【前編】働き方シンポジウムで確認できたダイバーシティのこれから『広島のシンポジウムで語られたダイバーシティの最新状況』

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ダイバーシティのこれから
多様なバックグラウンドを持つ従業員の様々な視点や考え方を事業に組み込むことで、経営改善や向上を目指すダイバーシティ経営。レオパレス21でも、ここ数年ダイバーシティ経営を企業方針の基軸のひとつに据えて、人事制度をはじめ数々の施策で働き方改革を着実に進めています。その中で、女性が活躍するための支援や環境づくりに深く関わっている笹尾佳子(ささお よしこ)社外取締役に最近の取り組みについて伺いました。

行政の本気度と、参考になる事例で有意義だった「働き方改革」のシンポジウム

Q:昨年10月に開催された「働き方改革推進シンポジウムin広島」に参加されたそうですね。

A:パネルディスカッションの進行役を依頼され、務めてきました。主催の中国経済産業局とは、2年前に私が特任研究員を務める法政大学大学院政策創造研究科の坂本光司研究室が、島根県の「いい会社づくり事業」で地元中小企業に向けたコンサルティングを実施したご縁がありました。今回は中国経済産業局が広島県でシンポジウムを開催する際、パネルディスカッションに実務系の進行役を探されていて、私に白羽の矢が立ったようです。前職での企業再建の経験を記した私の著書を、ご担当者の方が読まれていたことも影響したようです。

Q:今回の広島のシンポジウムはどのようなものでしたか。

A:定員180人の会場は、ほぼ満席で、大手企業の人事担当者や中小企業の経営者などで埋め尽くされていました。最初に、広島県商工労働会議所連合会会頭、日本労働組合総連合会広島県連合会会長、広島県知事、広島市長、広島労働局長、中国経済産業局長といった行政や経済・労働団体のトップの方々が、それぞれスピーチで今回のテーマである働き方改革や女性活躍推進に向けての宣言を行い、全体としての本気度が伝わってくる、熱のこもったものでした。
その宣言を受けて、まず基調講演で資生堂の取り組みが発表されました。同社の女性活用は先進的で、女性にとって働きやすい風土をつくってきました。その成果として勤続年数は伸びたものの、女性管理職をさらに増加させることには苦労されているようです。そうした背景を踏まえて、現在は「働きやすさから働き甲斐へ」という課題への取り組みが進められており、その実例が臨場感をもって伝えられました。
次に行われたのが、「多様な人材の活躍と働き方改革による企業の成長事例紹介」と題するパネルディスカッションです。初めに私から、今までの価値観を打ち破って女性が活躍できる環境を整えるには、企業再建くらいの思い切ったマネジメントが必要だというメッセージを、実例を交えて述べさせていただきました。続いて、地元の企業2社と日産自動車からの出席者の方々がそれぞれ高齢者、外国人、女性の力を活かした実践事例をお話しになりました。

多様な人材がそれぞれ活かされるマネジメントがダイバーシティ経営

ダイバーシティ経営
Q:まさに、ダイバーシティ経営そのものがテーマですね。

A:そうですね。ダイバーシティ経営とは、女性や高齢者、さらには障がい者や外国人、時短で働く方など、多様な人材が自分の力を活かして活躍できるマネジメントであり、そのことが企業に価値を生み、競争優位性をもたらすものです。シンポジウムで示された実例でも、高齢者を心理的に気づかうだけでなく、体力的にもフォローして周囲がカバーするなど、一番弱いとされる立場の人に焦点を当てたマネジメントを行うことで、人手不足の回避や従業員のモチベーションアップにもつながっているとのことでした。日産自動車では、いわゆるゴーン改革の流れでダイバーシティを重視した大胆な組織変革を実行した結果、10年を経て女性が活躍する比率も高くなり、新商品開発にそれが活かされ、社会的にも働き方改革を評価する様々な賞に輝くなど、実績が具体的な形になっています。自動車業界というのは重厚長大産業の代表格ともいわれ、まだまだ保守的な風土の会社が多いのですが、関連企業も含めると日本社会への影響も大きく、その点でも日産自動車の事例には学ぶべきところが大いにありましたね。シンポジウム全体としても、今の日本におけるダイバーシティの取り組みを概観できる内容だったと感じます。

