【後編】フィンテックによるサプライチェーン改革! レオパレス21の競争力強化戦略とは 『フィンテックがもたらす企業競争力の強化』

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レオパレス21では、2017年9月よりIT技術を使った新たな金融サービスであるフィンテック(Fintech:Finance+Technology)を活用した「サプライチェーン・ファイナンス」を導入しました。そして、このほかにもフィンテックによる様々なサービスを取り入れています。
そうした最新事情を、全社の業務改善を担当するコーポレート業務推進第2部の外園真一郎部長(写真左)に伺うほか、「サプライチェーン・ファイナンス」の今後の展望についても、開発したTranzax株式会社代表取締役社長の小倉隆志氏(写真中央)と、導入を推進したマーケット開発統括部戦略企画部の芦村健人部長(写真右)に伺います。

取り引き企業やオーナー様の課題を解決することで、つながりを強く

Q:レオパレス21が取り組んできた、フィンテック導入事例を教えてください。

外園:2017年1月よりJP Links社と提携して、同社の安価な送金代行サービス「Bankur(バンクル)」を子会社のレオパレス・リーシングで導入するとともに、アパートをご契約いただいている法人など当社の取り引き企業にご紹介しています。一律260円でどの金融機関にも当日送金が行え、送金手数料などの優遇を受けることが少ない中小企業には大きなメリットです。

また、2016年11月にはマネーフォワード社と提携して、賃貸物件オーナー様向けに「MFクラウド確定申告forレオパレス21」をご提供しています。MFクラウド自体、煩雑な確定申告業務を容易にする会計ツールとして人気ですが、当社オリジナルのものを開発していただいて、家賃収入など賃貸住宅経営指標になるデータを自動取得し、グラフ化などで分析も可能な仕様となっています。アカウントを発行してデータ共有もできますので、税理士などの専門家やご家族と一緒に見ることもでき、周りの方々に相談しながら管理できるのがオーナー様にも好評です。

Q:そのように手厚く支援するのは、どうしてでしょうか。

オーナー様との関係で言えば、何十年というお付き合いをしていく中で、いかに信頼を構築できるかが大切だと考えているからです。25年、30年の借り上げ期間を経ても、オーナー様との関係がそれで終わるわけではく、建て替えや売却などのお手伝いができるかもしれません。そういった機会に、また当社にお声を掛けていただくことが大切です。

また、オーナー様は高齢の方も多く、長きにわたる賃貸事業を次世代に引き継がせていくケースもあります。その際、後継の方が賃貸住宅経営に詳しくないこともあり、それが当社にとって課題となっていました。オーナー様が「MFクラウド確定申告forレオパレス21」を使っていればそれまでの経営実態をそのまま引き継ぐことができ、スムーズな継承が可能です。

このように、オーナー様や取り引き企業の目線で日頃から問題を認識し、課題解決を考える中でフィンテックがその答えとなれば当社としても積極的に取り入れます。ステークホルダーの課題解決に貢献しながら、当社にとっての業務改善や生産性向上につながるかを考え、互いにどれだけWin-Win(ウインウイン)の関係になれるかという視点で導入を進めているのです。今後も、賃貸物件入居者様の家賃支払いなどに、クレジットカードや現金と異なる次の決済方法として、Apple PayやLINE Payのようなものの導入も検討してみたいですね。それが顧客の利便性向上につながるかもしれません。

2018年早々に、受注段階で半金を資金化できるPOファイナンスを導入予定

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Q:「サプライチェーン・ファイナンス」においては、電子記録債権を用いるところがフィンテックなのですね。

小倉:そうですね。電子記録債権は、手形や売掛債権などの問題点をカバーする金銭債権として、2008年12月に電子記録債権法が施行されてできました。これにより、商取引にID番号が振られ、それを電子債権記録機関というデータセンターが管理できるようになったので、商取引そのものを金融機関の担保として扱えるようになったわけです。「商取引のIoT」ですね。

これまで電子債権記録機関はメガバンク3行と全国銀行協会が運営する機関のみで、そこでの電子債権を活用した一括ファクタリングの主目的は、手形を廃止し印紙税や事務コストを削減することでしかありませんでした。一方、当社では担保活用のツールとして電子債権制度に注目し、2016年7月にベンチャーとして初めて電子債権記録機関として承認されたのです。そうしてつくり上げた「サプライチェーン・ファイナンス」の仕組みは、特許も取得済みです。

芦村:決済という重要な領域でベンチャー企業と提携することについて、電子債権記録機関が経営危機の場合には、電子記録債権法の規定で金融庁が他機関への業務移転命令を出せるため、不安はありませんでした。

