超高齢化社会で注目される「看取り介護」とは

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看取り介護
医療の発達や高齢者の人口増加に伴い、世界規模で高齢化が進んでいます。特に日本は世界に先駆け超高齢化社会を迎えており、その高齢化率の上昇は他の国に例を見ないほどのスピードともいわれています。そんな中、日本では人生の最後を迎えるまでサポートするという看取り介護への関心が高まっているようです。
今回は、そうした看取り介護について詳しく紹介していきます。

「看取り介護」とは

終末期においては、看取られる側の本人と家族や親戚といった看取る側との間で「死をどのように迎えるか、どのように受け止めるか」といった価値観が錯綜することも多々あります。本人はもちろんのこと、家族や親戚など長年人生を共にしてきた方々の不安や心労も並大抵ではないからです。

そんな中、終末期を迎えた方が慣れ親しんだ場所で人生の最期を迎えることができるようにと、看取り介護に関心を持つ人が増えてきているようです。看取り介護とは、終末期を迎える方の精神的・身体的な苦痛、苦悩をできるだけ緩和し、その方の尊厳を保ちながら、最後の時間を自分が納得できる形で迎えることができるように援助を行うことです。厚生労働省が2015年に発表した調査結果によると、現在日本全国にある介護老人福祉施設の内、およそ7割もの施設で本人や家族の要望のもと看取り介護が実施されています。

さらに、そのほかの2割の介護施設が、「条件が整い次第看取り介護の対応を考える」と回答しています。実際に看取り介護を実施するに当たっては以下のような体制が必要不可欠となっています。

・施設における医療機関との協力
・家族の同意
・24時間家族と連絡が取れる

特に医療体制においては、緊急時に備えて医療機関と24時間連絡が取れる体制にしておくことや、夜間にスタッフが看護師と連絡が可能なようにしておく、もしくは看護師とのオンコール体制を整えておくなど、施設側と医療機関の密な連携が求められることになります。また、看取り介護では利用者だけではなく、家族へのケアも支援内容に含まれます。例えば施設側は利用者の身体的・精神的な状態や変化をこまめに知らせて家族と共有するほか、亡くなった後の支援をしっかりと行うことも求められているのです。

看取り介護のメリットと課題

看取り介護
看取り介護にはいくつかメリットと課題が存在します。

メリット
・利用者が望む形で最期を迎えることができる
・葬儀への援助や精神的ケアなど、残される側への支援もある
・病状が悪化した時に、病院へ通う手間が省ける

課題
・看取り介護を実施している施設へ必ずしも入居できるわけではない
・医療設備が充実していないところもある

看取り介護の場合、基本的に入所してから看取るまでの間に、本人やその家族の要望を聞いて、双方が望む形で最期を迎えるために環境を整えます。その間葬儀についての相談など、生前に確認しておくべきことを話し合いますが、特に本人や家族への生前意思確認(リヴィングウィル)が重要になってきます。例えば心臓マッサージなどによる心肺蘇生や延命目的の人工呼吸器、人工透析、胃ろうや鼻チューブによる栄養補給などを「してほしい」のか「してほしくないか」を決めておくことが求められます。

誰でも可能なわけではない? 特別養護老人ホームへの入所

看取り介護
前述のように、現在およそ7割もの介護老人福祉施設において「看取り介護」が実施されています。特に特別養護老人ホームでは全体の5割以上が看取り期に入った利用者に対し個別に看取りの計画を立てて実施しているなど、看取り看護を積極的に取り入れていることがわかります。

一方で、現在は特別養護老人ホームへの入所は基本的には要介護認定における「要介護3以上」の方のみに限られています。

要介護1・・・手段的日常生活動作を行う能力が低下し、部分的な介助が必要
要介護2・・・要介護1に加え、日常生活動作にも部分的な介助が必要
要介護3・・・ほぼ全面的な介助が必要
要介護4・・・介護なしでは日常生活を送るのが困難
要介護5・・・介護なしでは日常生活を送ることがほぼ不可能

上記のことを踏まえると、要介護3以上とは日常生活を送るに当たって介助が必要になる状態の方ということです。しかし要介護1・2の方の場合でも、地域での介護サービスが十分に受けられない場合や家族からの介護が期待できない場合は特別養護老人ホームへの入所が認められることがあります。

特別養護老人ホームへの入所希望者は平成26年の段階で52万人を超えています。この数字だけ見るとかなりの待機者がいるように思えますが、実際は複数の施設へ希望を出している方が多いほか、入所する際の条件が改正されたため、地域によって違いはありますが入所待ちをしている方の数自体は減ったようです。しかし、要介護2以下の方の入所が困難になったことは大きなデメリットといえるでしょう。

今後需要が増えるであろう看取り介護

増え続ける高齢者にまつわる問題はまだ顕在化し始めたばかりです。来る2025年には団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となる、いわゆる「2025年問題」が待ち受けています。日本の人口のうち3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になるという、人類の歴史上でも例をみない超高齢化社会の到来を見据え、大切な人を看取る時だけではなく、自身が看取られる時のことを視野に入れながら介護のあり方を今一度考えなおすことが現在求められているのかもしれません。


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