「働き方改革」 女性が活きる職場とは?

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2016年9月に政府の「働き方改革実現推進室」が発足されて以降、「働き方改革」への関心が強まっています。
実際に「働き方改革」を積極的に推進する企業も増えてきていますが、女性が活躍できるような改革は本当に進んでいるのでしょうか。
今回は、働き方改革の実状や女性の働き方の現状を解説しながら、女性が活きる職場とはどのような環境なのかまとめていきたいと思います。

「働き方改革」とは

政府は「働き方改革」を「日本経済再生に向けた最大のチャレンジ」と位置づけています。「働き方改革」とは一人ひとりの「暮らし方」そのものであり、日本の企業のあり方、働き方、ライフスタイルに対する考え方そのものに手をつけていくという改革です。多様な働き方がある現代において、個人が将来の展望を持ち、自ら未来をつくることができるような社会の実現が改革のゴールに設定されています。

2016年9月に「働き方改革実現推進室」が発足した後、同年10月から安倍晋三総理が議長となり、関係閣僚や労働界・産業界のトップ、有識者が集まって議論を交わすという「働き方改革実現会議」が開始されました。2017年3月で10回目を迎えたこの会議では、「働き方改革」の中核を担う同一労働同一賃金の実現や長時間労働の是正などについて議論が交わされ、実際にガイドライン案などを策定しています。

「働き方改革」の3つの柱

この「働き方改革」の3つの柱と言われているのが、「長時間労働の解消」「正規、非正規社員の格差是正」「労働人口不足の改善」です。このうち特に長時間労働は、女性の出生率低下にもつながるとして大きく問題視されています。

2013年国連の社会権規約委員会は、日本の長時間労働などが原因の過労死や自殺について懸念を示し、日本政府へ対策を講じるように勧告していたことが分かっています。実際に世界的に見て日本の長時間労働問題は深刻化してきており、2015年には大手企業に勤める新入社員の女性が過労自殺した事件も発生し、世間の大きな注目を浴びました。また、日本では長時間労働だけでなく残業や転勤などを断れないという土壌が企業に根付いていることが、大きく問題視されています。なかにはこうした会社からの命令を拒否すると非正規社員として働くことを余儀なくされたり、退職を迫られたりすることもあったようです。

女性が能力を発揮しにくくなっている現状

長時間労働問題は、女性の出生率低下に大きく関わってきていると言われています。なぜなら、就職から長時間労働を強いられる年齢までが、ちょうど女性の出産や育児年齢と重なるからです。そのため、特にキャリア志向が強い女性にとっては、キャリアの中断が妊娠・出産・育児に踏み切れない理由となっていたり、その後結果的に非正規の雇用を選ぶことで十分に能力を発揮できなかったりといった現象につながってしまいます。

女性の活躍を後押しする法令も

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現在、日本の就業率は上昇傾向にあります。しかし、女性が十分に活躍できる社会かと言うと、残念ながらそうではなく、依然として課題は山積みなのが現状です。実際に1980年代後半から2000年代後半にかけて、女性の妊娠前の就業率は9%以上上昇しているのに対し、出産後も継続して就業する割合は同期間において微減していたことが分かっています。一方で、育休制度を利用した女性の割合はこの20年間で大きく上昇傾向にあると言われていますが、その反面パートや派遣として働く非正規社員の育休取得率は低く、今後の課題となっています。

そうした中、2015年8月、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」、いわゆる「女性活躍推進法」が国会で成立しました。

「女性活躍推進法」の概要
・女性の採用、昇進などを積極的に行う
・性別による固定的役割分担を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮
・仕事と家庭生活の円滑かつ継続的な両立を可能にする、これに対して本人の意思を尊重する

これに伴い、国や地方公共団体、民間企業などにおいて女性の職業選択に資する情報の公開が義務づけられました。しかし、「女性活躍推進法」の実施が義務づけられているのは、社員数301名以上の企業が対象で、300名以下の企業において強制力はなく努力義務という形になっています。

女性は本当に活躍できているのか、その現状は

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政府は、「女性活躍推進法」に基づく一般事業主行動計画の策定及び策定した旨の届出を行った企業の内、女性活躍に関する状況などが優良な企業について厚生労働省の認定を受けることができる制度を設けています。認定を受けた企業は「えるぼし」という認定マークを商品や広告に使用でき、女性の活躍推進を行っていることをアピールすることが可能です。この「えるぼし」企業は法施行当初は46社にとどまっていましたが、2017年9月現在421社もの企業が認定に至っています。

しかし女性活躍を推進する企業が増加傾向にある一方で、本当に女性は職場で能力を発揮し活躍できているのでしょうか? 人材採用を支援する「エン・ジャパン」が行った調査によると、「女性が活躍できている」と感じている人は男女とも半数以上に及んだそうですが、その反面「女性が活躍できていない」と感じる原因として、「女性の管理職や役員がいない」ことを理由に挙げる人が多かったことが分かりました。

女性の管理職が少ない現状

政府は2020年までの目標として、社会のあらゆる分野において指導的地位を女性が占める割合を少なくとも30%にすることを挙げています。現状では日本において女性が指導的地位を占める割合は10%と国際的に見ても低く、就業者に占める女性の割合と比べても低いことが分かっています。

また、民間企業において女性の管理職や役員がいたとしてもその数は圧倒的に少ないのが現状です。そしてその背景には、いまだに女性への仕事に対するフェアな評価や出産・育児、介護に関連した制度やそれをサポートする設備が追い付いていないことが深く関係していると考えられます。

実際に、女性だけがお茶汲みや掃除をしなければいけなかったり、同期で入社した男性に比べ昇進が明らかに遅かったりと、いまだにジェンダーに囚われた慣習が根強く残っている企業も少なくはないようです。さらに「女性は寿退社した方が幸せだ」「結婚したら家庭にはいるべき」といった「女性はこうあるべき」だという男性本位の価値観も女性の働き方を狭める一因となっていることは間違いないでしょう。また、十分な産休・育休を取得できずに退職し、非正規社員として働くことの選択を余儀なくされ、活躍のチャンスを逃してしまう女性も現状では多くいます。

「働き方改革」で求められる女性のための法整備

女性活躍推進法や男女雇用機会均等法など、女性が能力を十分に発揮し職場で活きる環境づくりが進められていますが、働き方について悩みを抱える女性はいまだ多くいます。また、女性のみならず、男性の産休や育休取得についても依然として周囲の風当たりが強いことが多く、早急な対応が求められていると言えるでしょう。長時間労働や過労死がクローズアップされる現代で、女性の大半が自身のワークライフバランスに満足できるようになるためには課題は山積みです。安倍総理が「わが国最大の潜在力」と位置付けた女性の力をより生かせるような法整備を国に、職場環境整備を企業に期待したいものです。


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