【前編】東証と産学連携 大学生対抗「IRプレゼンコンテスト」『投資家目線のリアルな企業分析体験で学生が得たものとは』

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レオパレス21では産学連携に力を入れており、賃貸事業だけではない多角的な取り組みを行う企業としての認知が進んでいます。
今回はそうした産学連携イベントのひとつである「大学生対抗IRプレゼンコンテスト」について、その主催団体であり、各大学の学生投資サークルが共同で立ち上げた学生投資連合USIC(ユーシック)の活動に参画するおふたり、早稲田大学の立川裕基氏(写真右)と、中央大学の真鍋景人氏(写真左)に伺いました。

金融に興味を持ち、実践を望む学生が集まる投資サークル

Q:まず、おふたりの役割や活動について教えていただけますか。

立川:現在大学3年生で、学生投資連合USICの第8期代表を務めています。早稲田大学の株式投資サークル「Forward」の代表でもあり、2016年に行われた第1回の「大学生対抗IRプレゼンコンテスト」では、参加学生側の取りまとめをしながら早稲田大学Aチームのリーダーとしてプレゼンにも参加しました。

真鍋:私は今4年生で、昨年は中央大学の投資サークル「CIC金融投資研究会」の代表として、「大学生対抗IRプレゼンコンテスト」ではイベント事務局のNPO法人日本IFA協会などとともに運営を進めました。また、中央大学チームのリーダーとして参加したプレゼンでは優勝もしました。

Q:学生投資連合USICは、学生投資サークルの連合体ということですね。

立川:大学生の金融リテラシーの向上を理念に掲げて、2008年に発足しました。大学間の垣根を越えて金融や投資についての意見を交わそうと、当初は6つの大学で始まりましたが、関西や中部にも広がり今は18大学400人ほどの組織です。投資サークルにも新旧があり、USIC加盟団体で最も歴史があるのは慶應義塾大学の「実践株式研究会」で、立ち上げてから50年ほどになります。早稲田大学の「Forward」も2003年設立で今年14年目と、老舗の部類に入ります。

真鍋:中央大学のサークルでは、株式系は他にもありましたが、投資系である「CIC金融投資研究会」は今年で3年目です。新しいところでは、今年2017年に創設された名古屋大学の「投資サークルLosscut」があります。

Q:投資サークルの活動とはどのような内容なのですか。

真鍋:学生は、将来資産を持って投資するための勉強目的で参加してきます。未成年者は金融機関に口座をつくりにくいことから新入生はすぐに投資を実践するのは難しいですが、よく活動に参加してくれるメンバーの半分近くは実際に投資も行っています。もっとも学生ですので、バジェット(予算)は自分がアルバイトで稼いだ範囲でしょう。

立川:日頃は、それぞれのサークルの勉強会などを通じ、経済や金融の知識、投資技能を磨いています。学生投資連合USICとしては企業との勉強会を開催したり、フリーペーパーの発行や会員同士の交流で、サークルや団体間での切磋琢磨を目指しています。そうした中で、昨年初めて「大学生対抗 IRプレゼンコンテスト」を開催し、成功のうちに終えることができました。毎年の恒例イベントとして発展させていきたいです。

3ヵ月掛けて企業訪問など分析を重ね、プレゼンテーションを準備

IRプレゼンコンテスト
Q:コンテストの概要を教えてください。

真鍋:2016年の春頃、日本IFA協会と日本取引所グループの方たちから企業を巻き込んだイベント開催の提案を受けました。学生がチーム対抗で企業分析を行い、その中身を競うという枠組みで、コンテストに参加の6大学8チームが7企業を分析することとなり、7月にその組み合わせの抽選会を行いました。

立川:昨年10月のコンテストに向け、夏休みを挟んだ3ヵ月で企業訪問を行うなど、各チームが分析を進めたのです。コンテスト会場は、参加企業のひとつであったレオパレス21が本社の地下イベントホールをご提供くださいました。

プレゼンテーションを行ったのは、東京大学、明治大学、中央大学、早稲田大学、武蔵大学、専修大学の6大学8チームです。
各チームが東海東京フィナンシャル・ホールディングス、星野リゾート・リート投資法人、フロイント産業、日本取引所グループ、レオパレス21、ショーケース・ティービー、ファーストコーポレーションの7企業について研究し、投資家目線で分析した内容をそれぞれ持ち時間の12分間で発表しました。なお、審査員の12名は、日本証券アナリスト協会や協力メディアなどからのご専門の皆様、さらに参加7企業の各担当者様が務めてくださいました。

Q:評価基準はどのようなものだったのですか。

立川:プレゼンテーションの内容としては、業界分析・事業分析・財務分析・業績分析・株価分析・当該企業の3つの強み・企業リスクといった項目で、そのほかに資料の完成度や話し方などのプレゼン技術も評価の対象になりました。それらを点数化して順位がつけられたのですが、フリーコメントとして審査員の方それぞれが評価ポイントや改善ポイントなどを熱心に書き込んでくださいました。その貴重なご意見は事務局で取りまとめ、各大学にフィードバックしました。

Q:チームごとに何か特徴はありましたか。

真鍋:人数もプレゼン手法もそれぞれで、他チームの発表も大変勉強になりました。私たちの中央大学チームはフロイント産業の分析で優勝しましたが、メンバーは2名と少数ながら企業訪問を3回行いました。抽選会で対象企業が決まるとすぐに分担してサイトで公表されているIR資料を読み込み、IR担当者様への訪問を重ねて疑問点の抽出と解消に努めました。コンテストの直前にも訪問してプレゼン内容を見ていただき、そうした丁寧な進め方が評価につながったのかもしれません。

