【後編】働き方シンポジウムで確認できたダイバーシティのこれから『レオパレス21におけるダイバーシティの進捗』

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レオパレス21で着実に進められているダイバーシティ経営のための働き方改革。この数年の取り組みが実を結び、社会的に高い評価も受けるようになってきました。
後編では、引き続き笹尾佳子(ささお よしこ)社外取締役に、レオパレス21で実際に行われている取り組みについて具体的に伺いました。

運用されながら、さらにブラッシュアップされている、女性活躍支援の制度と施策

Q:「準なでしこ銘柄」への選定や、「健康経営優良法人2017〜ホワイト500〜」認定をレオパレス21が獲得できたのは、どういった点が認められたのでしょうか。

A:レオパレス21では女性活躍推進のための施策が様々な形で実施されています。取得可能な育児休業の期間は最長で子どもが3歳に達するまでですし、育児による短時間勤務も小学校3年生の終わりまで可能です。後者では週2回までテレワークによる在宅勤務も認められ、場所や時間帯にとらわれない働き方が実現しています。休職中にもウェブのコミュニケーションツールを介して人事担当者や上司と連絡が取れるので、復帰までの不安も軽減されますし、職場復帰後の業務や働き方についての確認のために上司と面談も行えます。

Q:そうした制度や施策について、従業員の認知度も上がっているのでしょうか。

A:管理職に向けて、また管理職を目前とした女性従業員を対象として「女性活躍推進研修」を行っており、そうした場でも周知されています。さらに、研修の取り組みで力を入れたのは、20代後半から30代前半くらいの若手女性従業員に向けたものですね。私も企画や実施を手伝い、午前と午後5時間のプログラムを1年間で14回、合計で約300人に参加してもらうことができました。

85歳までのキャリアプランやリーダーの役割行動を、自分ごととして考える

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Q:その研修の内容を教えてください。

A:目的は、レオパレス21が両立支援制度やキャリアアップ支援を整え、会社として女性の活躍を期待しているのだというメッセージを伝えることと、求められるリーダーとしての役割行動を自覚してもらうことです。午前中はまず5〜6人のグループワークを行い、自分で分析した自身の強みや85歳までのキャリアプランを発表し、互いに評価し合うというプログラムで、現在レオパレス21で活躍中の女性管理職からやりがいを聞くコーナーも設けました。

ここでの気づきは、働ける時間が意外に短いことの再認識であったり、思いがけない結婚や出産なども考慮した予備のプランの必要性であったり、仕事の力点を結婚・出産の前に置くか後ろに置くかの考え方であったりしましたね。女性の人生は特にライフイベント次第で環境が左右されるので、自分で相当な意志を持って計画しないと、思わぬ状況に流されてキャリアが断絶してしまいます。ですから、綿密なキャリアプランを持って備える大切さを伝えたかったのです。

午後のプログラムでは、リーダーとしての役割を自分ごととして考えてもらいました。店長やマネジャーという役職に就いたらリーダーだというのでは遅いのです。入社してある程度の年数が経てば、組織をより良くするために自分がすべきことを考えられるようにならなければなりません。部下の面倒を見る、会議で積極的に発言するといったリーダーとしての役割行動が、仕事の経験を積んできた従業員には会社から求められるのです。

研修の結果、管理職や専門職として昇進意欲を示す女性従業員が半数以上にも

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Q:研修に対する反響はいかがでしたか。

A:研修時と3ヵ月後に受講者アンケートを実施したところ、「管理職になりたい女性」が研修時は27.2%であったものが、3ヵ月後は30.9%と、さらに上回っていたのです。

最近の三菱UFJコンサルティング(2016)の調査ですと、12.9%程度ですから、とても高い数値です。また、「専門職にこだわりたい」という回答を昇進意欲に含めると、研修時は51.4%、3ヵ月後になんと60.2%となりました。これは、当社の女性社員が大変向上心の強い集団であるということで、会社にとって本当に「宝」だと言えます。

3ヵ月後のアンケートは受講者の上司にも実施され、受講後の仕事に対する姿勢・行動変化・周囲への影響・仕事の成果における変化の有無について尋ねたところ、約6割近くの受講者に良い変化が見られたとの結果が得られました。「会議での発言が前向きになった」「後輩の面倒を見るようになった」という回答があり、実際に一般職から総合職への転換希望も何人か申し出ているそうです。

