【後編】健康経営優良法人認定制度とは 『健康経営が社会にもたらす効果と期待〜経済産業省〜』

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健康経営優良法人認定制度
レオパレス21が選定された「健康経営優良法人2017(大規模法人部門)」について、制度設計を行う経済産業省の担当者にその背景や効果を前編で伺いました。

後編では引き続き、経済産業省の商務・サービスグループヘルスケア産業課課長補佐の山本宣行氏、同課係長の紺野春菜氏、小林耕太氏に課題や今後の展望を伺います。

選択項目はより実質的な効果が出るように、重要項目は必須化へ常に改訂

Q:健康経営優良法人の認定要件、基準について教えてください。

小林:「経営理念」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の大きく5つの領域に分かれます。経験豊富な専門家や産業医とともに検討して決めたもので、先行していた協会けんぽ等の「健康宣言」事業への参加を必須要件としています。

ただ、「制度・施策実行」では複数の項目からの選択制なので、認定企業間でも取り組み内容に差はあります。例えば、中小規模法人部門で従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討としている4つの評価項目の内、労働安全衛生法に関係する「定期健診の100%受診」と「ストレスチェックの実施」を選択するのと、「受診勧奨の取り組み」と「健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標の設定」を選択するのでは重みが異なるといった議論もあります。

これらも含め、毎年内容に改訂を加えていて、「受診勧奨の取り組み」についてはこれまでは一般定期健康診断の受診勧奨で良かったものを一歩踏み込んで、再診やがん検診等の任意健診を従業員が受診する際の就業時間認定や費用補助等の取り組みまで求めるようにして、ハードルを上げています。

そのほか、「受動喫煙対策への取り組み」も今は選択項目の1つですが、2019年認定では必須項目にすることを決めています。受動喫煙は社会的要請が大きく、この認定制度を設計している有識者によるワーキンググループでも「必須項目化すべき」という意見を多数いただいています。ただ、従業員数の多い大企業では特に達成率の低い項目であり、また実施に当たっては喫煙所の整備や敷地外での喫煙増加につながらないための配慮も必要ですので、2019年までの間に時間を掛けて対策を取っていただきたいと考えています。

山本:この制度では、受動喫煙対策を加速させて、2020年の東京オリンピックまでにより整備された状況にもっていきたいですね。世界に誇れるような環境整備という意味では、オリンピックはひとつのゴールです。また、それまでに健康経営への意識が高まれば、後は経済産業省として声高に訴えなくても企業の自助努力が当たり前に機能するような状況になると期待しています。

認知度アップと効果の実感の相乗効果で、全国への普及浸透を目指す

健康経営優良法人認定制度
Q:今現在、健康経営の普及浸透をどのように実感していますか。

紺野:「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人(大規模法人部門)(通称ホワイト500)」では、まず従業員の健康に関する取り組みについて経済産業省が伺う「健康経営度調査」に回答することが企業にとってはエントリーになりますが、この回答数が初年度2014年の493社から昨年2016年度には726社、そして最新の2017年度では1238社へと急増しています。

山本:当初はおそらく、「健康経営銘柄」の認定を受けたといっても、当の企業は実感が薄かったことでしょう。それが採用面などで社会からの評価につながるのを感じたり、また経営者同士の集まりでもそうした健康経営の効果が語られるようになるにつれ、認定を目指す企業も増加してきています。経営指標としての価値が経営層に認識された結果ではないかと思います。また、認定を受けた企業が、名刺や採用ツールなどに健康経営のロゴマークを用いてくれることも普及を後押ししています。

成功事例に触れたり、身近な企業が取り組む姿に倣って普及促進を

健康経営優良法人認定制度
Q:今後の普及についてはどのように考えていますか。

紺野:われわれは旗振り役のようなもので、健康経営について民間で推進していこうという動きもあります。
例えば、NPO法人健康経営研究会では全国でセミナーを開催していて、地方や中小企業でも取り入れやすいような事例を紹介し、共有されています。ある流通系企業の例では、夜間に社内運動会を開催していて、経営層には就業時間との兼ね合いも重要ですが、こうした時間活用のアイデアに触れることで健康経営の実現により近づければと思います。健康診断の100%受診だけでなく、その後の精密検査についても100%に近い受診率を誇るなど、先進的な企業の発表を聞くことが各社への刺激にもなります。それぞれの会社のあり方に合ったやり方を見つけていただきたいですね。

山本:メディアに取り上げていただくのでも、都市部だけでなく全国的なものとし、地域ごとの訴求も重要です。健康経営による様々なメリットを適切な媒体で広めるとともに、各地のリーダー企業にまず理解していただくことで、その地域での浸透を目指すようにします。例えば、中小規模法人で認定を受けた法人の中には地域の商工会議所があります。愛知県蒲郡と静岡県三島の2ヵ所ですが、それによりその地域の会員企業に広まる効果が期待されます。地域を代表する企業が取り組むことで、その関連企業や取り引き先などに波及していけば良いですね。

また、社内でも経営層だけでなく、従業員にその考え方や行動がきちんと伝えられていくことが大切です。健康経営は、事業主と従業員、健康保険組合など保険者の間のコミュニケーションを上手に図っていくことにつながるものです。経営者は、社外への自社アピールだけでなく、社内に対しても健康経営を宣言することでそれに伴って設置した制度、施策が活用され、従業員の健康という実質的な効果が得られるでしょう。また、大企業ではもともと一体化していて行いやすい保険者との連携が、中小企業においても協会けんぽとの連携が促進され、ノウハウが企業に伝わっている様子も伺えます。

Q:今後の展望を聞かせてください。

紺野:「健康経営度調査」は、取り組みの有無を尋ねるイエス・ノーの質問が主ですが、さらに実態把握ができるよう工夫していきたいと考えています。制度があるだけではなく、活用されているか、実際に従業員の健康につながっているか、非正規従業員や従業員家族などにも活用が進んでいるかなどですね。

山本:投資の世界ではESG投資が浸透してきています。財務数字に表れない価値として、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)への取り組み指標を企業評価に用いる投資スタイルで、日本でも今後重視されていくでしょうが、健康経営優良法人認定はそのS(Social)の指標にもなり得るのではと思います。投資ということで、バックデータが重要ですから、認定事業を推進していく中でデータの整備、分析も充実させていきたいですね。

(プロフィール)
経済産業省
商務・サービスグループ ヘルスケア産業課

課長補佐
山本宣行
2016年7月、ヘルスケア産業課に異動。主に健康経営や地域のヘルスケア産業の取組への支援等を担当。
まだ健康経営に関心の無い企業の経営者にアピールできるようなインパクトのあるエビデンス集めを今後もしていこうと思います。

係長
紺野春菜
2017年7月、ヘルスケア産業課に異動。主に大企業向け健康経営を担当。
企業が健康経営を行っていることを社外だけで無くちゃんと社内にもアピールしていくことを期待しています。また、今後は女性の健康に力を入れます。

係長
小林耕太
2017年4月、ヘルスケア産業課に異動。主に中小企業向け健康経営を担当。
地方の中小企業への健康経営普及や細やかなノウハウ提供を頑張っていきます。

経済産業省 健康経営銘柄
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_meigara.html
同 健康経営優良法人認定制度
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin.html


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