「ホワイト500」「準なでしこ銘柄」など社会的に評価され始めたレオパレス21

「ホワイト500」「準なでしこ銘柄」
Q:広島という地方都市における状況に、東京との違いは感じられましたか。

A:実は広島県の湯崎英彦知事は、初めて育児休暇を取得した知事としても知られている方です。「仕事でチャレンジ! 暮らしをエンジョイ! 活気あふれる広島県 〜仕事も暮らしも。欲張りなライフスタイルの実現〜」というビジョンを掲げ、県としても働き方改革のスケジュールを見える化するなど、積極的にダイバーシティに取り組んでいるのです。ただ、自動車や船舶など重厚長大産業の企業が多く、近年は業績も良いことから、変革の機運が現場にまで波及するのはまだ先のことかもしれません。県としてはムーヴメントを起こしたいところですが、働き方改革の実践には行政と企業の足並みを揃えることが重要といえるでしょう。
また、東京においても、ダイバーシティが進んでいるといえるのはまだまだ一部の企業のみです。一部上場企業の多くでは両立支援制度が整っており、長く働ける環境整備は進んでいますが、現場では「男性の仕事」と「女性の仕事」がはっきり分かれているなど、保守的な風土の変革にはまだ時間がかかるようです。
重要なのは、経営者が強い意志を持ってダイバーシティ経営に本気で取り組めるかだと思います。その意味ではむしろ中小企業のほうが結果を出しやすいかもしれません。経営者の熱意で会社全体の風土がダイバーシティ化に向かい、それが企業トピックとしてマスメディアに取り上げられるなど、社会的に評価を受けるようになると、従業員のプライドやモチベーションにもつながり、良い循環が生まれます。
実は今、レオパレス21がそうした良い循環を見せ始めるようになっています。これまでの取り組みが評価されて、経済産業省の「健康経営優良法人2017(大規模法人部門)〜ホワイト500〜」認定を受け、平成28年度の「準なでしこ銘柄」にも選定されました。後者は経済産業省が東京証券取引所と共同で、中長期の企業価値向上を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として、女性活躍推進に優れた上場企業を紹介するものです。全上場企業約3500社の調査を経て、業界ごとに「なでしこ銘柄」は1社、「準なでしこ銘柄」に選定されるのは全業種でわずか25社ほどですから、大変名誉なことなのです。
後編では、レオパレス21で行われているダイバーシティの取り組みについてお話しします。

(プロフィール)
株式会社レオパレス21 社外取締役
笹尾佳子
1984年に株式会社リクルート入社。『就職情報』『とらばーゆ』『じゃらん』『ゼクシィ』などの営業を経て、2000年、株式会社リクルートスタッフィングで営業アウトソーシング事業の立ち上げに関わり、4期で100億円ビジネス規模に成長させる。2004年、最優秀経営者賞および最優秀ユニット賞受賞。
1992年、企業派遣として早稲田ビジネススクールに国内留学。リーダーシップ理論を学ぶ。2003年、法政大学大学院経営学修士取得。
2006年、東京電力株式会社への転職を経て、2007年、同社の子会社で介護事業を行う東電パートナーズ株式会社に常務取締役として経営再建に入り、2年で黒字化を実現。
2012年7月から同社代表取締役を務める。
2015年より株式会社レオパレス21の社外取締役に就任(現任)。
2017年4月から長谷川ホールディングス株式会社 執行役員および長谷川ソーシャルワークス株式会社 代表取締役に就任(現任)。
中小企業診断士、介護福祉士。
法政大学大学院政策創造研究科坂本光司研究室特任研究員。
中央大学大学院戦略経営研究科博士後期課程入学(佐藤博樹研究室)。
著書:「業界未経験で、初めて企業再建いたしました」朝日新聞出版

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