もともとの前提として、入社時に「男女区別なく頑張れる人」というのを採用基準にしていることもあるでしょうが、レオパレス21には、おそらく意欲の高い従業員が集まっていると思われます。それがキャリアプランを考えたり、リーダーとしての役割行動を認識したりといったことがきっかけとなり、さらにモチベーションが上がったのではないでしょうか。会社としてはこうした従業員の意欲を受け入れられる組織をつくっていくことが大切です。今後もこの種の研修は続けていくべきだと思いますし、受講した300人のフォローも何らかの形で行っていきたいですね。

有休取得や仕事と家庭の両立に、従業員の間でも満足を実感

Q:ダイバーシティへの取り組みが様々に結実していますが、その原動力は何でしょうか。

A:ダイバーシティ経営において、真に大切なのは「経営変革」であり、まずやるべきは「風土を変えていくこと」です。その上で時間外労働の削減や仕事の見える化を実行し、どのような価値観、いかなる立場の人でも生産性の向上に貢献できる体制をつくり上げるようにするのです。女性活躍推進はその上に成り立つものであって、そこから女性活躍のマネジメントや女性従業員の意欲、マネジメントスキルなどの開拓に取り掛かるべきなのです。

残念なことに多くの日本企業の場合、ダイバーシティ経営を行うには、まず女性を活躍させなければといって、女性管理職を増やすための施策に走り出すのがお決まりのパターンです。順番が違うんですね。レオパレス21が画期的なのは、順番通りに働き方改革を進めていったことです。その際に原動力となったのが、8人のスタッフから成るWLB(ワークライフバランス)推進室です。通常は1〜3人程度のスタッフで形骸化しがちですから、こうした人員配置からして、レオパレス21の本気度が表れていますね(笑)。

東京本社にいるこの8人のスタッフが、全国の事業所を臨店して時間外労働の実情を調査し、削減のための対策を一緒になって考え、必要があれば面談も行ってきました。そうした結果、月の残業時間が20時間程度にまで減り、一方で有休消化率も70%に達するようになりました。年間休日日数は127日ですから、まさにWLBが実現されていると言って良いかもしれません。

最新の従業員意識調査では、「有休を取得しやすい環境である」という回答が62%から70%に増え、「子どものいる人が仕事と家庭を両立できている」との回答も79%に達しています。従業員に実感値として受け止められており、これに「準なでしこ銘柄」といった社会的評価が加わることで、さらなるモチベーションアップにつながると思います。

今後はこれらの施策をもう一歩進めていきながら、会議の短縮化や業務の標準化、生産性アップのための見える化などを推し進め、さらに確立された仕組みとして定着させていくことになるでしょう。2021年までの行動計画のひとつとして、女性管理職を150人にという目標を設定していますが、これは十分達成可能域にありますので、さらにその150人が十分な力量を持つ150人となるように、予備軍の段階からしっかりと成長させていくことが求められます。また、男性も含めて、一人ひとりのキャリアプランを考えた、きめ細かい育成体制を今まで以上に整えていきたいですね。

(プロフィール)
株式会社レオパレス21 社外取締役
笹尾佳子
1984年に株式会社リクルート入社。『就職情報』『とらばーゆ』『じゃらん』『ゼクシィ』などの営業を経て、2000年、株式会社リクルートスタッフィングで営業アウトソーシング事業の立ち上げに関わり、4期で100億円ビジネス規模に成長させる。2004年、最優秀経営者賞および最優秀ユニット賞受賞。
1992年、企業派遣として早稲田ビジネススクールに国内留学。リーダーシップ理論を学ぶ。2003年、法政大学大学院経営学修士取得。
2006年、東京電力株式会社への転職を経て、2007年、同社の子会社で介護事業を行う東電パートナーズ株式会社に常務取締役として経営再建に入り、2年で黒字化を実現。
2012年7月から同社代表取締役を務める。
2015年より株式会社レオパレス21の社外取締役に就任(現任)。
2017年4月から長谷川ホールディングス株式会社 執行役員および長谷川ソーシャルワークス株式会社 代表取締役に就任(現任)。
中小企業診断士、介護福祉士。
法政大学大学院政策創造研究科坂本光司研究室特任研究員。
中央大学大学院戦略経営研究科博士後期課程入学(佐藤博樹研究室)。
著書:「業界未経験で、初めて企業再建いたしました」朝日新聞出版


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