【後編】働き方改革の取り組みによる現場の変化、改善とは『次の一手は男性の育休取得に、テレワークの一般スタッフへの拡充』

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前編では、「健康経営優良法人(ホワイト500)」や「準なでしこ銘柄」といった経済産業省などの外部認定で相次いで評価された、レオパレス21のこれまでの施策や取り組みについて伺いました。
後編では引き続き、人事部労務課の寺嶋洋一課長、ワークライフバランス推進室の国谷英吾次長、同推進室の小塚亜希子課長代理に、こうした取り組みが職場や従業員にもたらした効果や反響、今後の展望について伺いました。

不動産業界の新卒離職率14.1%(平均)に比べ、レオパレス21では約半分の7.8%に

Q:この数年で職場環境や従業員の意識に変化はありましたか。

寺嶋:離職率は顕著ですね。3年前は全社で11.8%、新卒で19.2%でしたが、2017年3月期で全社の離職率は7.5%、新卒1年目については7.8%でした。
不動産業界における新卒離職率は平均14.1%(出展:厚労省HP 「新規学卒者の離職状況」より)ですので、レオパレス21はかなり環境面が充実してきていると感じています。

国谷:ワークライフバランス推進室では、3年前から年度末に従業員意識調査を実施していますが、労働時間や効率化に関する意識の高まりを感じます。例えば、「自身の業務について、非効率と思える業務がありますか?」という問いに対し、最初の年は「ある」という答えが大半でした。取り組みが進むにつれ数字も改善しましたが、実は直近の第3回目では、その前の回よりも「ある」がやや増えています。これについては、より限られた時間や所定労働時間内でミッションを達成するよう、会社として指導してきたことで、効率化についての意識が高まった結果による増加と分析しています。

Q:有休消化率の改善も、仕事の効率化と関連しそうですね。

国谷:そうですね。2015年3月期の33%から翌年には70.1%、最新の2017年3月期で72%というのが、有休消化率の改善状況です。取得推進制度として計画年休やリフレッシュ休暇を導入したことで7割台を実現しましたが、直近の消化率伸長の背景には有休取得を半日単位から可能にしたことがあります。さらに、昨年からは時間単位でも取得できるようにしました。

Q:時間単位の有休取得という制度は、かなり先進的ですね。

小塚:導入されているのは、大企業でも2割以下です。育児による緊急性のある対応や病気などによる通院などに、とても使い勝手が良くなっていると思います。

寺嶋:お子さんが熱を出されて帰る人は、よく活用しています。取得上限が年5日までなので、もっと増やしてほしいという要望もあるくらいです。そうした育児支援での活用以外にワークライフバランスの観点からも、趣味での利用を推進したいですね。夕方5時に上がれば、プロ野球のナイター観戦やコンサートにも最初から行けるでしょう。

部下それぞれの事情を理解して人材育成ができる、「イクボス」の養成は急務

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Q:ほかにも先進的な取り組みはありますか。

国谷:男性従業員による育児休業の取得促進ですね。昨年11月に社長からの通達として「これから会社として、男性の育児休業取得促進に力を入れていく」というメッセージがありました。この強い意向が会社全体に伝わったことにより年明けから少しずつ増え始め、2017年4月現在で16人が取得申請しています。

Q:「イクボス企業同盟」への加盟も、年が明けてからでしたね。

国谷:NPO法人ファザーリング・ジャパン設立の団体で、部下が育児や介護などで時間的に制約があることを理解しながら人材育成していける、新しい時代の上司=ボスを育てていこうという企業ネットワークです。レオパレス21は、昨年末の社長の通達も受け、2017年3月に140社目の加盟となりました。数ヵ月ごとの定例会では各社のイクボス養成の取り組みについてのプレゼンテーションがあり、大変参考になっています。前回はカルビー、清水建設、第一生命といった企業から発表されましたが、各社に共通しているのは「トップの意思」です。当社も、そこは負ける気がしません。

小塚:それに加えて皆さんがおっしゃるのは、仕事をするチーム内で互いを尊重し、応援し合うこと、そのために日頃から上司がコミュニケーションを積極的にとるべきだということです。例えば子育て中の女性でも考え方は人それぞれで、お子さんがいてもフルタイムでバリバリと働きたい人もいれば、今はお子さんのことを優先する時期と考えて仕事をセーブしたい人もいます。これはお子さんのいる男性も同様で、それぞれの家庭の事情なども踏まえて、一人ひとりとコミュニケーションしていくのが大切です。

