さらに進む働き方改革。 週休3日制を導入する企業が増えた理由

ソーシャル

関連キーワード
週休3日制
働き方改革が浸透していく中で、大企業を中心に採用する企業が増えているのが週休3日制です。なぜ採用する企業が増えているのか、その導入例やメリット・デメリットについて解説します。

フレックスより時短より在宅勤務より、働く人に望まれている「週休3日制」

東京都産業労働局が2016年秋に30人規模以上の事業所で働く正社員2000人を対象とした調査で、「朝型勤務」「短時間正社員制度」「フレックスタイム制」「在宅勤務」「週休3日制度」の5つの労働時間制度について希望の有無を聞いたところ、希望する人が最も多かったのが「週休3日制度」で、51.6%と唯一半数以上となりました。働く人の2人に1人は週に3日は休みたい、というところでしょうか。そのほかの制度について、希望すると答えた人の割合は、「フレックスタイム制」が41.0%、「在宅勤務」29.0%、「短時間正社員制度」28.7%、「朝型勤務」24.9%でしたから、「週休3日制度」が望まれている傾向は明らかでしょう。

また、同じ設問で「既に適用」されているものも聞いていますが、こちらは「週休3日制度」が0.2%で最下位です。導入が進んでいるのは「フレックスタイム制」の11.6%や「朝型勤務」の8.2%などですが、これらは就業日に勤務をすることにおいては変わりはなく、仕事する時間のピークを1日の間でどこに持ってくるかの違いなので、関係者との調整さえつけば実現しやすいことがその理由にありそうです。また、企業のスタンスとして全社員に適用しやすいものでもあるでしょう。

働き方改革の流れで「週休3日制」を導入する企業が増えていると言われますが、その背景にはどのような意図があるでしょうか。

まず短期的には、人材確保のためがあります。このところ人材マーケットは活況を呈しており、売り手市場となっています。そこで、魅力的な就業条件として「週休3日制」をうたうことで、優秀な人材の関心を得るという目的です。また、既にいる従業員に対しても、まだ全体としては整備の進んでいない「週休3日制」という独特な就業環境を提供することで、転職・退職を防ぐ狙いがあるでしょう。

中長期的にも、社員に活用しやすいまとまった時間が与えられることで、プライベートの充実によるリフレッシュや自己啓発、資格取得などを計画的に、かつ日常的に行っていける利点があります。それは社員の満足と活力、ひいては仕事へのフィードバックとなっていくことが期待されます。

労働時間・給料がそのままか、減るか、2つのタイプに

週休3日制
実際の導入例を見てみましょう。一口に「週休3日制」と言っても、その中身は大きく2通りに分かれます。

週3日休む代わりに週4日の就業日にはプラス2時間の10時間働いて、週の所定労働時間の合計は40時間と、週休2日の時と同じなのが1つ目のタイプです。この場合は当然、月の基本給は変わりません。こちらの導入企業には、佐川急便、ユニクロ(ファーストリテイリング)、スポーツ用品のアルペン、介護のウチヤマホールディンスなどがあり、2017年9月時点、その企業全体が週休3日の体制になるのではなく、たいていは募集条件で一定の社員を対象に週休3日、1日の所定労働時間は10時間を選択できるようになっています。例えばユニクロでは、遠隔地への転勤を伴わない地域正社員を対象に選択できるようにしていますが、週末が繁忙日になるため、平日の3日を休日に充てることが条件となっています。

もう1つが、所定労働時間を8時間のままで週休3日にするタイプで、月の基本給はその分減ることになります。このタイプをいち早く導入していたのが日本IBMです。同社では2004年から「短時間勤務制度」を導入して週休3日も認め、実際に育児・介護や資格取得に充てた社員がいたとのことです。また、ヤフーでも当初全従業員を対象に行うことを検討したようで、報道もされて話題を呼びましたが、実際にはまず育児・介護中の社員を対象とした「えらべる勤務制度」として2017年4月から導入しています。土日の休みに加え、1週当たり1日の休暇を取得する形を取っており、その休暇分は無給です。育児・介護の都合に合わせた運用を想定しているためか、利用の申請・解除や曜日変更なども月単位で行える柔軟な仕組みとなっています。将来的に、全従業員が選択できるような制度設計を検討していくようですが、やはり全社的に導入をするのは難しい制度なのでしょうか。

切り替えによるモチベーションアップが見込め、時間に区切りをつけることで生産性の向上にも

週休3日制
運用による違いはありますが、「週休3日制度」というものが企業と従業員にもたらすメリット・デメリットを考えてみましょう。

まず従業員のメリットとしては、育児・介護、資格勉強、プライベートの趣味などに費やす時間がしっかりと確保できること。制度なので欠勤のような後ろめたさを伴うことがなく、その日をフルに仕事とは別の目的に用いることができ、健全です。企業にとっては、従業員のプライベートが充実すればそこでの経験が仕事にも活きる、あるいは活力を得たことでのモチベーションアップといったメリットが考えられます。また、休みが増えれば出勤日にはそれだけ集中して仕事をすることも期待され、生産性の向上につながるでしょう。時間に区切りをつけるという意識が職場にもたらされれば、それはまた周囲の社員にも良い影響となるかもしれません。もちろん、特別な採用条件として優秀な人材確保につなげられるとも考えられます。一方で、これは従業員にはデメリットになるかもしれませんが、所定労働時間が週40時間のままの場合、出勤日には10時間就業するので、それ以上の残業が生じにくく、従って時間外労働賃金が発生しにくくなることが見込まれます。10時間という勤務が前提となるため、販売や保育などの業種では特に18時から20時21時といったニーズの高い時間帯まで所定労働時間内でカバーできる点は企業にとしてメリットになります。

従業員にとっては、10時間就業しても残業代は出ませんし、1日8時間勤務のままの場合はさらに週の所定労働時間が短いために基本給が減りますし、残業代やボーナスの算定の基になる基本給が減っているので以前のような額は見込めないと言えます。つまり、どちらのタイプの週休3日制であっても収入減は避けられなさそうです。また、職種にもよりますが、顧客や取引先など社外とのやり取りは、平日に休みがあると対応が難しいこともあるでしょう。それによる従業員のモチベーションダウンは、企業にとっても良くないことです。

こうしたデメリットの克服には、制度の工夫が必要でしょう。
アパレル業界向け人材会社のシーエーセールススタッフでは社長の肝いりで2014年3月より、成績上位の社員とマネージャーを対象に「週休3日制度」を導入したところ、現場に混乱を招いたと言います。やるべき仕事量は変わらないのに労働時間が減ったことによる疲弊、その日でなければならない仕事を休日ということで別のスタッフに頼まなければならない申し訳なさ。数ヵ月の後には対象者の成績が目に見えて低迷したため、半年で制度を見直すこととなりました。反省を踏まえてスタートさせたのは「気分で出勤制度」で、一定の成績を収めた人には、休んでも出社しても良いフリー出勤日が与えられる仕組みです。出勤日扱いなので、出社しなくても電話には出られる状態でなければいけませんが、業務に支障を与えることなく取得できることで現場のストレスが大きく軽減されたとのことです。

「週休3日制度」普及のカギは、業種や職種、職場環境に合わせた運用にあると言えそうです。


働き方改革記事一覧はこちら
健康経営ホワイト500、準なでしこ銘柄・・・外部評価でレオパレス21が得た価値
プレミアムフライデー導入の効果は?働き方改革への影響を考える

その他のソーシャルの記事

キーワード一覧

 ページトップ