【後編】国産材ひのきの家でZEHを進める理由とは『エネルギー住宅の実現のために必要なこと〜株式会社もりぞう〜』

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近年、注目されているZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、実現可能な未来の住宅として、各建築メーカーが開発・提案している大きなテーマです。
前編では「木曾ひのき」の家づくりで注目されている株式会社もりぞうの設計・商品開発室、丸山孝一室長にZEHの取り組みや国が進めている制度についてお聞きしました。後編では、ZEHを実現するためには、どのようなことが必要になるのか、また今後の住宅の可能性について具体的にお話しいただきました。

ZEH実現のためには断熱性能が高いかどうかが最大の課題

もりぞう
Q:ZEHにとって最も大切なことはどのようなことですか。

A: ZEHを実現するための大切な要素は、断熱性能と省エネ設備機器、そして創エネ設備機器(太陽光発電システム)です。つまりは、住宅のエネルギー収支をゼロにするためには何が必要かということです。断熱性能を高め、省エネ設備機器を使用することでエネルギーの消費をなるべく低く抑えて、その分を太陽光発電システムで賄うということになります。

その中でカギとなるのは、住宅の断熱性能です。これはエネルギーの観点だけでなく、家の要素で最も重要となる“快適性”や“健康面”には不可欠なものです。そして、家を一度つくってしまうと、断熱性能を後から改善させるというのは基本的に難しいものです。省エネの機器は、10年くらいで性能が格段にアップするものも珍しくなく、そのタイミングで取り替える人は少なくありません。一方、断熱性能のための工事は、作業が大がかりになりますし、費用も高額です。そうした理由から簡単に改修工事を行うことができず、断熱性能を高めることは大きな課題となってしまいます。つまり新築時に、ここさえクリアしていれば、住み始めてからでも機器の購入や取り替えでZEHを実現することは比較的容易なのです。

Q:断熱性能の低い家が多いのはなぜなのでしょうか。

A: これはあくまで私の推察ですが、費用をかけて断熱性能が高い家を建てても、そのメリットが分かりにくいため、販売する際のセールスポイントにならなかったからだと思います。それよりも、この価格で上質なキッチンが付くとか、内装が豪華とか、分かりやすいところをアピールできるほうが売りやすいのです。そして、値段を下げないといけないということになった時、最初に削られるのが断熱材だったりするのです。断熱性能を高めるには、必要な場所に必要な量の断熱材を入れれば済むことなので、やる気があればできることなのですが、費用などの理由でそれをやっていない家が多いのは事実です。

ただ、極端なことを言うと、真冬の寒い日、薄いテントにいくら暖房器具を持ち込んでもやはり寒いですよね。仮にテント内を20℃にしたとしても、足下など部分的には寒いところがどうしてもできてしまいます。このように断熱性能とは家の快適性にとって最も大切な部分なので、実は絶対に手を抜いてはいけないのです。しかも、テントのような家の場合、エネルギー使用量が多くなり、ZEH化するにしても大きな太陽光発電システムが必要となるため、とても効率の悪い“負の循環”に陥ってしまうのです。

将来の役割が期待されるHEMSによるエネルギーコントロール

Q:ZEHの実現にはHEMS(ヘムス:ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の搭載も必要になりますが、そのメリットについて教えてください。

A:エネルギーの見える化によって、使用者のエネルギー消費における意識が変わることが期待できるとされていますが、実際にはZEHの補助金を含めた制度上で必要なアイテムという側面が今のところは強いと思います。今のZEHの補助金制度では交付を受ける人はHEMSを付けて、電気の使用量や発電量を記録して国に報告しなければならないのです。ただ、補助金を受けないユーザーにとってHEMSが本当に必要なものかという部分ではやや疑問を感じます。将来はHEMSをキーステーションとした室内のエネルギーコントロール、つまり自動化や遠隔操作が可能になるともいわれていますが、そうなると「目に見えるメリット」が生まれるので、需要は高まるのではないでしょうか。

住む人がいかに快適に過ごせるかという部分が家づくりの基本

もりぞう
Q:ZEHを含めたこれからの展開と可能性についてお願いします。

A:国が2020年の目標に掲げている新築住宅の大半をZEH化させるというのは、ハードルが高いと思われます。ZEHに不可欠な太陽光発電システムの搭載率は、売電価格と機器費用の金額が決め手となります。今後、売電価格は下がり続ける一方ですが、機器のコストのほうは大幅に下がることは考えにくいため、これから搭載する人の大幅な増加は難しいのではないでしょうか。太陽光発電を設置してもらうためには、経済性以外の要素が必要だと思います。

住宅の断熱性能については「義務化」の流れもあり、ある程度は底上げされると思われます。ただし、これは最低限のレベルの話で、快適や健康という面では、まだまだ不十分だと思います。もちろん、コストの面と密接な関係もあるので、供給者側の理想や理論だけでなく、市場ニーズのバランスを見極める必要があります。

ZEHは家づくりにおいて大切な要素ではありますが、結局、いちばん重要なのは、住む人がいかに快適に暮らせるのかという基本の部分です。「何を大切に考えて家を設計するのか」ということを明確にし、それを根本的な方針としてぶれずに持ち続けることが大切だと考えます。私たちはより快適で、健康面にも有益に働く家づくりをこれからも進めていきます。

(プロフィール)
株式会社もりぞう
本社設計・商品開発室
一級建築士/インテリアコーディネーター
室長
丸山孝一

2011年に入社。2014年から現職。

株式会社もりぞう
http://www.mori-zou.com/

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