国谷:ミドルマネジメントは、十人十色どころか、百人百様の部下の状況に対応していけるようになる必要があるんですね。定例会に参加して再認識しました。

Q:従業員への育児支援は、社会全体にとっても重要ですね。

国谷:育児と、それに介護にも支援が必要です。そのためにも6月に、仕事との両立支援のためのガイドブックを全社員に配布したところです。こうした取り組みには制度紹介だけではなく、風土をいかに変えていけるかが重要ですので、タイトルをあえて『“上司と部下のための”育児・介護両立ガイドブック』としました。過去に育児休業を取得した社員や介護に従事した人の経験談、そして、そういう状況に直面した部下に対して上司がとるべき対応まで盛り込んでいます。この種の冊子は当事者でないと手に取らないものですが、上司が読んで制度を理解してもらわないと風土醸成につながりません。効果を最大限に出せるよう、知恵を絞りました。

全国に向けて健康経営を実践、流布させる「レオフィット運動」を促進

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Q:健康経営について、今後の取り組みを教えてください。

寺嶋:本社には「健康管理室」があり、産業医や保健師、作業療法士、外部相談では臨床心理士が随時対応しますので、最近では相談数も増えています。
また、従業員の16%が外部機関と提携した「心の相談窓口」を利用しており、一般の5%程度よりも多い数字です。ストレスチェックの結果では高ストレス者の割合が一般の10%に比べて当社は7%でしたから、これは相談窓口による効果と分析しています。今後は、本社の健康管理室にいる保健師が、全国の事業所を巡回して指導するような施策も検討しています。
ほかにも社内に向けた動きとして、「レオフィット運動」と称する啓蒙活動を5月から展開しています。実はストレスチェックの結果、会社への帰属意識を測るエンゲージメントの値が世間一般と比較して若干低めでしたので、もっと会社に「フィット」させたいという思いと「健康=フィットネス」の意味も掛けてこのネーミングにしました。これは生活習慣病対策やメンタルヘルス対策を万全にし、心身の不調により欠勤してしまうアブセンティズムや出勤しても生産性に結びつかないプレゼンティズムを失くし、最少人員で最大効果を上げられる職場環境にしていくための取り組みです。

国谷:全社に向けた動きという点では、ワークライフバランス推進室でも全国の事業所を月に15ヵ所ほど臨店して、直接、従業員の話を聞く機会を持っています。勤続4〜5年以上の従業員からは、「最近は休みも取れるし、早く帰れる」という声が多く、地方においても同様ですね。本社で発信している社長のメッセージが隅々にまで浸透しているのを実感します。

Q:全社に向けた「レオフィット運動」の中で、大きな課題は何でしょうか。

寺嶋:仕事と病気の両立支援ですね。がん就労については、現在9人ほどが抗がん剤治療などを行いながら就業しています。メンタルの不調からの復職支援では今後、働きやすい環境に慣れてから職場に復帰するといったリワーク施設の活用も将来的には視野に入れたいですね。

Q:ワークライフバランスの取り組みで、新たなものはありますか。

小塚:在宅でのテレワークを、2016年から育児・介護による短時間勤務のスタッフ職を中心に導入しており、対象資格者60人のうち23人が実施しています。さらに短時間勤務以外でのトライアルとして、本社近辺にて部門や役職を限定せず範囲を広げて検証しているところです。自分でも実践することで、会社から離れていてコミュニケーションに不安を感じないかなど、課題を抽出し、改善しながら施策を進めていければと思っています。

寺嶋:テレワークは、ノートパソコンを貸与して自宅で使ってもらう方法と、自宅にある端末から会社のネットワークにアクセスする2種類がありますので、実践はしやすいかと思います。現行では週1回は出社を課していますが、拡充に向けて緩和も考えられるかもしれません。問題は複数ありますが、取り組み姿勢が目に見えないことによる評価の難しさや、健康状態の把握がしにくい中、健康配慮をどのように進めるかなど、今回のトライアルの中でしっかり検討していきたいですね。

(プロフィール)
株式会社レオパレス21
人事部 労務課 課長
寺嶋洋一
2002年入社。2014年1月にワークライフバランス推進室を立ち上げ、その後は現職に。趣味はゴルフと野球観戦で、パリーグ派。

株式会社レオパレス21
ワークライフバランス推進室次長
国谷英吾
1996年入社。2014年1月にワークライフバランス推進室を立ち上げ、その後は現職に。趣味は野球観戦で、セリーグ派。

株式会社レオパレス21
ワークライフバランス推進室課長代理
小塚亜希子 1999年入社。キャリアコンサルタント資格を2010年に取得し、日々勉強中。


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