ただ、同じ企業を分析した専修大学のチームは、社長インタビューまで行っていたのです。コンテストで知った時には驚きました。それぞれのチームに個性が出ますね。

立川:私たち早稲田Aチームは6人で日本取引所グループを分析しました。全員がIR資料をプリントして読み込み、疑問点など付箋だらけの状態で企業訪問をさせていただいたところ、IR担当者様が一つひとつに応えてくださいました。社員食堂で昼食をご馳走になる機会などもあり、いろいろなお話を伺うことができ、学生として企業の雰囲気を知るとても良い機会が得られました。

その後もメールでやり取りを重ねました。学生は日頃LINEを使うことが多く、メール、特にビジネスメールは就活まではなかなか経験しないものです。私自身は学生投資連合USICの活動で企業の担当者様との連絡を行っていることで慣れていましたが、後輩はメールのやり取り自体が新鮮だったようです。

自チームでの分析作業や他大学のプレゼンテーションで、より深まる企業理解

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Q:第2回の開催が進行中だそうですね。

立川:はい、8月に抽選会を行い、10月にコンテストです。参加は第1回の6大学8チーム7企業から、10大学11チーム11企業となりました。慶應義塾大学、一橋大学のほか、同志社大学、名古屋大学と地域が広がり、参加企業も名古屋や北海道に本社のある会社であったり、業種もアパレル業や警備業などであったりと幅広くなっています。

真鍋:事務面では、昨年は決まるのが遅かった評価基準を、今年は早くに確定させて各チームがそれを意識して分析を進められるよう配慮しました。また、昨年はスライド枚数に制限を設けなかったのですが、今年は紙でプリントして審査員に配布することから、枚数制限を考えています。こうした作業を詰めていくことは、学生としては実務経験にもつながり、貴重です。

Q:得ることができた経験はほかにもありますか。

真鍋:大学の授業で企業の方による講義があったり、サークルの勉強会でも企業側からの協力はありましたが、たいていは座学です。今回のように実際にプレゼンテーションを行うようなアウトプット型の機会はたいへん意義のあるものです。

また、企業訪問も、就活でお会いできるのは人事担当の方ですが、今回はIR担当の方や望めば社長、あるいは工場のラインの方など、現場へも出向ける可能性があるのが大きいと思いました。IR情報など定量的データは一般でも入手しやすいのですが、企業訪問でその会社の雰囲気を肌で感じ、社員の方と話をして質的な面に触れられたのは本当に得難い体験でした。直感的なものでは、社風や勢いなどからも企業理解が深まったと思います。

実際、私たちが分析させていただいた企業の活動について今まではほとんど接する機会がなく、このコンテストで初めて知ることができました。このように日常生活で目に入りやすい一般消費財を扱う業種以外の企業に対しても学生が興味を持てるきっかけになるのではないでしょうか。

立川:学生投資連合USICも約10年の歴史があり、諸先輩方が金融界で活躍されています。
社会人の素養として大切だとよくいわれるプレゼンテーション技術を磨く機会としても、このコンテストは有効でしょう。また、評価項目の中でも株価や業界分析はサークル内で日頃から行っていますが、事業や財務、業績までは行き届かないものです。そうした視点を学生の内から得られるのもたいへんプラスになります。

Q:企業理解ということで、レオパレス21に対してはいかがですか。

立川:「大学生対抗IRプレゼンコンテスト」に賛同し参加いただいたことに、まず感謝したいと思います。これまで学生向け賃貸事業や女優の広瀬すずさんのCMイメージはありましたが、早稲田大学Bチームのプレゼンテーションを聞いて、幅広い分野で事業を手掛けていることが分かりました。

真鍋:介護や海外事業も積極的に展開していて、先進的な企業のあり方が具体的につかめました。アパートでもスマートロックなど、スマートフォンを鍵として用いる新しい技術を取り入れているということにも驚きました。自分たちで企業に赴いて現場の方に話を伺ったり、他大学のプレゼンテーションを聞くことによって、企業に対する理解や見方が一歩深まりました。今後も10回20回と回を重ねて、産学連携の実践例として世の中に広めていければと思います。

(プロフィール)
学生投資連合USIC(ユーシック)
第8期代表
立川裕基
大阪府出身、早稲田大学政治経済学部3年生。
早稲田大学投資サークル「forward」前代表。
中学の時にリーマンショック報道で連日耳にした「日経平均」という言葉をきっかけに金融に興味を持つように。
現在の投資対象は現物株と為替。「株ではAI分野に注目しています。ビットコインもより汎用性が高まるのではと予想します」

学生投資連合USIC(ユーシック)
メンバー
真鍋景人
滋賀県出身、中央大学商学部金融学科4年生。
中央大学投資サークル「CIC金融投資研究会」前代表。
高校時代に池井戸潤氏の経済小説などから株式に興味を持つ。「未知の世界でわくわくしました。金融は社会の基本であり、中枢です」。
卒論のテーマはフィデューシャリー・デューティーで、顧客目線の金融運営を考察。希望通り、金融業界に進路が決まっている。

学生投資連合USIC(ユーシック)
http://usic-web.main.jp/

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