【前編】税理士が語る!相続税対策として有効な手段とは『高齢化社会の難題、早くからの相続税対策の勧め〜JPコンサルタンツ・グループ〜』

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左から代表取締役の下吹越<しもひごし>一孝氏、小林登氏、深津栄一氏、金子幸男氏、戸島潤吏氏

老後を迎えるとともに終活や墓仕舞いなど、後に残す家族のために考えなければならない問題がたくさん出てきます。特に、早くからの対策が望まれるのが「相続税対策」です。2015年に大きな税制改正があり、それを受けて相続税を課せられる層が広がっており、誰にとっても他人事ではなくなったと言われています。
そうした相続税対策に関する最新の情報や有効とされる対策について、レオパレス21と提携している会計事務所の連合体、JPコンサルタンツ・グループの税理士の方々に伺います。

1年余りで320件の税務相談と50回以上のセミナーを実施

Q:まず、JPコンサルタンツ・グループの成り立ちを教えていただけますか。

下吹越:会計事務所というのはそれぞれに得意とする分野を持っています。しかし、今の時代、お客様のニーズは実に様々で、税務関連のご相談の内容もより専門的かつ複雑化しています。ひとつの会計事務所の知識や経験だけでは、お客様の全ての問題に最適な対応を行うのはとても大変なことで、今後ますます難しくなるでしょう。私たちは、2008年にJPコンサルタンツ・グループという会社を立ち上げて、まず3つの会計事務所による連携を開始しました。今では全国にコアメンバーとして17事務所、研究会員を含めた全体では約100事務所の連合体となっています。
当初から各事務所間の取りまとめ役として運営を担っているのが本部長の金子執行役員で、創業メンバーである小林税理士と私の3人は創業時点ですでに10年来の知己でした。深津税理士は税理士法人おおたかの法人・資産税第1部部長として、戸島税理士は私が代表を務める事務所であるペンデル税理士法人の税務部部長として、JPコンサルタンツ・グループの税務の最前線で活躍しています。

金子:レオパレス21との提携は2015年10月から始まりました。賃貸の集合住宅オーナー様からの税務関連のご相談に対応し、開始からの1年3ヵ月(2015年10月〜2016年12月)でご相談件数は320件、開催したセミナーは全国15会場で50回に上ります。

Q:相続税対策をはじめ、様々な税務関連のご相談に応じていただけるのですね。
実際、相続税対策を老後の早くから考えるのには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

戸島:ご相談やセミナーを行って感じるのは、相続について、まだまだ先のことと考えられているオーナー様が多いということですね。しかし、いつ病気になるとも限りませんし、最近は認知症というのも大きなリスクです。ご本人の意思確認が上手くいかないと、進められない手続きも多いですから。それに、時間があればより効果的な対策を施すこともできます。

適切なアドバイスで相続税が2100万円から700万円、260万円にまで節税できる例も

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代表取締役 下吹越一孝氏

Q:相続税の節税として、具体的にどのような事例が考えられますか。

戸島:都内でやや広めの土地をお持ちのケースで試算をしてみましょう。相続する財産が土地・建物で8000万円、金融資産5000万円、有価証券2000万円だとします。ご夫婦のどちらかがお亡くなりになった時には、配偶者の方が全て相続しますと、1億6000万円までは税額軽減で控除されます。問題はその次にお子様方のみが相続人になる二次相続の時ですね。
このケースでお子様がおふたりだと相続税額は2100万円ほどになります。それが、お子様のどちらかが親御さんが亡くなられた時点で同居されていれば、「小規模宅地等の特例」の適用により土地が8割評価減となるので、相続税を700万円くらいにまで減らすことができます。さらに、相続前にお子様への住宅取得資金、あるいはお孫様への教育資金などとして3000万円くらいを贈与しておけば、相続税はさらに減って、260万円ほどとなります。このように、何もしなければ2100万円の相続税を負担するところを、対策を講じておくことで700万円、260万円へと節税することが可能なのです。

下吹越:贈与というのはひとりに対して1年に110万円までは非課税ですから、10年前から行えば1100万円を移せますね。お孫様が4人おられれば4400万円になります。このように計画的に贈与を行えば、時間の活用が節税効果を大きくしてくれるという面もあるのです。

深津:相続開始前3年以内に贈与された分は相続財産に加算されてしまいますが、相続されていないお孫様などへの贈与は加算から外れますので、余計に効果的ということになりますね。

土地・建物を所有していれば課税対象になる可能性も?! 他人事ではない相続税

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手前から金子幸男氏、小林登氏、代表取締役 下吹越一孝氏、戸島潤吏氏、深津栄一氏

Q:2015年1月から適用の税制改正で相続税に大きな影響があったそうですね。

深津:大幅な税制改正で、相続税については基礎控除額が4割も引き下げられ、税率区分が6段階から8段階に変更された結果、課税対象となるケースが以前よりも増えています。2015年11月頃から改正後のルールが適用された相続税の申告分が出てきましたが、実際、従来より2〜3割は申告件数が増えました。マスコミなどの報道でも取り上げられ、話題になりましたね。

小林:当事務所でも、相続税の申告件数は5割ほど増えました。相続財産が1億円前後というケースですね。地価の高い首都圏においては特に、自宅やアパートを所有していれば、もはや他人事ではなく、相続税の問題はどなたにも降りかかってくると言えるでしょう。

