【後編】100年先を見据え、全国の森林とともに歩む道『森林がもたらす生活の豊かさとは〜三井物産フォレスト株式会社〜』

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三井物産フォレスト
三井物産が北海道を中心に所有する、全国74ヵ所・約4万4千ヘクタールの「三井物産の森」では、三井物産フォレストが木材の供給や保護管理を行い、森林環境をしっかりと守っています。前編では事業の概要や森林の役割、木材の利用法を伺いました。後編では、「三井物産フォレストの執行役員業務本部長である高橋意弥氏と執行役員企画業務部長の吉田正樹氏、企画業務部の三浦史織氏と鈴木彩氏に、木材がもたらしてくれる暮らし」という視点で、森が私たちの生活にもたらす豊かさについてお聞きしました。(写真は左から鈴木彩氏、高橋意弥氏、三浦史織氏、吉田正樹氏)

厳しい環境で育ち、長年かけて良い品質となる「ひのき」という木材

Q:森林は私たちの暮らしに豊かさを与えてくれます。その中でもひのきがもたらしてくれる良さについてお教えください。

吉田:ひのきは、山の斜面の真ん中辺りで程良く乾燥している場所が生育に適しています。私たちが生産している尾鷲ひのきが植えてあるところは、たっぷりと雨が降りながらも適度に乾いた場所です。そこは急な斜面で岩が周りにあるような地形で、昔は土を運んで岩の間に植えたと言います。たくさん植えてから間引いていく作業を行ったため、とても手間が掛かりました。また、三重県の南部にある尾鷲(おわせ)は、台風の通り道で雨による土砂災害が多く、そのような環境で育ったひのきは強く、良い品質になっているようです。ひのきの香りは落ち着きを生むためか、最近では韓国などに輸出されていて、子どもの勉強部屋などに使われているそうです。
高橋:ひのきは日本の固有種であり、古くから住宅などに使われています。伝統ある寺社仏閣の多くにもひのきが使われています。よく知られているのが法隆寺で、1000年以上経った現在でも、いまだにしっかりと強度を保っています。

温室効果ガスを森林で吸収して地球に還元するシステム

三井物産フォレスト
伊勢志摩サミットのカーボン・オフセット協力による政府より受け取った感謝状

Q:御社が取り組んでいるカーボン・オフセット制度について教えてください。

鈴木:企業が排出するCO2などの温室効果ガスを森林が吸収する分でオフセットするシステムのことです。これは、できるだけ排出量を減らしても必ず出てしまう温室効果ガスの全部、または一部を森林保全活動で、その分の埋め合わせをするという仕組みです。環境省が推進している制度で、「三井物産の森」の中では北海道と三重県にある山林がオフセット・クレジット(J-VER)認証を受けています。

吉田:先の伊勢志摩サミット開催時にJ-VERの寄付をしてくれる企業・自治体の募集がありました。当社はそれに対して100トン相当のJ-VERを寄付し、政府から感謝状をいただきました。

Q:森の手入れということでは、御社は特別な認証を受けているそうですね。

吉田:森林認証という制度があって、三井物産は国際的なFSC認証と日本国内の状況を踏まえたSGEC認証という二つの森林認証を受けています。これはそれぞれの森に適した森林管理を行っているかどうかを第三者機関が認証するという制度です。これらの認証は、きちんと管理された森林であるという評価を意味し、生産者情報のトレース・確認が可能な点など、安心して木材を使っていただけます。ロンドンやリオデジャネイロのオリンピック施設などは認証材でないと使用しないという取り組みがありました。日本で認証制度はまだそれほど知られていませんが、今後は、私の家は森林認証材を使って建てたい、といった環境意識を持った人が出てくるように浸透してくれれば良いと思っています。

毎日、森に入り状態をチェックして伐採・森林育成計画を作る

三井物産フォレスト
Q:森林保全のために具体的にはどのようなことを行っていますか。

三浦:私は北海道の帯広と平取(びらとり)で森林管理を行っていました。具体的には、伐採及び森林育成の計画を立てるための調査や測量、資材の発注や現場の監督、安全管理、労務管理などで、作業の前後で必要となる書類作成や補助金の手配等も業務のひとつです。山にはほぼ毎日事務所員が通います。一定の面積で調査プロットを設定し、その中で木の太さなど形質を見て、どの木を残して、どの木を伐るかを決めていきます。調査結果は、現地へのマーキングと併せて調査データの作成を行い、その結果をもとに周辺の伐採方法について業者と打ち合わせをします。

Q:環境教育も行っているそうですね。

鈴木:社会貢献として行っています。実際に森林の中に入って間伐や道づくりなどを行う「森林体験」や、小学校・中学校で森や環境のお話をする「出前授業」の二つが主なものです。間伐体験では、参加者が実際にヘルメットを被り、のこぎりで木を伐って倒します。この体験によって、木を伐ることは悪いことではなく、適切に手入れをしていくことが森林を守ることにつながるという林業のサイクルを知ってもらえる良い機会になればと思います。

森を守ることは、もっと広い環境を守ることにつながっている

Q:「森を守ることが海を守ることにつながる」という考え方があるそうですね。

吉田:従来は、海は海、森は森の個別の環境と括ることが主流でしたが、これをつなげるという考えがあります。畠山重篤さんという方が牡蠣の養殖を行っていて、海は森とつながっている、と気仙沼の海と地域の山をつなぐ活動をされています。「森でつくる豊かな滋養分が川から海へ流れ込む」というものです。つまり森がしっかり手入れされていれば、海の良い環境を育むというのです。74ヵ所の「三井物産の森」ではその考え方をまだ実践しておらず、海と結びついた地域活動を行うのは今後の課題と思っています。森林体験で森林について説明をする時などには、そうした考え方も取り入れようと思います。

Q:今後の取り組みについて教えてください。

高橋:「三井物産の森」については林業を主体としつつ、環境保護をしっかりと行いながら、木材も使っていく取り組みを行っていきます。三井物産フォレストでは、適切な森林の管理を行い、様々な活動を通じて多くの人達に森林という大切な財産について知ってもらい、また身近に感じられるようにすることで地域や地球環境に貢献していきたいと思います。三井物産フォレストには森林が好きで林学を勉強してきたエンジニアが大勢います。森林の魅力をアピールする活動も重要な柱です。こうした仕事を通じて社員ひとりひとりが成長し、自己実現をしていけるような会社にしていきたいと思っています。

(プロフィール)
三井物産フォレスト株式会社
執行役員 業務本部長
高橋意弥
2015年に入社。同年より現職。

三井物産フォレスト株式会社
執行役員 業務本部 企画業務部長
吉田正樹
2006年に入社。2016年より現職。

三井物産フォレスト株式会社
業務本部 企画業務部
三浦史織
2008年に入社。2015年より現職。

三井物産フォレスト株式会社
業務本部 企画業務部
鈴木彩
2010年に入社。2010年より現職。

三井物産フォレスト株式会社
三井物産が国内に所有する北海道から九州まで分布している山林の管理業務を行う。全ての山林を合わせた面積は国土面積の0.1%に相当する。木材生産を行う林業以外に森林体験や出前授業などの環境教育「森のきょうしつ」を実施、地方自治体やNPOなどと協力して社会貢献活動を行っている。持続可能な木材生産によって地域社会に貢献し、環境的・社会的側面を重視した運営を進めている。
http://www.mitsui-forest.co.jp/

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