ITの活用でイノベーション! フィンテックによる金融機関の戦略とは

テクノロジー

関連キーワード
フィンテック
金融とITを組み合わせたフィンテックによって、これまでの金融サービスの常識が変わろうとしています。中でも広がりを見せているのが、AIの活用です。IT系ベンチャーだけでなく、これまで保守的と言われてきた日本の大手金融機関までもがAIを活用したサービスを導入し始めています。
AIを活用したフィンテック関連のサービスや企業戦略を紹介します。

膨大なデータ解析で、AIがマーケットの先行きを読む

テレビ東京の「Newsモーニングサテライト」は、夜中に動いたアメリカ経済の最新状況やその日の東京市場の動きを伝える経済ニュース番組ですが、その番組内に「先読みAI」というコーナーがあります。金融情報サービスを手掛けるQUICK社による、人工知能を用いた日経平均の寄り付き予想を天気予報か占いのように伝えていて、視聴者がこれを取引の参考にするかはともかく、平日朝7時前のちょっとしたアクセントとなっているようです。

実践として、AIが顧客のために株価予測を行うサービスは、大和証券とみずほ銀行が導入しています。大和証券のサービスは、企業の決算データ分析に基づき、この先の約1ヵ月で株価の上昇が見込まれる銘柄をAIが選別して紹介するというものです。また、みずほ銀行が導入しているのは、AIによる30分から1時間後の株価予想に基づいて、機関投資家が株式の買い注文を入れるタイミングを有利に自動調整するシステムとなっています。いずれも自社に口座を持つ顧客に向けたサービス向上策で、人手を掛けずに実現しています。

大手も次々参入、投資初心者を呼び込みやすいロボ・アド

フィンテック
より間口を広げて新規顧客の獲得に結びつくよう、AIが投資信託の運用アドバイスをしてくれるサービスが「ロボ・アドバイザー」です。
ロボと言っても人型ロボットではなく、パソコンやスマートフォンからアクセスしていくつかの質問に答えることで、その人のリスク許容度を診断し、最適な投資信託が提示されるというものです。証券会社の窓口における対応と基本的には同じ流れを踏むもので、人件費が要らない分、手数料などのコストが抑えられるのが最大のメリットであり、さらに窓口に出向く必要もなく、機械相手ですから自分のペースで考えることができるのも良い点でしょう。

「ロボ・アドバイザー」では、ウェルスナビなどIT系ベンチャーのものが人気ですが、松井証券や楽天証券、SBI証券、マネックス証券など先進的な取り組みで知られる中堅やネット証券であったり、また、みずほ銀行、三菱UFJ国際投信、野村アセットマネジメント、大和投資信託といった大手もそれぞれに運用を行っています。株や債券は難しいと考える投資初心者にも取っつきやすく、金融機関各社にとっても、新たな顧客獲得の手段として定着しつつあります。

株価予測や志向に合った投資信託を示すといった運用アドバイスに留まらず、実際にAIが運用する金融商品もあります。
三菱UFJ国際投信が2016年12月から運用を開始した「AI日本株式オープン(絶対収益追求型)」、愛称「日本AI(あい)」です。AIが有効求人倍率といった経済指標など、市場に影響を与えるデータを自ら分析し、翌日の東証株価指数の騰落を予測して、株式への資金振り分けを調整します。また、ネット上のニュースや有価証券報告書、一般の書き込みなどの膨大なデータから特定の銘柄についてプラス・マイナスを点数化して、ポジティブ度の高い銘柄の購入をすすめたりもします。ビッグデータ解析に強いAIの特性を活かした金融商品と言えます。

金融業界向けチャットボットで、人手に頼らずに分かりやすく

フィンテック
そのほかにも、SMBC日興証券が無料通信アプリのLINEを通じて顧客からの問い合わせを受け付け、AIの解析によって自動回答するチャットボットのサービスを開始しました。サイト上の「よくある質問(FAQ)」や自動応答ダイヤルによる問い合わせ対応に代わるコミュニケーションとも言えるので、導入事例としてはアスクルやヤマト運輸のサービスが知られています。SMBC日興証券ではまず問い合わせの多い口座開設や新規株式公開(IPO)、少額投資非課税制度(NISA)、マイナンバー関連への回答対応から始めています。株式相場の動向など、込み入った内容の質問には有人対応に切り替えますが、そのやり取りについてもデータを蓄積して、AIの学習に活かします。株価や残高照会、保有資産の価格急変アラートにも対応できるように開発し、金融業界ならではのカスタマイズを進めます。

投資に積極的な層は、経済や社会の動向に敏感で、イノベーションにも関心が高いと思われます。その意味では、「金融×IT」や「金融×AI」の親和性が高いのは当然なのかもしれません。大手金融機関がAIの導入に積極的なのは、人手に頼らずにサービス向上が叶う点と、マーケットにおける先取的なイノベーターからの注目を得やすい点にあると言えそうです。

その他のテクノロジーの記事

キーワード一覧

 ページトップ