深津:法人税や所得税の場合は利益に対しての課税です。そのために、利益があがればその分を現金預金として手元にキープできるので、納税に備えての資金を残しておけば問題ないのですが、相続税は亡くなった時点の財産評価に対して課税されるというのが難しい点です。納税資金をどうつくるのかといった対策も必要ですから、早くから考えることが大切なのです。

Q:賃貸の集合住宅を経営しているオーナー様に適した相続税対策はありますか。

戸島:オーナー様の中にはアパートを1棟だけでなく4棟、所有している方もいらっしゃいます。そうした場合、不動産管理会社を設立し、個人事業主として所得税から法人税に切り替えることによる節税のやり方もアドバイスしているのですが、相続対策としてはその会社の株式を事前にお子様に配分しておくといった方法もあります。あらかじめ配分しておけばスムーズに事業ごと引き継げるわけですね。
一方、貸家の中でも小規模宅地の土地の評価減の適用を受けられる場所であれば会社にせず、個人事業主として所有しておくほうが良いケースもあります。このように、オーナー様それぞれの資産背景など全体を拝見し、それに適した対策が考えられますので、バリエーションは数限りなく、オーダーメイドのコンサルティングになりますね。

認知症リスクに備えるトレンドとして、信託の活用が相続対策のポイントに

Q:高齢化社会における相続対策はいかがでしょうか。

深津:病気や認知症などで相続人の意思決定が難しい場合には、従来は後見人制度などでの対応が考えられましたが、この制度の目的は財産の保全というところであり、相続税対策は逆に行いづらくなってしまうのです。
そこで私たちが積極的に考えているのが、信託の活用です。財産を信託の形にして委託者・受託者という立場に置き換えることで、様々なやり方での相続対策に活かせるのです。

戸島:信託というのは、ご本人が委託者として信託契約を結び、信頼できる受託者に財産を名義ごと転換して、委託者の設定した目的に沿って財産の管理や処分を託すことです。従来は許認可を受けた信託銀行などしか行えませんでしたが、2006年に信託法が大きく改正され、家族でも行えるようになりました。比較的新しい制度なので、実例はまだ多くはなく、実務で活用できるようになってきたのも最近です。
相続対策として非常に有効ですので、JPコンサルタンツ・グループでも信託部会を結成して信託法を深く理解し、より効果的な活用法を模索、共有しています。

(プロフィール)
株式会社JPコンサルタンツ・グループ 代表取締役
ペンデル税理士法人 代表社員
公認会計士・税理士 下吹越 一孝
鹿児島県指宿市出身。早稲田大学卒業後、1979年に監査法人朝日会計社(現あずさ監査法人)入社。その後、コンサルティング会社勤務を経て1992年下吹越会計事務所(現ペンデル税理士法人)を設立。2008年に株式会社JPコンサルタンツ・グループを設立し、2013年に代表取締役就任。一般法人や病医院の経営コンサルティングを得意とし、現在も顧問先含め多くの会社の取締役や監査役に就任している。

株式会社JPコンサルタンツ・グループ 取締役
税理士法人JPコンサルタンツ
税理士 小林 登
1971年東京国税局総務部・東京国税局管内税務署に勤務し、主として資産税関係事務を担当。1996年神田署を最後に退職、小林登税理士事務所開設。2005年税理士法人トゥモロー・ジャパン設立。待山会計事務所との経営統合化により、2012年税理士法人JPコンサルタンツに組織再編し、代表社員就任。資産税特化税理士として全国に名を馳せ、年間100件を超す相続案件を手掛ける。

税理士法人おおたか
社員税理士 深津 栄一
東京生まれ。東洋大学経営学部経営学科卒業。東京・日本橋にある商社就職後、税理士を目指し東日本橋にある吉村税務会計事務所へ転職、1990年税理士試験合格、1991年4月税理士登録。吉村税務会計事務所と税理士法人おおたかの統合化に伴い、2015年7月税理士法人おおたかに入所し、2017年社員税理士就任。

ペンデル税理士法人 税務部部長
税理士 戸島 潤吏
一般事業会社を経て、1999年に大手会計事務所に入所し税務の専門家としての経験を積んだ後、2001年にペンデル税理士法人入所。企業のタックスマネジメントやM&A(合併等)の提案、相続税や事業承継対策などの業務に従事している。JPコンサルタンツ・グループ組織活動の一翼も担い、職業会計人のための税務戦略マスターズクラブ「JP税務戦略研究会」の顧問相談役を担当している。

株式会社JPコンサルタンツ・グループ 執行役員・統括本部長
金子 幸男
会計事務所勤務の後、大手会計システム会社、会計業界専門企画会社、全国会計事務所研修組織団体を経て、2008年5月株式会社JPコンサルタンツ・グループの立ち上げに参画し、設立とともに執行役員・統括本部長に就任する。これまでの三十余年間、一貫して会計業界に軸足をおき、会計事務所の発展・繁栄に資する経営支援業務に携わり、幾多の事例を踏まえ、先進会計事務所の研究研鑽に努める。

JPコンサルタンツ・グループ
税務会計業務に隣接する経営コンサルティングの専門力を結集させたワンストップサービス体制を整え、幅広い顧客ニーズに対応して解決策を見出す実践手法は評価が高い。JPメンバーの構成事務所は関東全域をはじめ全国にわたり、タックスプランニング、業績改善、組織再編、マーケティング、ベンチャー支援、相続事業承継対策に至るまで多くの実績を有す。また、メンバーによる執筆・講演活動のジャンルは広く、積極的に取り組む姿勢は各方面から賞賛の声が寄せられている。
http://www.jp-cg.jp/

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