増加するネパールやベトナムからの留学生は日本経済の担い手に!?

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日本全国どこででも外国人観光客の姿を見かけるようになりました。実は観光客と同じように、外国人留学生の数も近年着実に増えており、その中でも目立って増えているのがネパールやベトナムからの留学生です。彼らの多くは日本語学校を経て専門学校や大学へと進学し、母国の経済状況などの理由もあって、留学を機にそのまま日本で職に就くといわれています。
日本が抱える人手不足の現状をはじめ、ネパール、ベトナムからの留学生増加の背景、そして日本での就職が増える可能性について取り上げます。

この5年で19倍近く! ベトナムから日本語を学びに来る人々が激増

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日本で少子高齢化が叫ばれるようになって久しいですが、それにつれて労働力人口の減少が課題になりつつあります。15〜64歳の生産年齢人口は2013年10月時点で7901万人と32年ぶりに8000万人を下回ったことに加え、2015年には7592万人まで減少しており、今後の予測では2030年には6773万人、2060年には4418万人まで大幅に減少することが見込まれているのです。生産性調査などによれば、実際に労働現場でも飲食業や小売・運輸などの分野で人手不足が顕在化し、労働供給力はすでに限界を見せつつあるともいわれています。

そうした労働力不足の救世主と考えられているもののひとつに、外国人留学生の存在があります。日本への留学生の数は、東日本大震災後に少し減ったものの、近年、急速に伸びを見せており、2015年には大学や大学院など高等教育機関に15万2062人、日本語教育機関に5万6317人が在籍していました。中でも伸びが顕著だったのは、ベトナムとネパールからの留学生です。2011年から2015年にかけての増加を見てみると、高等教育機関についてはベトナムからは4033人から2万131人と5倍以上に、ネパールからは2016人から8691人と4倍以上となっています。日本語教育機関ではベトナムからは1046人から1万8751人と19倍近くの増加で、これは実数でも最多の中国からの留学生に迫る勢いです。ネパールからも957人から7559人と約8倍の伸びです。

日本における留学生の教育事情でいえば、高等教育機関では英語による講義がまだまだ少なく、最初はある程度日本語を修得してから進学するという現状があります。日本語教育機関へのベトナム・ネパールからの留学生も、日本語教育を修了した後に少なからず高等教育機関に進んでいると見られます。

経済成長率が5%台のベトナム、ネパールだから、日本での就業が人気に

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それぞれの国の経済状況を見てみると、ベトナム経済は1990年代以降、堅調に推移してきましたが、2000年代半ばには7%台であった経済成長率が最近では5%台に低下しています。ネパールは3〜5%台という経済成長率を抜け出すことなく、しかも海外送金のGDP比率が21.7%と周辺の南アジア諸国の中でも突出するなど、出稼ぎ労働者からの送金に依存した経済構造となっています。つまり、どちらの国も労働需要活発な状況ではなく、留学生たちは時間をかけて身に着けた日本語とその後の高等教育を武器に、そのまま日本で職に就く傾向が高いといえます。

外国人留学生全体のデータではありますが、実際、在籍段階別に卒業後の進路希望を見ると、高等教育機関卒業後は日本での就職を希望する人が最も多く、日本語教育機関卒業後は日本での進学希望と、上位機関での教育の継続を望む声がほとんどとなっています。また、日本で就職する際に希望する職種も、翻訳・通訳だけでなく、海外業務、貿易業務、技術開発、経営管理業務、販売営業などと幅広くなっています。一般的に日本における外国人の職業というと英会話教師や母国の料理を提供する飲食関連といったイメージかもしれません。しかし、正規の留学で高等教育機関を修了すれば、このように幅広い分野での就業が可能で、これはすなわち日本政府が言うところの「高度人材の受け入れ」につながっていくものといえるでしょう。

留学生と企業のマッチングを、日本政府も国策として後押し

日本政府の外国人労働者受け入れについての考え方は、経済社会の活性化という観点から高度の専門的知識・技術を持つ外国人の就業を積極的に促進することとされており、就労環境や生活面の環境整備にも政府全体で取り組んでいます。2014年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014では、高度外国人材の活用や、留学生の国内企業への就職を拡大させるために関係省庁が連携してマッチングを行っていくとしており、すでに、ハローワークのネットワークを活用した外国人版ハローワークである「外国人雇用サービスセンター」が東京・愛知・大阪に設置されています。そこでは外国人に対する求人・求職を集約した上で、卒業に至るまで複数年にわたって全国的かつきめ細かな就職支援を行っているのです。また、大学の就職部にも働きかけて、内定の得られていない留学生に同センターの利用を勧めるほか、日本での就職を希望する留学生に対して早い段階から就職ガイダンスを実施するなど、意識付け・動機付けを積極的に仕掛けています。

同センター以外にも、一部の新卒応援ハローワーク内に「留学生コーナー」が設置されており、その数は2016年4月現在で全国16ヵ所に及んでいます。このようなマッチングの成果として外国人留学生の日本での就業が円滑に進むようになれば、日本経済における労働力としても一翼を担うまでになることでしょう。その核となり得るのが、急増しているベトナム、ネパールからの留学生。真面目な国民性は、日本の風土とも馴染みやすく、日本経済の担い手として期待されています。

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