【後編】グローバル化で関心が高まる「外国人技能実習制度」で求められる国際貢献とは?『今後の「外国人技能人技能実習生制度」のあり方〜公益財団法人日中技能者交流センター』

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外国人技能実習制度
開発途上国の青年を日本国の施策として日本の企業が受け入れ、技能移転を図ることで国際貢献につながる「外国人技能実習制度」は、制度改正により変わってきています。
これまでよりも適切な運営が行われ、実習期間の延長が可能となるように、2016年に成立した「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)、2017年に「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」が成立しました。

後編では、「外国人技能実習制度」の改正点や改正による影響、今後の展望などについて、引き続き、公益財団法人日中技能者交流センター(通称:HRsDアジア財団)の理事長の人見一夫氏に伺いました。

優良な監理団体は5年間の受け入れが可能に

Q:「外国人技能実習生制度」の改正点や、実習期間をこれまでの3年間から5年間に延長できる条件や手順について教えてください。

A:2016年に新しい「外国人技能実習制度」のための法律が成立し、2017年4月には外国人技能実習機構という技能実習制度を管理する国の団体ができました。これまでは全て入管(入国管理局)が審査していましたが、「外国人技能実習制度」にもとづく職種・作業内容などの審査は外国人技能実習機構が行い、入管は入国審査だけを行うことになりましたので、審査の期間が短縮されます。

制度の改正で、優良な監理団体は一般監理団体、それ以外は特定監理団体に分けられることになりました。一般監理団体のもとで、優良な受け入れ企業は5年間の技能実習期間が認められ、技能実習生の受け入れ枠も倍に増やすことができます。法律施行に伴う2017年11月からの制度改正に向けて、当財団も一般監理団体として申請中です。申請が通ると、労働基準法の順守や技能検定試験への合格率などをもとに審査が行われ、一定のポイントを得られると、一般監理団体として認められます。受け入れ企業の希望があれば、5年間の受け入れが可能になります。

Q:外国人技能実習生の技能検定試験にも変更点はあるのでしょうか。

A:これまでも、1年目から2年目の移行時に、基礎2級試験への合格が必要でした。新しい制度では、1年目から2年目に移る際に基礎級試験を行い、3年目から4年目にも3級の試験が設けられ、5年間の実習終了時には2級の試験が設けられます。「外国人技能実習制度」の目的は「技能移転」ですので、一定の技術を身につけて帰国してもらうことがより重視されました。5年間滞在するためには、企業側も実習生の側も、技能を身につけるための努力が必要です。

介護職の受け入れは日本語能力が課題

外国人技能実習制度
Q:「外国人技能実習制度」には、介護職も追加されることになりましたが、どのように捉えられていますか。

A:中国でも一人っ子政策によって社会の高齢化が進んでいるため、介護の人材を育成するニーズがあり、日本側で介護人材の育成に協力したいという企業からのお話をいただいていますので、介護の分野も扱っていく予定です。

今までは製造業を中心にものづくりに関わる人材を受け入れていましたが、介護は対人サービスという点が異なります。訪問サービスではなく、老人ホームなどの施設での受け入れが想定され、介護現場での引き継ぎなどに対応できる日本語能力も必要です。「外国人技能実習制度」の中でも介護分野では、受け入れ時に日常会話ができる日本語能力試験のN4相当、2年目はN3相当の語学力が求められます。

介護分野の外国人技能実習生の受け入れは日本語能力が課題であり、相手国で半年程度は日本語の学習が必要です。2年目に移行する時にN3相当を取得していないと帰国になるリスクがあることから、N3に合格している人材が望ましいのです。費用の問題もありますので、日本語学校で学んだ人や中国の看護の職業訓練学校の学生などを受け入れることを考えています。

適正な「外国人技能実習制度」の運営による国際貢献

外国人技能実習制度
Q:「外国人技能実習制度」の制度改正によりどのような影響があるのでしょうか。

A:一般監理団体と特定監理団体に分けられ、問題のある監理団体は淘汰されていくと思います。監理団体は1年に1回立ち入り検査が行われ、受け入れ企業において労働基準法違反などの不適切な行為が発覚すると、許可の取消しが行われることもあります。受け入れ企業も3年に1回、立ち入り検査が行われ、問題があると受け入れができなくなります。これまでは、入管の許可があれば技能実習生の受け入れが継続できましたが、今後は人権侵害など重大な違反には罰金刑や懲役刑などの罰則も設けられ、適正に実施することがこれまで以上に求められます。

Q:「外国人技能実習制度」に関して何か感じていることはありますか。

A:今も企業ごとに努力していただいていますが、地域のお祭りに参加するといった日本の文化を理解する機会が得られると良いと考えています。また、日本語習得の面では、日本語能力試験でN3くらいには合格して帰国してもらいたいです。ちなみに当財団では日本語能力試験のN3以上の合格者や国家検定制度の技能検定の合格者には、報奨金を出しています。

Q:今後、監理団体として目指していくことを教えてください。

A:日本に来て良かったと思ってもらえるように、コンプライアンスを守る企業と協力して進めていきたいと考えています。帰国後に相手国に進出している日本企業で技能を活かして働くことができる受け皿づくりも進めていきたいです。「外国人技能実習制度」で認められた職種でないと1年で技能実習期間が終了してしまうのですが、今後、物流分野で3年の受け入れが認められると、さらにニーズが高まっていくと思います。
私たちは「外国人技能実習制度」を通じて、国際貢献や人づくりを行うことで、相手国との友好関係が進展していくと考えています。

<プロフィール>
公益財団法人日中技能者交流センター(HRsDアジア財団)
理事長
人見一夫

2006年副理事長に就任。
2007年理事長就任。
2016年中国政府「友誼賞」受賞。
趣味は山登りとゴルフ。

http://www.jcsec.or.jp/


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