少額短期保険で賃貸住宅の保険のあり方はどう変わる?

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少額短期保険
生命保険や損害保険では、2006年から「少額短期保険」という形の保険がスタートし、少額短期保険業者は徐々に増えています。
一方で、「少額短期保険」という言葉を聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。
「少額短期保険」は保険の規模は小さいものの、ニーズに合えば、保険料を抑えて保障を受けることができます。
そこで、少額短期保険とは何か、また、賃貸住宅への入居で少額短期保険を利用するメリットなどについてまとめました。

少額短期保険とは

少額短期保険とは一定の事業規模による、少額で短期の保険をいい、少額短期保険業者が扱うもので、ミニ保険と呼ばれることもあります。少額短期保険は、2006年4月の保険業法改正によって誕生し、保険業法の規制の対象です。保険期間は生命保険1年、損害保険2年の期間の範囲内と決められています。保険金額は損害保険は1000万円、死亡保険は300万円など区分ごとに上限の規定があり、1人の被保険者あたり1000万円までです。

少額短期保険業者は、財務局による登録制で、2016年12月8日現在で88社が登録されています。少額短期保険業者の最低資本金は1000万円で営業保証金として、前年の年間収受保険料に5%を加えた額を供託することが義務付けられています。また、小規模事業者規制として、年間収受保険料は50億円以下という規制も設けられています。生命保険と損害保険を兼業しての営業も可能です。

少額短期保険には、主に賃貸入居者用家財保険や借家人賠償責任保険、個人賠償保険、ペット保険、生命保険や医療保険、傷害保険といった種類があります。少額短期保険業者によって、賃貸入居者用家財保険や借家人賠償責任保険などの賃貸住宅向けの保険専業、あるいは、ペット保険専業といった特定の分野に絞って、取り扱っている会社が多いのが特徴です。

少額短期保険業者の数の参照元:
金融庁少額短期保険業者(PDFやエクセルのリスト上部に全業者数が記載)
http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/shougaku.html

少額短期保険は保険とどう違う?

では、保険会社の扱う保険と少額短期保険には、どんな違いがあるのでしょうか。

保険会社は金融庁による免許制であり、最低資本金は10億円です。年間収受保険料の規制はありませんが、生命保険と損害保険を兼業しての営業は認められていません。少額短期保険業者とは、取り扱う保険や会社自体の規模、参入規制のハードルに違いがあります。

保険会社の生命保険や損害保険には、保険契約者保護機構の制度があります。万が一、経営破綻に陥っても、保険契約を引き継ぐ救済保険会社への資金援助を行う、あるいは、保護機構が保険契約を引き継ぐといった方法で、保険契約者を保護するものです。少額短期保険業者は対象外のため、経営破綻した際のリスクを危惧する人もいます。

しかし、保険会社が経営破綻したケースの多くは資産運用の失敗であり、少額短期保険業者は株式での運用ができず、安全性が高い預貯金や国債で運用しているため、破綻のリスクは小さいです。また、契約者保護の観点から、前述のように営業保証金を供託することが義務づけられています。少額短期保険業者の経営状態は注意する必要がありますが、少額短期保険は保険期間が短いこともあり、経営破綻のリスクは限定的といえます。

賃貸住宅で少額短期保険を選ぶメリットとは

少額短期保険
少額短期保険のメリットは、保険料が比較的安いことや、弔慰金・見舞金保険といったようなユニークな商品があることが挙げられます。一方で、生命保険では、保険期間が短く、保障額が小さい、掛け捨てで貯蓄性がない少額短期保険の特性が、ライフステージによっては、デメリットとなることがあります。

では、賃貸住宅向けの損害保険ではどうでしょうか。民法709条で故意または過失による損害賠償責任が定められていますが、失火責任法で重大な過失によるものを除いて、失火による損害賠償責任は免除されています。そのため、賃貸住宅のオーナーは、所有する賃貸住宅を守るため、建物の火災保険に入ることが一般的です。

賃貸住宅を借りる人の側は、失火によるオーナーへの損害賠償義務が免れても、退去時には原状回復義務があります。火災だけではなく、水漏れ事故によって賠償責任を負う恐れもあります。また、火災によって家財が損害を受けても、補償は受けられません。そのため、通常、「家財保険」と「借家人賠償責任保険」へ加入します。

少額短期保険の保険期間は損害保険では2年までですので、一般的に2年単位での契約更新が多い、賃貸住宅の賃借人向けの保険では問題にはなりません。賃貸住宅への入居では、必要な保険に費用を抑えて加入できることが少額短期保険のメリットといえます。

賃貸住宅に住むうえで必要とされる補償は、人によって本来違うはずです。少額短期保険がもっと広まっていくと、より入居者のニーズに合わせたニッチな商品が展開されていくことが想定されます。少額短期保険は、これまで画一的であった賃貸住宅向けの保険のあり方を変えていくものになるでしょう。


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