【前編】「攻めのIT経営銘柄2017」選定はこれからの社会をどう変えるのか『「攻めのIT経営銘柄」の目的と選定されるメリット〜経済産業省〜』

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ITの利活用が話題になる昨今、レオパレス21では入居者様へのサービス強化策のひとつとして「業界初の賃貸契約電子化」及び「賃貸住宅のIoT化」を推進しています。 この取り組みが評価を受け、2017年5月には経済産業省と東京証券取引所が、東京証券取引所(一部、二部、ジャスダック、マザーズ)上場会社約3500社から選定する「攻めのIT経営銘柄2017」の31社のうちの1社に選ばれました。

この「攻めのIT経営銘柄」に選ばれることで得られる企業のメリットや社会的な影響などについて、経済産業省商務情報政策局 情報技術利用促進課(ITイノベーション課)課長補佐の柴田和也氏に伺います。

業務の効率化ではなく、「攻めのIT経営」を推進している企業を選ぶ

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Q:「攻めのIT経営銘柄」がつくられた経緯と目的について教えてください。

A:日本の社会は人口が減少しており、それに伴って長期的には労働人口もかなり減っていくと思われます。先頃、ニュースでも報道されましたが、日本は労働生産性が低く、G7では最下位と言われます。こういったことは私どもとしても以前から問題意識としてあります。

これまでは景気の低迷などで、そのような現実にも目を背けがちなところがありましたが、このところ景気が上向き傾向にあるため、今こそ企業側の労働生産性を上げるチャンスであると思われます。

また昨今では第4次産業革命とも言われ、IoT、ビッグデータ、AIなど先進的IT技術が注目されています。これらを利用してよりスピーディにビジネス変革を求めてキャッチアップできないか、そのためのIT技術を上手く使えないかと企業側とも話をしていました。

Q:「攻めのIT」とは、どういう意味なのでしょうか。

A:これまで、IT技術は企業では言わば「守りのIT」として、バックヤードの人事や会計などの業務の効率化にフォーカスされがちでしたが、欧米、特にアメリカでは新しいビジネスや、利益を上げるための「攻め」の部分にITを活用する傾向が顕著になっています。日本も欧米に後れを取らないために、このようなビジネスの先端を行く、「攻めのIT」利活用への取り組みを進めていかなければならないという流れが生まれてきました。

そういう認識を踏まえて、2015年より、この「攻めのIT経営」を推進している企業を選定することになりました。
「攻めのIT経営」とは、あえて定義すれば、ITの活用による企業の製品・サービス強化やビジネスモデル変革を通じて新しい価値の創出、それを通じた競争力の強化に戦略的に取り組む経営ということになります。

2015年より始まり、2017年は31社を選定

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Q:「攻めのIT経営銘柄」選定の概要及び基準はどのようなものでしょうか。

A:この「攻めのIT経営銘柄」に積極的に取り組む企業を株式市場で評価する環境をつくり出すため、東京証券取引所と共同で、東証上場企業(一部、二部、マザーズ、ジャスダック)約3500社を対象にスタートし、2015年には18社、16年には26社、そして17年は31社が選定されました。

選定の概要としては、まずITへの取り組みの内容、組織・態勢などを検証します。取り組みは情報システム部門などのIT部門のみではなく、経営層がコミットしていること、企画・営業部門も含めた全社的な取り組みとなっていること、また単発ではなく組織や体制が継続的に取り組んでいることなどです。
そこで、選定に当たってはまず上場企業の約3500社に「攻めのIT経営調査」アンケートを依頼し、回答が得られた企業の内容を、一橋大学大学院特任教授の伊藤邦雄氏を委員長に迎えた有識者会議「攻めのIT経営」委員会で審議します。毎年1月から2月にアンケートを回収、5月末に発表するまで何度かこの委員会で内容を多角的に審議して決定します。

Q:どういった業種が選定されているのでしょうか。

A:全33業種のうち、現在、参加されている企業の業種は20〜30で、その中から各業種1〜2社を選定します。業種によって倍率が若干異なり、狭き門になっているところもあります。また、年を追うごとに選定される業種も増えてきています。

Q:具体的にどのような成果が出てきているのでしょうか。

A:確実に認知度が上がってきていまして、この銘柄に選定されることによって株価が上がる企業もあり、市場価値も高まっています。スタート時に東証との共催とし、「銘柄」という名称にしたことからも、企業の市場価値を上げるという目的の部分が大きかったので、そうした成果の現れと考えています。実際、継続的に株価に反映されており、ある企業では選定されると同時に、株価がストップ高になったというケースもありました。
また、これまで選定された企業の多くは、投資家向けの説明会に、選定を受けたことを紹介しています。IT投資をすることで株価が上がるという事実があるため、株主総会で取り上げられるケースもあります。現在では、投資家への良い意味でのインセンティブにもなっています。

それから、これまでIT部門というのは営業など他部門に比べて企業内でもあまり経営層とのコミュニケーションが多くない傾向がありましたが、「攻めのIT経営銘柄」に選定されることにより、IT部門から経営層に新しい提案をしたり、ものが言いやすい関係性が生まれているようです。また経営層もIT部門に対してより関心を持つようになり、IT部門に新しい開発を促すなど、相互の乖離(かいり)が埋まってきたと聞いています。

経済産業省
商務情報政策局 情報技術利用促進課(ITイノベーション課)
課長補佐
柴田和也
2010年経済産業省入省、資源エネルギー庁、中小企業庁等の部署を経て、2017年現職に着任。 現在、これから産まれる第一子に備え、「イクメン」準備中。


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