ASEANの中で日本企業が進出しやすい国とは

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ASEANの中で日本企業が進出しやすい国
かつては世界の工場といわれた中国の人件費高騰やカントリーリスクから、日本企業の海外進出先はASEANの国々にシフトしています。チャイナプラスワンとして進出が盛んなタイのみならず、周辺国へも積極的な展開が行われています。2015年には、10ヵ国によるASEAN共同体が発足し、今後の発展が期待できる市場としても、世界から注目されています。そこで、ASEANの中でも日本企業が進出しやすい国はどこか、人口などのデータをもとに7ヵ国をピックアップして検証していきます。

若年層の割合が多く消費市場としても期待大

高齢化が進み、国内市場の縮小が懸念される日本にとって、若年層が多い人口構造のASEAN諸国は、労働力のみならず、消費市場としても魅力です。日本の人口構造は、0〜19歳が17.5%と若年層の割合が低くなっています。

インドネシアの人口は約2億6000万人とASEAN最大であり、0〜19歳の若年層の割合が36.5%、20〜39歳は31.7%を占めています。インドネシアに進出する日本企業は自動車産業が中心ですが、現地のミニバン市場が好調です。今後、20人に1台と言われる自動車保有率が上昇しても、若年層が多いことで、全体の消費は落ちることなく市場規模を維持することが期待できます。輸入に頼っていた部品生産の現地化を進めることで、生産コストも抑えて国際競争力を高めています。インドネシアで生産した自動車を中近東地域へ輸出するなど、グローバル拠点としても位置づけられるようになりました。

中国からの生産拠点移行が進むカンボジアの人口は約1500万人と、マーケット規模はやや小さいものの、0〜19歳の若年層が41.1%と高く、20〜39歳も34.3%とこれからの市場拡大が期待される国といえます。日本をはじめとする外資系企業の進出に伴う内需の拡大が注目されている国としては、人口約9400万人、0〜19歳の若年層の割合が30.3%、20〜39歳は34.4%のベトナムも挙げられます。

こうしたASEAN諸国へ積極的に進出している日本企業は、小売業のイオングループです。ベトナムには4店舗を展開し、インドネシアとカンボジアにも既に出店しています。インドネシアは2017年から2018年にかけて3店舗、カンボジアでは2018年に1店舗出店予定があり、さらに拡大していく予定となっています。

また、フィリピンは人口約1億2000万人で日本と同程度の規模ですが、0〜19歳の若年層が41.5%を占め、20〜39歳も31.6%です。日本企業の進出はプリンター関連産業やソフトウェア開発など製造業が中心ですが、将来的な消費市場の拡大が大いに期待されている国です。人口約5400万人のミャンマーも、0〜19才が36.3%、20〜29歳は31.9%と若年層の割合が高く、タイプラスワンの製造拠点として自動車産業の進出が相次いでいます。

タイをはじめ仏教国が多く親近感が湧きやすいのもプラス材料

タイをはじめ仏教国が多く親近感が湧きやすい
宗教の面では、タイやベトナム、カンボジア、ミャンマーは仏教徒が多く占めることも、日本企業にとっては進出のしやすさにつながっています。特にタイは寺院が多く、生活に仏教が密着している国であり、大乗仏教の日本、上座部仏教のタイという違いはあるものの、仏教徒の多い親近感が友好的な関係を築きやすい要因となっています。

他方、インドネシアはイスラム教徒が88.1%を占めていますが、イスラム国家ではなく、さほど日本企業にとって進出の壁にはなっていません。むしろ、製菓メーカーではイスラム教の戒律に沿ったハラール認証のスナック菓子を製造し、商機に変えています。

言語的に進出しやすいシンガポールとフィリピン

言語的に進出しやすいシンガポールとフィリピン
世界の公用語とされる英語が通じる国は、欧米企業のみならず、日本企業にとっても海外進出しやすい要因となります。多民族国家であるシンガポールは、マレー語のほか、中国語や英語が公用語であり、ビジネスの場では英語が中心です。日常生活の場では、マレー語や中国語は他民族との会話で通じにくいことから、シングリッシュといわれる独特の訛りの強い英語が広まっています。そうした他言語が通じるシンガポールは、インドネシアやタイなどといった主に製造拠点となるASEANのほかの国々を貿易や流通の面で統括する拠点として発展し、その存在感が増しています。

また、フィリピンも英語が公用語のひとつになっていて、国民の約9割が英語を話せるとされ、製造業だけではなく、コールセンターなどのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の拠点としても注目です。

現在、経済が成熟しているシンガポールや日本企業の製造拠点としても確立したタイをはじめ、ASEAN諸国と日本の結びつきはますます強くなっています。日本企業をはじめとする外国企業の進出が進むと、まず人件費の高騰が懸念されますが、ASEANの魅力は製造拠点としての面だけではありません。インフラや人材育成といった課題はあるもの、今後もASEAN諸国のニーズに合った製品を現地生産することで、十分な雇用も生みながら、消費市場をさらに拡大していくという流れは加速していくと考えられます。

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