介護人材不足を解消。高齢化社会に向けた規制緩和で外国人ヘルパーが介護業界で活躍

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日本では少子高齢化社会の到来によって、介護人材の不足が深刻化し、外国人ヘルパーを活用する動きが広まっています。
2008年度からインドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヵ国から介護人材の受け入れを行ってきましたが、今後は訪問介護に携わる道も開かれています。外国人ヘルパーの活用に向けた政府の施策や、外国人ヘルパー導入の実情などを解説します。

約38万人不足の介護人材を補うためにも必要な外国人ヘルパー

厚生労働省の試算によると2025年には介護人材が約253万人必要になりますが、それには約38万人が不足すると予測されています。この需給ギャップは、日本の働き手の主力となる生産年齢人口の減少によるもので、介護人材の処遇改善やキャリア支援、ITの活用支援などによりその差を埋めようとしています。外国人ヘルパーの活用もそのための策のひとつで、経済連携協定(EPA)に基づき2008年度から、まずインドネシアの介護福祉士と看護師の候補者が来日、その後フィリピン(2009年度)とベトナム(2014年度)からも受け入れが始まりました。

いずれも母国で一定の専門教育を終え、訪日前後に約1年の日本語研修を経た後、日本の受け入れ施設で特定活動という雇用契約に基づいた就労・研修に従事するというものです。2016年までに介護福祉士候補者の受け入れは3ヵ国の累計で2777人を数えるまでになりました。この特定活動によって在留期間は4年まで認められ、その間に日本の介護福祉士国家試験を受験することになっています。合格すれば引き続き在留して就労が可能ですし、不合格の場合も再チャレンジの道はあります。

2016年4月時点で国家試験免除者を含む約440人が介護福祉士資格を取得し、その中で310人ほどが実際に介護施設で働きました。現場での評判を受け、さらに介護の担い手不足の解消に向けて、この外国人介護福祉士たちに働いてもらえる場がそれまでの特別養護老人ホームなどの介護施設から、高齢者の自宅に訪問してサービスを行う訪問介護にまで広げられ、2017年度から就労が可能になっています。

介護施設から個人宅へ サービス提供現場が拡大

これまで外国人ヘルパーの就労が介護施設のみに限られていたのは、日本人職員と一緒に従事できる環境であれば、日本語での会話力不足を補えるのではという考えからでした。今回解禁される訪問介護では、ヘルパーが1人で利用者の個人宅を訪問してサービス提供を行うことになりますが、適用は実際に介護福祉士試験に合格している人材に限られ、日本での介護技術やコミュニケーションにも支障がないように配慮されています。

運用が効果的に行われるよう、介護事業者には日本の文化や高齢者の生活習慣についての研修を実施することや、容体の急変や災害の発生といった際の対応マニュアル整備が求められています。また、介護サービスの現場では、記録を取る場面や書類がたいへん多いものですが、外国人ヘルパーにとってのハードルである日本語による訪問記録についてもある程度の簡略化が考えられています。

外国人ヘルパーによる個人宅でのサービス提供を成功させるカギは、日本の生活様式や文化、国民性を理解した上での家事援助がスムーズに行えるような、周囲のサポートにあるかもしれません。介護施設の運営は社会福祉法人が中心ですが、訪問介護の事業者には株式会社も多く存在するため、今後はこのような介護企業にとっても、外国人活用の道が開けるという側面もあります。

また、介護施設における導入もこれまでは、異国の職場へのなじみやすさも考えて、1施設につき原則として、同じ国から同じ年に2人以上を受け入れるというルールがありました。今回やや規制が緩められ、定員30人以上の介護施設などでは来日時期が異なっていても、すでに先行して同じ国の出身者がいれば、その年には1人だけの受け入れでも認められるようになります。またこれは、その介護施設の近くで運営されるグループ事業所に受け入れられている者もカウントされることになっています。

利用者や日本人職員も歓迎、さらなる外国人介護人材の活用を

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こうした受け入れの実情をチェックするために、外国人介護人材の受け入れ調整機関である国際厚生事業団が随時、事業者への巡回訪問を実施し、受け入れ状況の確認や就労・研修について相談および助言を行ってきました。その実施結果のとりまとめ(2015年度)でも、受け入れ施設の日本人職員に対して「良い影響があった」が43%、「どちらかというと良い影響があった」まで含めると83%になり、高評価を得ています。利用者からも、外国人福祉候補者の行うサービスに対して「十分満足」が19%、「概ね満足」が65%と、8割以上の方に認められている結果となっています。

実際に、レオパレス21の運営により関東・中部地方でデイサービス・ショートステイ・有料老人ホームといった介護サービスを行う約75施設のあずみ苑でも、10数名の日系フィリピン人の方の就労がありましたが、もともと大家族の文化であり、ホスピタリティに優れた国民性であることから、利用者には好評を得ています。この先、質の高いサービス提供や、国の施策の深まりを受けて、ますます外国人ヘルパーの導入が進められていくでしょう。さらに、外国人労働者や居住者が多い地域では高齢化が進んでいく中で、介護者だけではなく利用者側のグローバル化も始まっています。今後は外国人の利用者に向けた外国人ヘルパーの採用を考えることも、必要になるのかもしれません。

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