【前編】国産材ひのきの家でZEHを進める理由とは『快適な暮らしの延長線上にあるゼロエネルギー住宅〜株式会社もりぞう〜』

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全世界でエネルギー消費量の削減が叫ばれる中、日本では建築物省エネ法が新たに制定され、今後、新築の住まいはエネルギーの消費量を考慮した家づくりが求められています。
そこで最近、注目されているのが、ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)という言葉です。
これは1軒の家で使うエネルギーを創出エネルギーによって相殺することで、エネルギー量の収支をゼロにする考え方です。
今回は国産銘木の「木曾ひのき」を使用した家づくりで大きな注目を集めている株式会社もりぞうの設計・商品開発室の丸山孝一室長にZEHへの取り組みについて伺いました。

将来を見据え、取り組むべきテーマとしてスタート

Q:ZEHに対する取り組みへのきっかけについて教えてください。

A:当社では今から5年前に経済産業省が主催していた「ネット・ゼロ・エネルギー化推進事業」という、現在のZEH補助金制度の前身にあたる時代から取り組んでいました。これは住宅のエネルギー削減を主眼として、エネルギー収支をゼロにしていこうという考え方に基づくもので、当時はまだZEHという言葉すらありませんでした。当初より高い断熱性能を標準仕様として備えていた当社では、将来を見据えて、ある意味“当然取り組むべきテーマ”のひとつとしてチャレンジすることでまとまりました。
なおZEH補助金の交付を受けるためには、国からの事前の審査が必要ですので、当社が当時より行っていた様々なエネルギー削減の取り組みについて申請し、認定された経緯があります。

Q:それはどのような内容だったのでしょうか。

A:室内の暖かい空気と外の冷たい空気をミックスさせて不快さを緩和しながら換気を行い、過剰な冷暖房を防ぐという内容でした。これは当社の家づくりにおいて、通常に行ってきたことでしたが、公的な機関に認めてもらえるかどうかが問題でした。
家の中の空気は換気をしなければなりませんが、冬の時季は、冷たい空気を取り入れることになります。その際、単に冷たい空気を外から入れて室内の空気を出すだけだと、せっかく暖まった部屋の空気をただ捨てるだけになってしまいます。それではもったいないので、当社では熱交換換気の機能を備えている換気扇を用いることで、家の中の暖かい空気を利用して、外の空気をある程度暖めてから部屋に入れるというシステムを当時から採用していました。この換気扇はドイツ製で、熱交換率がとても良いのですが、それだけではありません。暖かい時、寒い時に稼働するのは当然のことですが、私たちのシステムが評価されたのは、春や秋にどのような働きをするのかというところにも着目した点でした。そうした時季は、バイパス機能の装置によって、何もせずにそのまま空気を入れ替えることもできます。それが自動で切り替わることによって、部屋の快適性をアップさせ、電力消費も抑えられるというわけです。当社ではこの仕組みを5年以上も前から活用していました。

住宅にとって最も大切な要素のひとつ、断熱性能を重視

Q:御社が考えるZEHについて教えてください。

A:ZEHを実現するために必要な要素は、「ワンランク上の断熱性能」と「省エネ設備機器」「創エネ設備機器(太陽光発電システムなど)」の3つです。
補助金を含めたZEHの制度が確立してから、各社ともZEH用の商品を開発されましたが、当社ではそのための商品はつくっておりません。当社の住宅は、ほかの性能などの条件を満たしているため、ZEHで必要となる創エネ、つまり太陽光発電システムだけ付ければZEHの機能を完備した家になるからです。
一方、私たちが最も重視しているのは断熱性能で、これは快適性や健康面においても必要不可欠な要素でありながら現実化させるのが難しい部分でもあります。当社では断熱性能を標準的要素として位置付け、当然あるべきものとして扱っています。つまり、高い断熱性能は、家にとって備えておくべきベースの性能であり、それにお客様のニーズによって太陽光発電システムを搭載すればZEHの住宅が完成すると考えています。

Q:長期優良住宅認定制度について教えてください。

A:住宅の性能としては断熱性能と耐久性能、耐震性能、維持管理のしやすさという4つの要素があって、その基準をクリアしなければなりません。
これまでの日本の住宅は、スクラップ&ビルドが基本的な考え方でした。しかし、最近では、エネルギー問題や少子化、経済の停滞などの様々な理由から建て替えるよりもリノベーションを行って、長く住むという方向にシフトしています。この制度は長く住むための性能が備わっている家に対して、税制や金利優遇などのメリットを与えます。認定を受けるかどうかについては、ユーザーにお任せしていますが、当社の住宅は「100年住み継ぐ家」というのが基本的なコンセプトですので、この基準は標準性能としております。当社が「木曾ひのき」という本物の木材にこだわった家づくりをしているのは、何より長く住み継いでいけることを重視しているためであり、それが家づくりにおけるいちばんの目的なのです。

Q:もうひとつ、低炭素建築物認定制度とはどのようなものですか。

A:エネルギー利用や地球温暖化の問題が拡大していることを踏まえ、低炭素化の措置が取られた建築物を建設する人々に対して、税制優遇措置が受けられる制度です。こちらも当社の物件では、制度ができる前から低炭素住宅の基準を満たしていましたので、申請のための手続きを行えば税金の優遇措置が受けられます。

補助金よりも住まいの質の向上とランニングコスト削減がメリット

Q:住宅をZEHにすることで生まれるメリットについて教えてください。

A:現在は補助金を受けられることが大きなメリットです。ただ、この補助金には問題点があり、予算の枠は最初から決まっていますので、「椅子取りゲーム」のような要素があります。ちなみにZEH自体は法整備化されたものではありませんので、現時点では直接的な税制優遇などは設けられていません。
住まう家をZEHにするということは、暮らしの快適性を得られるとともに、省エネ、創エネ機器によるランニングコストの削減を可能にします。快適性や住まいの質が向上して光熱費が抑えられるというのは、住宅としての大きなメリットといえます。
後編ではZEHを実現にするために必要なことや未来の住まいの可能性についてお話しします。

(プロフィール)
株式会社もりぞう
本社設計・商品開発室
一級建築士/インテリアコーディネーター
室長
丸山孝一

2011年に入社。2014年から現職。

株式会社もりぞう
http://www.mori-zou.com/

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