また、今回Tranzax社を選んだのは、さらに支払いを早期化できる「PO(Purchase Order)ファイナンス」を開発中だからです。納品・検収時より早期に、発注書を電子記録債権化する仕組みで、工務店などのサプライヤーにはさらに朗報となります。

Q:それはどのような仕組みのものですか。また、開発中というのはどういう状況でしょうか。

小倉:「サプライチェーン・ファイナンス」は「債権明細データ(支払い先会社名や口座、金額、支払期日などの情報)」を電子記録債権化して、発注企業の信用力で銀行から低利で融資を受け、サプライヤーが代金に当たる資金を検収が行われて債権・債務が確定してから最短2日で受け取れる仕組みですが、「POファイナンス」では「発注書」を電子記録債権化して、発注額の最大5割を資金化できます。実は公共工事では契約金額の4割を前渡し金として支払う制度があり、民間工事においてもこのレベル以上を目指すべく、信用保証協会が5割までの保証を請け負ってくれました。ですから、発注企業がリスクを負うこともありません。

2017年4月から経済産業省中小企業庁委託業務の「次世代企業間データ連携実証事業」における電子発注の実証プロジェクトでこのシステムが取り上げられており、2017年中に実証を終える予定です。中小企業庁や公正取引委員会など関係省庁との調整も済んでおり、金融庁の最終確認作業を経て認可される予定ですので、2018年の年頭からのサービス開始で準備を進めています。

Q:サプライヤー企業のメリットはさらに大きくなりそうですね。

芦村:工期中の資材や作業員調達と、それに伴う資金繰り悪化が建設業界の最大の経営リスクです。それが受注段階で契約金額の5割を確保できるわけですから、経営環境が様変わりして、現場も相当やりやすくなるはずです。プロジェクト全体の競争力が増しますし、こうした支援によってレオパレス21自体も発注先としてさらに魅力を増すことができれば何よりと思います。

単純作業のアウトソーシングやフロー改善で、より生産性高い業務にシフト

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Q: Tranzax社から見て、レオパレス21の印象はいかがですか。

小倉:先進的取り組みに全社を挙げて積極的で、改革に向けるエネルギーを感じます。特に経理や決済については保守的な企業が多い中、経営の意思として部署を超えて進められ、しかもスピーディーなのが、レオパレス21ならではと感じます。

芦村:スピード感は当社の誇るところですね。「サプライチェーン・ファイナンス」も新聞記事を見て問い合わせてから1ヵ月半ほどで導入を決めたと思います。また、導入に当たって全社の買掛金明細を全て調べ上げたのですが、各部署に協力を求め、おそらくレオパレス21始まって以来の大調査ではないかという大掛かりなものでした。これができるのは、コーポレート業務推進本部という、事業部を超えて横串を刺すような組織があるからでしょう。

小倉:こうしたスピード感は、日本の企業に欠けている部分とされるものの、レオパレス21のプロジェクト推進力は格別ですね。日本はホワイトカラーの生産性が低いと言われており、単純事務作業は減らして、社員にはクリエイティブな付加価値の高い業務に移行してもらうべきです。経理実務は単純な仕事ですが、その分正確性・迅速性が求められます。フィンテックの活用で安全を担保しながら業務改善や効率化を実現していっていただきたいですね。

(プロフィール)
Tranzax株式会社
代表取締役社長
小倉 隆志
一橋大学卒業後、野村證券株式会社に入社。
金融法人部リレーションシップマネージャー、主計部経営計画担当者などを歴任。
2004年より株式会社エフエム東京執行役員経営企画局長として、モバイルIT上場企業の買収を実施。
2007年株式会社CSK-IS執行役員に就任し、福岡市ユビキタス特区のデジタル放送実証実験、電子記録債権に関する研究開発に取り組む。
2009年、Tranzax社の前身である株式会社日本電子記録債権研究所を設立、代表取締役に就任。

株式会社レオパレス21
マーケット開発統括部
戦略企画部長
芦村 健人
株式会社住友銀行(現、株式会社三井住友銀行)入行後、法人営業部門、企業金融部門、不動産ファイナンス部門に従事。
同行、法人業務部上席推進役、銀座法人一部長などを歴任。
2016年10月より現職。サプライチェーン・ファイナンスの導入を主導する。

株式会社レオパレス21
コーポレート業務推進統括部
コーポレート業務推進第2部
部長
外園 真一郎

Tranzax株式会社
http://www.tranzax.co.jp/index.html

株式会社レオパレス21
平成29年4月27日 ニュースリリース
http://www.leopalace21.co.jp/news/2017/0427_1941.html

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