【前編】中古家具に新潮流、家具のリユースとは『従来の家具の使われ方への問題提起〜IDC大塚家具グループ リンテリア株式会社〜』

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家具を捨てたことはあるでしょうか? どんなに愛着があろうとも、自治体に届け出て廃棄する時には、粗大ゴミという扱いになってしまいます。
断舎離ブームや子どもが巣立つなど生活の変化に伴ってコンパクトな住まいに移るなど、身の回りを整理する方も多くなっています。
そんな中、家具市場にも「リユース」という再利用の流れが生まれています。その背景や反響を、IDC大塚家具グループ リンテリア株式会社取締役事業部長の安部健一氏に伺いました。

4ヵ月で3万件にも及んだ、家具リユースへの問い合わせ

Q:まず、大塚家具のリユースの仕組みについて、教えてください。

A:使われなくなった家具の下取りや買取りをして、新たに使い継いでくださる方へ橋渡しをしようというものです。大事な家具を捨ててしまうことなく、私どもがお引き受けしてクリーニングや補修を施し、その家具を気に入ってくださる方に橋渡しをしていこうという取り組みになります。
2015年10月に家具の買取り査定とクリーニング、補修を行うリンテリア株式会社を大塚家具の子会社として設立し、試験的に下取りを始めたところ、月に400件ものお問合せをいただき、お客様のニーズを実感いたしました。それを受けて、2016年9月からは買取りも始めました。

Q:反響はいかがでしたか。

A:多い日には2000件も電話でのお問い合せをいただきました。9月からの4ヵ月でお問い合せ総数は3万件を超え、その6割強が実際に査定にもつながっています。 実は事前の調査でも、お客様の約7割が「家具やインテリアで生活が変わる」と感じる一方で、半数近くは「買い替えたいのに替えられない」という結果が出ていました。そして、その理由として予算面に次いで多かったのが「処分するのがもったいないから」という回答であり、別の問いでも「捨てようと思っているが踏み切れない家具がある」という方が4割を超えていたのです。
こうしたリサーチの結果が、現実にお問い合せやお取引として表れているのではないでしょうか。

次の使い手への橋渡しのため、程よい補修による手ごろな価格帯でのご提供を

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Q:「大塚家具」というトップブランドである老舗がリユースを行う意味について。

A:私どもが店頭でお客様と接している中では、「祖母から譲り受けたチェアが部屋に合わなくなってきた」「捨てるのは忍びないので、どなたかに使っていただけないものか」といったご相談を受けることが少なくありませんでした。
当社にはもともと修理部門もございますし、海外から輸入したアンティークやヴィンテージの家具もこの20年ほど扱って経験値を重ねてきました。それで、家具のリユースという新しいご提供のあり方を提案できるのではと考えたわけです。

Q:家具市場で従来からある「リサイクル」との違いは何でしょうか。

A:手を加えることなしに、そのままの状態で低廉な価格で再販されるのがリサイクルです。私どものリユースでは、大塚家具の基準でメンテナンスを施し、衛生面でも問題のない状態にした形で、なおかつ価格的にもお求めやすくご提供します。使用年数や状態にもよりますが、元値の半額以下でのご提供を目安としています。家具として再びご愛用いただくのが目的ですから、修理があまり完璧過ぎると新品に近いお値段になってしまいますので、再販のイメージから逆算して、頃合いの良い修理までとしているのです。

Q:価格設定が重要になるのですね。

A:そうですね。大塚家具の扱う商品は高価なのではないかというのが、多くのお客様の印象ではないかと思います。たしかに、私どもの考える良い商品というのはそれなりの価格帯で、長い間お使いいただけるようなものが中心です。
リユースという提案をさせていただくことで、同じグレードの家具を半額以下でご提供できます。そうなると、ファストファニチャーといわれる商品に代わる選択肢にもなるでしょう。
価格のイメージで大塚家具を敬遠されていた方にも、興味を持っていただけるきっかけになれば、ありがたいことですね。

調達がますます困難になる木材の再利用や、雇用されずにいる職人の技術の新たな活用にも

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Q:良い家具を長く使い続けるということの促進にもなりますね。

A:もともとのオーナー様の手を離れてなお、メンテナンスを経ることで、良いコンディションでお使いいただけることになりますので、社会全体としてもエコにつながると思います。また、昔の職人の手仕事を再現するのは年々難しくなってきていますし、木材や金属などの材料にしても、今ではもう手に入らないような品質のものも少なくないのです。木目を見るだけでも、昔の材料の上質さというのを感じられますね。
本当に良いものであれば、家具としての使用に耐えられなくなったとしても、パーツとして残して、再利用するという道もあるほどです。地球規模で木材は枯渇に向かっていますし、廃棄するにしてもCO2の排出になってしまいます。新しいものを作る時にも、今は材料の調達が難しくなってきているのです。

Q:生産者の現状はどのようなものでしょうか。

A:新品の生産だけでは家具市場が縮小してきているため、大変難しい状況にあります。丹精込めて作り上げた家具が、一時期だけの使用で捨てられてしまっては生産者として耐えがたいと思います。それでも、次々につくり続けないと自分たちの生活が成り立ちません。さらに、木材の調達も難しいというので、困っていたわけです。
そんなところに大塚家具がリユースという家具再生に手を挙げたことで、皆さんにも注目していただいています。家具を修理し、リユースとして流通させていくことで、家具業界の雇用創出にもつながっているんですね。
地方では生産量が下がった状況では、技術がある方でも家具関連の会社では働くことができず、やむを得ず別業種のアルバイトで生活していく、そんな現実もあると聞きます。せっかくの技術を活かせなければ、それは業界として大変もったいないことです。私どもでは、リユースに欠かせない修理の仕事のために、生産地に向けてのお声がけを始めているところです。思わぬ副次効果ですが、これもリユースの賜物ですね。

それでは後編では、リユースの今後の可能性と、それが生み出す価値についてお話しします。

プロフィール
IDC大塚家具グループ
リンテリア株式会社
取締役事業本部長
安部健一

1996年株式会社大塚家具に入社。
本社有明ショールームにて営業およびバックオフィス業務に従事。
1998年より商品部商品開発課で日本国内だけでなくヨーロッパ、アジア諸国も含め商品開発および商品企画、MD政策に従事。2015年5月、営業本部に異動し、新規事業プロジェクトリーダーとしてリユースの事業化を検討。
同年10月、リユース事業本格開始のために設立された子会社【リンテリア株式会社】の取締役事業部長に就任。当初は6名でスタートした同社も、リユースの反響の大きさに査定担当や補修スタッフの補強を続け、現在は66名の規模に。

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