ついに民泊解禁!規制緩和によるグローバル化の進行と新しい可能性

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個人宅の空き部屋に旅行者などを泊める「民泊」がいよいよ解禁されます。年間の営業日数を年180日未満とすることなどの条件はありますが、訪日外国人旅行者の急増を背景とする宿泊施設不足の受け皿として、新法施行直前の「民泊」の可能性を探ります。

営業へのハードルが下がる?!「新法民泊」で民泊ビジネスが届出制に

日本でもグローバル化が叫ばれるようになって久しいですが、いわゆるインバウンド、訪日外国人旅行者も2012年から着実に伸び続けており、2015年には1973万人を超えました。政府が掲げる目標としては、2020年の東京オリンピックイヤーには訪日外国人旅行者を4000万人を目指しており、受け入れ環境整備や観光サービスにおける多言語対応の強化と改善、無料公衆無線LANの整備などへの取り組みが推進されています。まさに官民一体となってグローバル化に向かっているのです。

そんな中、新たな宿泊施設としての期待も寄せられる「民泊」が大きく変わろうとしています。これまでの民泊は、旅館業法にもとづく許可を取得して行うものと、国家戦略特区の指定地域であって民泊条例が制定された自治体で営業するものの2種類でした。第3の民泊というべき「新法民泊」は、2016年6月に閣議決定された民泊新法によって規定されるもので、施行されれば行政への届出による申告制で営業が可能と見込まれています。

これは、旅館業法の厳しい条件をクリアして宿泊施設を営業してきた旅館業界からすれば大問題で、新法民泊を機に宿泊ビジネスへの足がかりを考える不動産業界との間で対立の様相を呈しています。そうした背景もあり、新法民泊では営業日数を年180日未満、つまり1年の半分以下と設定しています。また、自治体による条例でさらに営業日数を制限することも可能で、観光客の流入を望まない自治体であれば条例の執行もあり得るかもしれません。

近隣トラブルへの対応をどう考えるか、自治体ごとの選択がグローバル化への鍵

近隣トラブルへの対応をどう考えるか
自治体の頭を悩ませる大きな問題は、民泊の広がりによって危惧される、ゴミ出しや騒音といったマナーの問題による近隣トラブルです。これについては、家主が居住しながら住宅の一部を提供するホームステイ型民泊であれば、家主に管理や苦情対応が求められることになります。家主が空き部屋、空き家を事業者に管理委託して運営するホスト不在型ではトラブルのリスクも高まるため、観光庁では新法の施行に合わせ、民泊全般に関するワンストップの相談窓口を設ける方針です。それでも、自治体によっては温度差が早くも表れています。

長野県の軽井沢町では「国際親善文化観光都市および保健休養地としてのまちづくりを進めてきており、善良なる風俗の維持と良好な自然環境の保全に尽くしてきた」ことから「不特定多数による利用や風紀を乱すおそれがある」として、町内全域において民泊施設の設置を認めないと宣言しています。一方で、湘南エリアのひとつ、神奈川県三浦郡葉山町は「オリンピックセーリング会場、ラグビーワールドカップ決勝開催に伴い、今後さらに多くの外国人観光客が見込まれる」とし、神奈川県が知事の発言などで民泊の積極活用を進めようとしているのに同調して、葉山町としても民泊推進を図っていきたいとの意向を示しています。

これらの対応の違いは、リゾート地の在り方として象徴的です。軽井沢町は主に日本人を対象に、高級感ある環境を守っていき、葉山町は世界に開けたリゾート地として外国人や若者との交流を積極的に図るグローバル化に、それぞれ活路を見出しているといえます。

農業体験から高校の部活動体験まで 知恵の絞り方で観光資源は無限大に

知恵の絞り方で観光資源は無限大に
こうした選択は、リゾート地でなくても、今後、全ての日本の自治体で考えていかなければなりません。というのは、外国人旅行客にとっては観光地でなくても魅力的な土地が、日本各地にあるからです。例えば、日本人には観光地としてのイメージがそれほど強くない茨城県は、2016年度の海外からのツアー催行を前年度の約4倍に相当する1363件、3万9572人に伸ばしています。この伸びは、県国際観光課職員の取り組みが功を奏したともいえ、県民全体へのおもてなし意識の啓蒙や外国人に興味を持ってもらえそうなスポットを聞き取り調査し、ツアースポットとして提案するなどの積極的な活動に基づく結果でもあります。その先には、リピーター向けに地域の高校で剣道、茶道といった日本ならではの部活動を体験してもらうといった企画提案までされているのです。

これはつまり、どこの自治体でも世界に向けて開こうとする意識があれば、グローバル化ができるということにほかなりません。考えようによっては、過疎に悩む地方自治体であっても、田植えや稲刈りといった農業体験を絡めたファームステイなど、その土地ならではのリソースで外国人に魅力を発信してグローバル化を試みることができるかもしれないのです。また、その時には一般の日本人が暮らしている家屋に宿泊するのも一種の体験として、プラスアルファの魅力と映ることでしょう。

民泊は、現在利用されていない不動産の活用法に新たな道をつくる有効な手段です。空き家・空き部屋を少しでも宿泊施設として用いていくことが、新たな街づくりや再開発、ひいては観光業などの産業推進化、地域のグローバル化につながる可能性を秘めているのです。

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