの状況や課題は多様で、その解決法も様々です。親身になってもらえる相談相手を見つけたいものですね。

(プロフィール)
司法法人・行政書士法人・土地家屋調査士法人 山口事務所
司法書士・行政書士・代表役員
山口達夫
東京大学工学部産業機械工学科卒業、同大学大学院修士課程修了後、メーカー勤務を経て、法律家を志して転身。1975年、東京日野市で司法書士事務所を開設。不動産・商業登記をメインとする従来型の司法書士業務に携わってきたが、司法制度改革に伴い、司法書士のあり方を考え直し、青春時代を過ごした立川の地に2008年、現事務所を新規開設。2016年には麹町オフィス立ち上げを果たす。現在、立川オフィスは25人、麹町オフィスは6人の陣容により、ワンストップで数多くの困難な事案に取り組んでいる。

司法法人・行政書士法人・土地家屋調査士法人 山口事務所
グループ副代表・専務役員・行政書士
坂本拓也
早稲田大学理工学部建築学科卒業。同大学大学院修士課程中退後、東京・銀座にある弁護士事務所に長く勤めた後、2008年、山口事務所に入職。たまたま同じ都立立川高等学校の出身であった山口代表と意気投合し、立ち上げから奮闘し、事務所の発展に大きく貢献している。

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