人工知能の進化で驚きの囲碁AI登場! 「アルファ碁」に100戦全勝

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昨今の人工知能(AI)分野における技術の発達には目を見張るものがあります。2016年にソフトバンクグループの創業者である孫正義氏が、人工知能の急激な発達が人類の文明を創造もできないスピードで発展させていくというシンギュラリティ(技術的特異点)について熱弁をふるったことも記憶に新しいと思います。また、人工知能は、囲碁の世界でも大きな話題を集めました。

今や囲碁における最強の存在は人間ではなく囲碁AIなのです。そして、これまでの最強囲碁AIであった「アルファ碁」も今となっては過去のものでしかありません。このように人工知能分野における技術革新は日進月歩です。今回は、囲碁の世界における人工知能を中心に、現在の人工知能とその未来について紹介します。人工知能はこの先どこへと向かっていくのでしょうか。

プロ棋士を初めて破った囲碁AI「アルファ碁」

「アルファ碁」は、Googleの子会社であるディープマインド社により開発された囲碁AIプログラムです。2015年10月、囲碁AIとして初めて人間のプロ棋士を破りました。その後2016年3月には、プロ棋士に5番勝負で4勝1敗と勝ち越し、2017年5月には当時の世界ランキング1位のプロ棋士を相手に3戦3勝を挙げて話題となりました。このように「アルファ碁」は、初めてプロ棋士に勝った囲碁AIであり、また、世界ランキング1位の棋士ですら囲碁AIには勝つことができないという形で人工知能の凄まじさを世界に知らしめたのです。

囲碁は他のボードゲームと比較して複雑であり、人工知能がプロ棋士に勝つのは非常に難しいと考えられていました。これは他のボードゲームと人間の対決の歴史を見るとよく分かります。例えば、チェスにおいては、1997年の時点でIBMのコンピュータが当時のチェス世界チャンピオンを破っています。その後、2010年にはコンピュータ将棋の「あから2010」が女流棋士を破っています。チェスや将棋の分野で人工知能がプロを破るようになった当時であっても、囲碁AIはアマチュアの有段者に勝つのがやっとであり、プロには歯が立ちませんでした。「アルファ碁」は、まさに人工知能の可能性を大きく示した歴史に残る囲碁AIとなったのです。

「アルファ碁」に100戦100勝の囲碁AIの誕生

このように「アルファ碁」は2017年5月の時点で世界ランキング1位のプロ棋士を破り、世界で最も囲碁が強い存在となりました。しかし、その後の2017年10月、「アルファ碁」はさらに新しい囲碁AIに100戦100敗します。

「アルファ碁」に100戦100勝し、現在における最高の囲碁AIとなったのが「アルファ碁ゼロ」です。「アルファ碁ゼロ」は、「アルファ碁」と同様にディープマインド社により開発されました。そして驚くべきは、この「アルファ碁ゼロ」がたった3日間の学習で「アルファ碁」を打ち倒したという事実です。2015年に初めてプロ棋士に勝ち、2017年に世界ランキング1位のプロ棋士を倒した囲碁AIが、3日間の学習を積んだだけの新しい囲碁AI「アルファ碁ゼロ」に100戦100敗する。人工知能の発達の速度には、大変に驚かされます。

「アルファ碁」と「アルファ碁ゼロ」の違い

「アルファ碁」と「アルファ碁ゼロ」は共に人工知能を用いた囲碁プログラムです。しかし、両者には囲碁を学ぶ際の方法について大きな違いがあります。「アルファ碁」は、人間が今までに打ってきた棋譜を学習し、それを用いて人工知能同士で対戦を繰り返して囲碁を学習するものでした。つまり「アルファ碁」の学習の出発点はあくまで人間が今まで積み重ねてきたものだったのです。

一方、「アルファ碁ゼロ」は人間の棋譜を一切利用せずに囲碁を学びました。「アルファ碁ゼロ」は囲碁のルールだけを学習し、そこから先は人工知能同士の対戦のみで囲碁を学習したのです。人間に例えると、囲碁のルールだけを理解している初心者が、先人の棋譜に一切頼ることなく対戦を通じて囲碁の最適な手を見つけていくものです。「アルファ碁ゼロ」は3日間で約500万回の人工知能同士の対戦を行い、囲碁を学習しました。「アルファ碁ゼロ」が短期間で飛躍的に実力を伸ばしたのは、人間の棋譜を学ばなかったことにより、人間が打つ無駄な一手を学ばなかったためとも考えられます。徹頭徹尾、人工知能同士で学習を繰り返したことが、より短期間で囲碁の実力をつけることにつながったのです。

「アルファ碁ゼロ」は、学習の際に「アルファ碁」と違って人間の棋譜という膨大なデータを必要としません。囲碁のルールという単純な原理を学習させるだけで、3日間で地球上最も勝てる棋士となってしまう。人工知能の技術は現在においてもここまで進んでいるのです。

従来の機械学習とは一線を画するディープラーニング

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次に、これまでの人工知能の学習方法である機械学習と、最新の人工知能の学習方法であるディープラーニング(深層学習)について可能な限り簡単に紹介します。

従来、人工知能は機械学習により物事から規則性を見つけ出していました。機械学習とは、人工知能が収集したデータについて、「規則性を見つけるためにどこに着目すべきか」といったアルゴリズム(算法)を人間が設定することで、人工知能がデータから規則性やルールを見つけ出すことができるというものでした。つまり、人間が設定するアルゴリズムがなければ、人工知能は規則性やルールを見つけ出すことが上手くできなかったのです。

しかし、ディープラーニングにおいては、人工知能はデータさえあれば、それらのデータのどこに注目すべきかといったアルゴリズムも自分自身で生み出すことができます。つまり、人間がアルゴリズムの設定という手助けをしなくても、人工知能はあたかも人間のように一定量のデータから規則性やルールを導き出すことができるようになったのです。これこそが人工知能の大きな進歩であり、ある面において人工知能が人間の手を離れた瞬間でもあります。

シンギュラリティは起こるのか

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人工知能分野における技術革新が注目を集めるに従い、シンギュラリティという言葉も注目を集めるようになりました。
シンギュラリティとは、人工知能が人間の知能を超えることで、これまで人類が築き上げてきた文明社会の発達速度からは考えられないほどの速度で文明が進化・変化するというもの。提唱者であるレイ・カールワイツ氏によると、シンギュラリティは2045年に起こるとされています。そして、シンギュラリティの結果、文明がどのような形に変化するかは誰にも想像ができないともされています。ちなみに、シンギュラリティについては、そもそも実現されないといった意見もあれば、実現はされるだろうが人間の脅威となるおそれがあるために実現すべきでないといった意見もあります。
シンギュラリティが実際に起こるか否かは置いておくとしても、現代において、人工知能は今まさに私たち人間から完全に一人立ちしようとしているのかもしれません。

加速度的に成長する人工知能

このように「アルファ碁ゼロ」をはじめとして、人工知能分野での技術は加速度的に成長しています。学術において、人工知能という分野が創設されたのは1956年のことですが、ここ数年の技術革新(イノベーション)は明らかに今までと異なるスピードで進んでいます。
今後、人間は自分たちよりも高度な知能を持つ人工知能と共存していく道を探らなければならないのかもしれません。発達した人工知能が私たちにどのような未来を見せてくれるのか、今から非常に楽しみです。


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