「集合住宅歴史館」で日本の集合住宅の変遷を知る。(同潤会アパートや公団住宅など)

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集合住宅歴史館
UR都市機構の「集合住宅歴史館」には、当時、先進的な試みが行われた同潤会アパートや昭和30年代の公団住宅が移築復元されています。館内の展示内容とともに、日本の住宅のあり方に大きな影響を与えた同潤会アパートや公団住宅の役割について解説します。

「集合住宅歴史館」とは

JR八高線北八王子駅から徒歩10 分の場所に、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)の技術管理分室があります。およそ2.4haの敷地に、研究と実験のための施設や、研究と展示体験のための施設など合わせて16施設があります。その中で一般公開(事前予約制)されている施設のひとつが、「集合住宅歴史館」です。

「集合住宅歴史館」には、UR都市機構の前身である日本住宅公団の昭和30年代の「公団住宅」と、財団法人同潤会による「同潤会アパート」の住戸などが移築復元されています。

移築復元されている公団住宅は、「蓮根団地」と「晴海高層アパート」、「多摩平団地」の3つです。昭和32年に東京都板橋区に建設された「蓮根団地」は、戦後の賃貸集合住宅の原型となった2DKの間取りの代表的なプランです。近代建築の巨匠ル・コルビュジェに師事した前川國男氏の設計による「晴海高層アパート」は、3層6住戸を1ユニットとし、エレベーターの停止階の上下階は、階段でアクセスするスキップ形式としているのが特徴です。従来のスケールとは異なるサイズの畳も採用されました。エレベーターの停止する「廊下階住戸」とエレベーターの停止しない「非廊下階住戸」が復元されています。「多摩平団地」は隣戸と壁を接する長屋式のテラスハウスで、各住戸に専用庭が設けられていました。

また、同潤会アパートの中では「同潤会代官山アパート」が復元展示されています。代官山アパートは、昭和2年から入居が開始され、共同風呂と食堂が設けられていました。世帯住戸と独身住戸が復元され、世帯用の住戸にはガスコンロやダストシュート、米びつなどが備えられています。

そのほか館内には、キッチンや浴室などの水回りの設備や、スイッチやコンセント、インターホンなど電気設備の変遷などの展示もあります。「集合住宅歴史館」は、日本の賃貸の集合住宅のあり方を変えた歴史的価値のある建物に触れられるとともに、賃貸集合住宅の成り立ちについて知ることができる施設です。

関東大震災からの復興を目的に建てられた「同潤会アパート」

集合住宅歴史館
同潤会アパートは、大正12年の関東大震災後に当時の内務省の外郭団体として設立された財団法人同潤会によって、震災からの復興のために東京や横浜で建設されました。関東大震災では多くの人が火災で亡くなったことから、不燃の賃貸集合住宅が必要とされ、鉄筋コンクリート造のアパートの先駆けとなった住宅です。ガスや水道が引かれ、当時はまだ一般には広まっていなかった水洗トイレも備えていました。

現存する建物はなく、「同潤会代官山アパート」の跡地には代官山アドレスが建てられ、「同潤会青山アパート」は表参道ヒルズに生まれ変わっています。

戦後の日本の住宅に登場した「DK(ダイニングキッチン)」

戦後、地方から大都市圏への大量の人口流入による住宅不足を解消するために、昭和30年に日本住宅公団が設立されました。公団の創世期といわれる昭和30年代の10年間で、中流階級の労働者向けの住宅が約30万戸供給されています。

当時の日本の住宅は食事をする場所と寝る場所は同じであったため、適正な就寝の確保のために「食寝分離」が提唱されていました。公団住宅では食寝分離を推進するために、キッチンを広くとり、ダイニングテーブルが置ける「DK(ダイニングキッチン)」を確保し、寝室として和室を2室設けた「2DK」を基本的な間取りにしました。洋風の家具がまだそれほど流通していなかった時代に、ダイニングテーブルが備え付けられ、キッチンで食事をする新しいライフスタイルが、公団住宅の登場によって広まっていきました。住戸内には専用の木製風呂やバルコニーが設けられ、共用部分と専有部分を明確にするためのシリンダー錠が採用されています。昭和33年からは、公団とキッチンメーカーによって共同開発されたステンレス製の流し台が取り入れられました。

「2DK」の間取りをはじめ、創世期の公団による賃貸集合住宅は、その後の日本の住宅設計に大きな影響を与えています。

創世期の公団住宅に象徴されるように、住宅を供給する側が住まい方の提案を行うことで、住まいの暮らしやすさが向上しました。また、ライフスタイルの変遷によって、賃貸集合住宅に求められるものは変わっていきました。公団は昭和40年代に大量供給時代を迎えた後、量から質の時代へと変わり、昨今では、築年数の経過したかつての公団住宅の一部が、UR都市機構による「UR-DIY」として打ち出され、自分で好きなように部屋のDIYができる賃貸住宅として、時代の要求に応えています。

<集合住宅歴史館>
■公開日時:事前予約制で月曜日〜金曜日 13:30〜16:30
■料金:無料
■住所:東京都八王子市石川町2683-3
■アクセス:JR八高線「北八王子駅」より徒歩10分

*見学の予約方法の詳細などはホームページでご確認ください。
http://www.ur-net.go.jp/rd/03_open/

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