標準的な新築住宅でのZEHは2020年に達成は可能?推進の課題とは

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ZEH推進のための施策や普及への課題
政府が2020年までに標準的な新築住宅でのZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の達成を進めています。しかし、ZEHの実現には費用面や太陽光発電の買取価格の下落といった問題があります。政府のロードマップをもとに、ZEH推進のための施策や普及への課題などをまとめます。

住宅一つひとつのエネルギー収支をゼロにすることで社会全体を省エネに

ZEHとは、住宅のエネルギー量の収支をゼロにするために、消費エネルギーを創出エネルギーによって相殺する仕組みを持つ家のことです。つまり、高断熱化などで夏は涼しく冬は暖かいつくりにすることでエネルギー消費を極力抑え、設備も高効率化に努める一方、自らエネルギーをつくり出す太陽光発電などを用いることで、1年間に消費するエネルギー量を正味でほぼゼロとするのです。

このZEHは、国全体のエネルギー消費の節約に寄与するほか、国際的な地球温暖化対策への取り組みとしても貢献が見込まれ、災害時でも住宅がエネルギー的に自立するメリットがあります。政府は2014年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」において、2020年までに標準的な新築住宅、そして2030年までには新築住宅の平均において、ZEHの実現を目指すという普及目標を設定しました。

普及への道筋として、ZEHビルダーの登録、周知を

ZEHビルダーの登録
ZEH支援のための補助金交付も行われており、2012年には交付決定数443(申請数476)であったのが、2016年には交付決定数6356(申請数9993)と、交付実績は大幅に増加しています。また、政府目標を具現化すべく、各ハウスメーカー、工務店などが自社のZEHが占める割合を2020年までに50%以上とする目標を自社サイトや会社概要で公表し、実現に努めることで「ZEHビルダー」として登録を受けることができ、2017年2月の時点での登録社数は4700を超えています。「ゼロエネルギーで暮らそう」というキャッチフレーズやロゴマークもつくられ、今後広報活動によって広く周知されていくことが期待されます。

実はZEHでは、従来の省エネ基準よりもエネルギー使用量をさらに20%ほど軽減させる必要があるといわれており、それには家庭内設備に加え、建築物の躯体そのものの設計技術が大きく関わってきます。そうしたノウハウを確立しつつある大手ハウスメーカーでは、ZEHを商品として展開して着工に結び付けることができますが、ノウハウのない小規模な工務店ではなかなか難しいかもしれません。それでも「ZEHビルダー」として名乗りを上げるため、ZEH普及目標に向け、本腰を入れて取り組む工務店が増えている現在の状況は好ましいものといえるでしょう。

補助金では賄いきれない初期費用やランニングコストをどう考えるか

ランニングコストをどう考えるか
ただし、省エネルギーを目指す住宅では、やはり建築費もそれだけ高くなります。断熱材、断熱窓など機密性を高める装備、そして太陽光発電機を屋根に設置するなど、プラスアルファの費用を考えなければなりません。前述の補助金は、補正予算の成立前提ですが、2017年度は1戸あたり約75万円となる予定です。それを建築費用や設備資金に見合うものと考えるか、あるいは初期投資と割り切って建築後の生活の中での光熱費の軽減などで取り返せるものと考えられるかが重要です。

太陽光発電システムの設置費用は、自然エネルギーブームもあって年々下がる傾向にあり、今後も関連各社の企業努力や競争、海外メーカーの参入などによって下がり続けていくことが予想されます。しかも、それと連動して売電価格も下がってきているのが実情です。ZEHにおいて、太陽光発電などでつくられた電気は、主に住宅内での消費に充てるものとして指定されていますが、売電への期待が薄らぐのであれば、ZEH建設自体へのモチベーションに関わってくるかもしれません。

また、ZEHにおける省エネルギー機能の屋台骨となるHEMS(ヘムス:ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)についても、政府は2030年までに全ての住まいへの設置を目指していますが、こちらもあまり普及が進んでいません。やはり、初期費用の大きさが障壁になっているようです。現在、電力やガスの小売り自由化によって各社の様々なメリットをアピールしたサービス競争が繰り広げられていますが、その使用量をモニター画面で見える化して家電機器を自動制御するHEMSは、そのサービス差別化において絶好の訴求アイテムにもなり得ます。そうした機会を通じてエネルギーコストへの再注目を促すとともに、社会にとってのエネルギー問題も改めて考えるべきではないでしょうか。

もともと、東日本大震災による電力供給の不安定から自然エネルギーへの期待や省エネルギー住宅の普及が叫ばれるようになったわけですが、社会全体が「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」といった感じで、エネルギーへの関心を失ってしまっているのかもしれません。人々がその重要性を再認識することがZEHの普及にもつながっていくことでしょう。


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