【後編】東証と産学連携 大学生対抗「IRプレゼンコンテスト」『学生と企業をつなげるイベント その価値と今後の可能性〜複眼経済観測所株式会社〜』

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レオパレス21では、賃貸事業だけではない多角的な取り組みについて認知、広報を進めています。
そのレオパレス21が参加する産学連携イベントのひとつである「大学生対抗IRプレゼンコンテスト」に関して、前編では主催団体である学生投資連合USICのおふたりに学生にとっての体験価値を伺いました。
後編では産業界から見た価値やメリットなど、審査員を務めた複眼経済観測所代表取締役所長の渡部清二氏に伺います。

公共性ある投資教育として学生に実践経験の機会を

Q:「大学生対抗IRプレゼンコンテスト」に協力された経緯を教えてください。

A:複眼経済観測所では、誰でも手にできる新聞や四季報を活用した企業分析をベースにした投資ノウハウの提供を日頃行っています。その中で、投資教育については公共性の高い活動として、声を掛けていただいた機会には喜んで協力しています。今回は、開催のきっかけをつくり、後援も行っている東京証券取引所からの招きにより、学生の投資サークルの方々と接する機会ということで協力をさせていただきました。

Q:具体的には、どのような形で参加したのですが?

A:7月の抽選会を兼ねた事前勉強会では「大学生活を楽しくする会社四季報の見方・読み方」のテーマで講演を行って、これから各々で企業分析活動に入る学生チームの皆さんに参考になるような視点や考え方、情報を伝えました。10月のコンテストでは日本証券アナリスト協会の貝増眞氏、木村佳子氏とともに審査員を務めました。

企業の成長を願う行動が投資であり、利益はその結果と考えるべき

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Q:講演ではどのようなことを伝えましたか?

A:そもそも投資サークルの活動において捉えられているのは、「投資」という大きな枠組みの中の「運用」という一部分かと思われます。投資はもともと「利己」でなく「利他」のための行動でした。つまり、自分の利益のためにではなく、相手企業の成長を願って行うものなのです。これを子どもへの投資に例えるのですが、親は無償の愛で子どもの成長を願ってお金を掛けるわけで、具体的なリターンを求めたりはしませんよね。投資はある種の無償の愛による行動で、利益は結果としてもたらされただけのものです。金融業界も行政もこうした話はしませんから、一般の投資家も、投資目的を老後のためなどと利己に置いてしまっています。

講演では、日本の昔話も例に出します。「おむすびころりん」「舌切り雀」「花咲かじいさん」、この3つに共通するのは、正直者と欲張りという対極的な人物が出てきて、儲けだけを狙って行動した者が必ず痛い目を見るという教訓であり、欲がなくて誠実に行動した者は求めたわけではないのに大判小判を得て、結果としてお金持ちになるという教訓ですね。

また、「経済」というのは難しく考えられがちですが、実は一人ひとりの生活そのものであり、1億3000万人分を積み上げると日本の経済になる、それに気づくことが大切だということも伝えています。例えば、居酒屋でコンパをする時に安いお店を探しますが、それが巡り巡ってお店の収益を落とし、従業員の待遇を引き下げ、場合によってはブラック企業を生むことになったりするわけです。これを経済学では「合成の誤謬(ごびゅう)」という言い方をしますが、一人ひとりの行動は正しく見えても、全員分をつなげるとそれが全体にとって良くない結果となるのです。自分の消費行動こそが経済なのだと思ったら、お金に対する考え方や使い方も変わってくることでしょう。
こうした話を、社会に出る前の学生の皆さんに対してきちんと伝えられる良い機会でした。

Q:審査をしてみての感想はいかがでしたか?

A:コンテスト自体が初めての試みでしたが、プレゼンテーションの内容は予想以上で、優秀だと感じました。
事前講演では、投資の研究となると数値分析に終始しがちだが、それは人に例えると身長やIQのようなもので本質ではないという話もしました。企業にもその人となりがあり、法人格という人格を見ていくべきということです。実際に企業訪問したことで社風や勢いなどを肌で感じてくれたようで、プレゼンテーションでは法人格という定性的な部分と数値など定量的な部分をバランス良く話せていました。

また、初回ということで昨年はコンセプトがやや曖昧だったこともあり、アナリストとして会社を解説する立場か、企業側に立って売り込む立場なのか、つまり第三者目線か、当事者目線かが定められていなかったのですが、学生の皆さんが評論家的にはならず、愛情ある立場を取っていたのも印象的でした。

求職者、消費者、将来の関わりまで、企業にとって学生への確実で濃いアプローチ機会に

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Q:昨年第1回の参加企業数は7、今年2017年は11に増えましたが、参加企業にとってのメリットは何でしょうか?

A:採用活動で大きなプラスになりますね。口コミの時代で、SNSなどによりすぐに話が広がりますが、学生を対象としたコンテストを行っている企業ということでプレゼンスが相当上がるはずです。各企業とも時間やコストが割かれていて、これで直接利益が上がるわけではありませんが、だからこそ学生の間で評判を得ますし、積極的な姿勢が好感を持たれるでしょう。

さらに、学生は将来顧客となる可能性があるとも言えます。また、サービス業や小売業だけでなくB to B企業であっても、身近に感じてもらうきっかけにできます。それに学生の側は社会人になって仕事を続けていけば、将来取引先となる可能性もあるわけで、1社でも多く企業を知るのはその意味でも良いことでしょう。社会に出れば、消費者としてだけでなく、産業のどこに自分が組み込まれるか分からないものです。学生にはそうした話もしています。

このイベントにおいて学生は、コンテストでプレゼンをするという高いモチベーションで企業に相対するのですから、その効果はなおさらだと思います。認知度に関わらず、企業を理解しようと努め、知らない人に各々の企業の価値を伝えることを競うわけですから。自チームの分析企業についての理解や愛着はもちろん、他チームのプレゼンを聞くことで、その企業への理解も深まります。

企業が学生と接点を持とうとすると、通常は就職博や合同企業セミナーのような場を考えがちですが、企業数が多く競争率が高い場よりも、こういうイベントへの参加のほうが確実に、厚いコミュニケーションにつながります。また学生にとっては、就職は自分の将来を託す、最も大きな投資です。こうしたプレゼンコンテストのようなイベントで、早い時期から備えてもらいたいですね。

Q:このコンテストへの今後の期待を聞かせてください。

A:参加団体も昨年の6大学8チーム・7企業から、2017年は10大学11チーム・11企業に数を増しましたし、関東圏だけでなく名古屋大学や同志社大学をはじめ、北海道の企業も加わったのが大きいですね。地域が広がって、より全国的に知られるようになればと思います。将来的には地域ごとの開催ができるくらいにまで規模が拡大すれば、地域創生イベントとしても注目されるのではないでしょうか。

<プロフィール>
複眼経済観測所株式会社
代表取締役所長
渡部清二

野村證券に23年間在籍し、個人投資家向けの資産コンサルティング、機関投資家向け営業、日本株セールスに携わる。
2014年四季リサーチ株式会社設立。
2016年複眼経済観測所株式会社設立、代表取締役所長。20年間、80冊の四季報を読破した知見をもとに、四季報を活用した企業分析をビジネス化。金融機関やその他団体などに向けたセミナー活動などを行っている。
https://www.millioneyes.jp/

学生投資連合USIC
http://usic-web.main.jp/

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