少子高齢化の日本で介護離職を防ぐ対策はあるのか?働き方改革による一億総活躍社会を目指して

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少子高齢化が進む日本では労働人口が減少していくことが問題となっていますが、同時に課題となっているのが介護離職です。家族の介護の必要性に迫られ、離職の道を選ぶ人が増えると、人材不足はますます深刻化していきます。
働き方改革による一億総活躍社会を目指すためには、どういった手立てをとることが必要なのでしょうか。介護離職を防止するための政府の施策や今後の見通しを解説します。

介護休業取得者のいた事業所は1.3%だけという厳しい状況

介護はたいへん手がかかるものです。また、介護保険サービスを受けながらであっても、やはり主体となって支えるのは家族です。核家族化や、未婚・離婚による単身者の多い現代においては、支える家族の人数も少なく、場合によっては75歳の母親を介護できる家族は50代、働き盛りの息子一人だけというようなことも珍しくありません。つまり、企業にとって、介護離職はマネジメントの中核を担うベテラン社員という労働力を失うことにつながりかねないのです。

ただし、従業員にとっては、家族の介護が必要になったからといって、すぐに離職してしまう必要は必ずしもありません。企業には従業員に対して、介護休業を与えることが義務付けられているからです。介護休業とは、従業員が要介護状態にある家族を介護するための特別休暇であり、配偶者・父母・子ども・配偶者の父母・同居および扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫のいずれかが、負傷・疾病または身体上・精神上の障害により2週間以上にわたって常時介護を必要とする時が該当していました。

そうした権利があるとは言え、職場に迷惑をかけるわけにはいかないと考えたり、家族として介護に専念する責任を感じたりする人が少なくなかったのも事実です。厚生労働省が3958事業所から回答を得た調査では、2014年度の1年間で介護休業を取得した人のいた事業所はほんの1.3%に過ぎませんでした。 それでも、働き方改革という流れの中で、介護休業を利用しやすい風土づくりや介護保険サービスの情報発信などが個々の企業内で進められてきています。

介護休業法の改正で、介護休業・休暇がより取りやすく、柔軟に使えるように

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政府も働き方改革のより一層の推進を図り、2017年1月に介護休業法が一部改正されました。ポイントとしては、利用場面に合わせて取得単位が細かく見直され、残業の免除を請求できるようになるなど介護休業を所得しやすくなっており、また、パートや契約社員など有期契約労働者の人にも取得しやすくなったり、介護休業に対する上司・同僚の嫌がらせを防ぐ方策が採られたりしています 。

中身を詳しく見ていくと、 まず対象家族の範囲が拡大されました。上記のとおり、これまでは同居および扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫まででしたが、改正によって、同居・扶養していない祖父母・兄弟姉妹・孫でも対象となりました。つまり、東京で働く人が地方の実家の祖父母の入居施設探しや実際の入居を手伝うために介護休業を利用するといったこともできるようになりました。

その介護休業は、介護を必要とする家族1人につき通算93日までを「原則1回で」取得するルールだったのが、上限日数は同じですが「3回にまで分割して」取得できるようになりました。つまり、今までは家族に介護が必要になった時に、1回の介護休業のうちに介護保険の認定を受けて自宅で療養していくか介護施設に入居させるかを決めてしまわねばなりませんでしたが、改正ルールでは例えば、2ヵ月ほどでいったん介護方法の方向性を決めておいて職場に戻り、介護サービスや事業所の見直しを要するようならまた何日か介護休業を取得して体制を立て直すといった柔軟な使い方も可能になるのです。ちなみに、介護保険の申請から認定の通知を得られるまでは原則30日かかります。

企業の中には、さらに先進的に仕事と介護の両立支援を実践している例も

また、介護のための所定労働時間の短縮、いわゆる時短勤務はこれまでは介護休業と通算して93日までのみ認められるだけでしたが、改正後は介護休業とは別に、3年の間で2回以上利用できるようになりました。措置内容には変更はなく、所定労働時間の短縮のほか、フレックスタイム制度、始業・終業時刻の繰上げ・繰り下げ、介護サービス費用の助成などによっても可能です。そのほか、介護の必要がなくなるまで残業の免除が受けられる制度が新設されています。

特別休暇として年に5日まで取得可能な介護休暇については、これまで1日単位でしか取得できませんでしたが、改正後は半日単位で取得できるようになりました。所定労働時間が8時間であれば、4時間ということです。これで、ケアマネジャーとの話し合いや病院への通院付き添い、介護度見直しのための訪問調査立会いといった数時間の用事などに効率良く介護休暇を用いることができます。

こうした介護休業法の定めは、企業に最低限定められた基準であり、働き方改革を大きく意識している企業の中には、さらに先進的な社内制度の運用を行っているケースも多数あります。
厚生労働省も、仕事と介護の両立支援の一助にと、ホームページ上に事業主向けや労働者向けに支援制度の実践マニュアルや事例集を備えて もいますので、取り組みの遅れている企業においてもそうしたものを参考にしていくことで、介護離職を防ぎ、一億総活躍社会の実現に近づけるのではないでしょうか。


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