【後編】中古家具に新潮流、家具のリユースとは『エコ、再生、モッタイナイで社会貢献に〜IDC大塚家具グループ リンテリア株式会社〜』

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家具のリユース
従来の中古家具とは異なり、丁寧なメンテナンスを経て、新たに使い継いでくれる人への橋渡しとなる家具の「リユース」。前編では、その背景や反響をIDC大塚家具グループ リンテリア株式会社取締役事業部長の安部健一氏に伺いました。後編では引き続き、リユースサイクルが習慣化する可能性やそれが生み出す価値についてお聞きしました。

ただ安いのではなく、上質な家具がリーズナブルなのが大塚家具のリユース品の良さ

Q:リユース品を購入されるのは、どういった方でしょうか。

A:やはり品質からすればかなりお買い得ですから、ご予算を抑えたいという方には好評ですね。また、意外なことでしたが、リユース品でご希望のものを見つけられると、当初のご予算のうちから浮いた分で「その価格ならこちらの商品も」というように、ついで買いをしていただけることもあります。

Q:リユース品はどのように販売されるのですか。

A:ほとんどが店舗における販売です。取り扱い点数が多いのは、横浜と大阪南港にある「アウトレット&リユース」と銘打った店舗で、どちらも常時120〜150点は展示しています。この業態が好評なので、2017年2月からは東京有明でも同様の店舗を展開しています。
そのほかの大塚家具の各店舗にも、点数は多くはないのですが扱っています。いずれも展示方法は、リユース品だけの売り場を設けるのではなく、通常の品と同じようにスタイルごとの売り場展開の中で、さりげなく置いています。商品札のところにリユース品と書き添えてあり、「個人宅にて××年使用した商品となります」などと記載してあるんですね。ですから、リユース品目当てに探すというよりは、ご希望に合う家具を探される中で、ふと出会われるといった感じですね。

良い材料であれば、アート性を加味して、さらに価値を上げることも

アート性を加味して、さらに価値を上げることも
Q:良い家具を使い継いでいくサイクルが習慣になれば良いですね。

A:そうですね。自動車や宝飾品の世界では、中古でもクオリティの高いものが使い継がれてきた実績があります。同じように、家具でもそのようなマーケットが成立していれば、習慣化されていくのではないでしょうか。
もともと家具は一生使うのが美徳でした。一つひとつを丁寧に販売してきた私どもにとっても、その家具に不具合もご不満もなければ一生そばに置いていただきたいのですが、今の社会では生活環境や嗜好の変化もあるものです。その家具が次の方へと届けられるという受け皿がありさえすれば、罪悪感なしに手放すこともできるでしょう。
洋服ほど自由ではないにせよ、家具も、一生のうちに何回も替えられるとなれば、ずいぶんと日本におけるインテリアに対する感覚も違ってくるのではないでしょうか。20代と40代では生活も好みも変わってきますしね。

Q:そのほか、付加価値をつけて送り出すプロジェクトにも参加されていると聞きました。

A:俳優の伊勢谷友介氏が代表を務める株式会社リバースプロジェクトとの取り組みですね。「NEW RECYCLE」という、リサイクルビジネスの価値向上と活性化を目的に、様々な業種が連携していくアライアンスに大塚家具のリユースも参加しているのです。
実際にリンテリアの仕事場に伊勢谷氏も何度か足を運ばれていて、宝の山と言っていただいています(笑)。私どものリユースは修理し過ぎないようにして手の届く金額で提供しますが、彼らは資源を最大限に活かしながら、アーティストの美意識でクリエイティビティを加えて、新たな価値を加えていくというコンセプトなんですね。
これまでにも彼らは、Leeの厳しい審査基準から排除されてしまうジーンズや残反、害獣として駆除される鹿の皮、ちょっとした織り傷や染めムラのあるようなB反生地などを上手く取り入れてアップサイクル製品づくりに活かしています。家具にも応用して張り地に採用できないかなど、いろいろなアイデアを出し合い、コラボ商品をお披露目したところです。
素材が良いものであれば、まったく新しいものに生まれ変わることも可能であるというのは、面白い視点だと思いますね。

減価償却のサイクルに陥るのではなく、味わい深さでアップサイクルに

アップサイクルに
Q:リユースを通じて大塚家具として訴えていきたいのは、どういったことでしょうか。

A:目指しているのは「アップサイクル・リユース」です。通常、一般的に商品は新品から使っていけば、経年に従って価値は下がっていくもので、廃棄されるまでダウンし続けます。アップサイクルとは途中でそれに手をかけることでアップの方向に転換させていくということです。
ヨーロッパではアンティーク市場というものが古くから醸成されていますが、古くて残っているものはつくりの良いものだという考えで、大事にメンテナンスしながら使用するという行為そのものがその方自身の価値をも高める社会なんですね。アンティークを所有されている方の品格が評価されるのです。
家具で言えば、良いものは使い込むほどに味わいが出てくるものです。良い材料は経年変化も美しく、安全性や耐久性といった点にも優れています。日本でも良い家具が数多く製作されてきましたが、これまでは少し新しいものに飛びつき過ぎてきたところがあったかもしれません。
ただ、最近は特に若い方ほど落ち着いていて、新品のきらきらした感じより、上手くこなれ感の出たものやあえて時代を感じさせるものを好まれる傾向もあります。町家や古民家ブームのようなトレンドもありますので、そうした感覚を持った方たちにも、大塚家具が蓄積してきたものを提案できればと思います。

プロフィール
IDC大塚家具グループ
リンテリア株式会社
取締役事業本部長
安部健一

1996年株式会社大塚家具に入社。本社有明ショールームにて営業およびバックオフィス業務に従事。1998年より商品部商品開発課で日本国内だけでなくヨーロッパ、アジア諸国も含め商品開発および商品企画、MD政策に従事。2015年5月、営業本部に異動し、新規事業プロジェクトリーダーとしてリユースの事業化を検討。同年10月、リユース事業本格開始のために設立された子会社【リンテリア株式会社】の取締役事業部長に就任。当初は6名でスタートした同社も、リユースの反響の大きさに査定担当や補修スタッフの補強を続け、現在は66名の規模に。
http://www.re-interia.jp/

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