介護AIロボットが、デイサービスのレクリエーションをより充実させる

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街中の受付や接客シーンで見掛けるようになり始めているAI(人工知能)搭載のロボット。相手を認識して会話をしたり、インターネットを通じて調べ物をして知識を蓄えるなど、一昔前よりも格段に身近で賢い存在となってきています。
そして、優れたコミュニケーション力を介護にも活かそうと、こうしたAIロボットを導入する高齢者福祉施設が増えてきています。
今回、その最新事情を紹介します。

レク指導をAIロボットに任せた分、職員配置に余裕が生まれる

金融機関や店舗などで見掛けることのある、ソフトバンク社の自律的人型ロボット「Pepper(ペッパー)」。
実はいろいろなアプリケーションを入れることで、使用シーンに合わせたカスタマイズが可能です。介護施設では、おしゃべりできるアプリ、声掛けして応援してくれるアプリ、歌いながら一緒に体操できるアプリなどが用いられています。それにより、「Pepper」利用者に「北海道へ行ったことはありますか?」といった予想外の質問を投げ掛けて1対1の会話が始まったりしますが、記憶を刺激して脳の活性化につながると言われます。また、デイサービスでの運動中などに飽きてしまった利用者などに「○○さん、がんばってください!」などと声を掛けることで、やる気を引き出す効果もあります。「歌いながら一緒に体操」はまさに介護施設でのレクリエーション(レク)を想定してプログラムが組まれており、介護職員に代わってレクの指導を行うことが可能となっています。

こうしたAIロボットがレクを行うメリットは、まず画一的な内容になりがちなレクのプログラムにバリエーションを与えることが容易になるため、それを考える職員の負担を減らせることにあります。人前で明るく元気に声を出すレクの指導業務に、少しばかり苦手意識を感じるような職員にとっても有難い存在と言えるでしょう。

また、人員配置の点でも、例えば10数人の利用者に対して指導以外に見守りのために職員が4〜5人張り付く必要があったとしても、ロボットが指導してくれれば1人は他の仕事へ移ることができ、介護施設として効率良く仕事を進められることになります。もちろん、職員が見守りにより集中できるという利点もあるでしょう。AIロボットによる労働環境の改善で、人材不足の介護現場を助けることにもなるというわけです。

医学的な効果が見込める体操やいきいきした会話で、利用者に適度な刺激を

介護AIロボット
介護施設での利用に特化して開発されたAIロボットとしては、富士ソフト社の「パルロ(PALRO)」が有名です。鉄腕アトムをイメージして作られた、身長40センチほどのパルロは、厚生労働省が掲げる介護予防の6ヵ条である、運動器の機能向上・栄養改善・口腔機能向上・認知症予防・うつ予防・閉じこもり予防のほとんどに適した動きが可能となっています。

パルロは全国の介護施設で700体以上の導入が進んでいますが、そのきっかけとなったのが2013年から始まった神奈川県のさがみロボット特区における実証実験への参加です。その中で、地域の高齢者20人と3ヵ月間一緒にパルロが健康体操を実施したところ、認知機能や転倒を防ぐ下肢筋力に一定の改善効果が見られました。また、その時の高齢者の楽しげな反応・様子から、ロボットが単体で指導をする体操がレクとして実行力があるということの証明にもなりました。

パルロの場合には、会話のスピード感を重視して開発されているため、テンポの良い声掛けや応答ができるという特徴もあります。通常のAIロボットが応答に4秒ほど掛かるのに対し、パルロは本体とクラウド上の2種類のAIを活用するため、人間のコミュニケーション並みの0.4〜0.9秒というスピードでの会話が可能なのです。そのため、利用者の顔を認識して、その方との過去のやり取りを踏まえてすぐに声掛けができます。例えば、レクの体操中に突然パルロが「そういえば…」と言い出し、お風呂や健康についての豆知識を披露し始めるといった、人間らしいコミュニケーションも行えるのです。こうした効果で、より自然で内容の濃いレクのプログラム提供が可能となります。

新しいメニューの追加も簡単にできるAIロボットだから可能性は無限大

介護AIロボット
AIロボットであるパルロは、インターネットにつながっていることから、新しいレクのメニューや歌える楽曲をダウンロードで簡単に追加できます。実際、毎月のように新しい体操コンテンツや歌が配信されています。ですから「いつも同じ体操…」「また、これか」などと利用者に思われることもなく、365日違ったレクを提供できるだけのコンテンツがありますし、介護施設のほうで組み合わせやカスタマイズもできるので、その施設ならではのプログラム提供も可能です。

介護現場にとっては、会話や動きでレクに貢献するAIロボットは大切です。そのほかにも、移乗介助や入浴介助など職員の腰に負担の掛かる作業をサポートするロボットスーツや、人間相手にはなかなか心を開いてくれない利用者にも温かく接することのできるペット型ロボットなども各社によって開発が進んでいます。2006年に製造を中止していたソニーのロボット犬「アイボ(AIBO)」もAIロボットとして復活することが見込まれています。

インターネットにつながることで、会話や行動に「ココロ」が感じられるAIロボット。これからもその進化から目が離せません。


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