高齢化社会で問題のヒートショックを防ぐ方法

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ヒートショックという言葉をご存知でしょうか。人間の身体は、温度が高い空間から低い空間に移動すると血圧が急激に上昇し、逆に温度が低い空間から高い空間に移動すると血圧が急激に低下します。そのような一気に上下する温度変化に対して身体の機能が適応できず、最悪の場合死に至ってしまう現象をヒートショックと言います。

ヒートショックが原因と見られる浴室での溺死者数は、国の統計データ(2015年)によると4804人で交通事故の死亡者数4117人よりも多いのです。また、高齢者は血圧変化を起こしやすく体温調節機能も低下しがちで、浴室事故死亡者数の90%以上が65歳以上の高齢者となっています。

ヒートショックが起きやすい場所とは?

家の中でもヒートショックが最も多く起こりやすい場所が浴室と言われています。入浴中の事故は冬の時期に集中していて、12〜2月にかけての死亡者数が1年間に起きる入浴事故の死亡者数全体の約5割を占めています。

寒暖差が原因で亡くなるヒートショックは、北海道のように最も寒い地域で起きていそうなイメージがありますが、それは間違いです。北海道に住む人々は、寒さが命を脅かす存在であることを十分理解しているので、防寒対策が文化として存在し、家の中の温度が全国で一番高いという結果も出ています。北海道の家では普段過ごす部屋だけでなく、トイレや脱衣所も暖められていることが多いので、元々ヒートショックの起きにくい環境が整っています。

ヒートショックは寒い時期に最も起きやすいのですが、必ずしも北海道のように寒い地域で起きる訳ではありません。では、どうしたらヒートショックを防ぐことができるのかを紹介していきましょう。

主なヒートショック対策〔浴室編〕

ヒートショック
・脱衣所を暖める
普段過ごす暖かい部屋と脱衣所の温度差は5℃以内が望ましいとされています。脱衣所は長く過ごす場所ではないので、温度が低くなりがちです。その冷えきった空間で着替えて高温のシャワーやお風呂に浸かってしまうと、血圧が急上昇してしまうことになるので、脱衣所を暖めることが最も有効な方法のひとつとされています。ですから脱衣所には必ず暖房器具を設置し、前もって暖めましょう。ただ、その際は洋服などに引火して火事にならないよう、十分注意してください。

・浴室を暖める
浴室は家の中でお風呂に入る時だけ利用するため、使わない時は湿気を取り除く目的で窓を開けっ放しにしたり換気扇を回したままにする家庭が多く、自ずと温度が低い空間になりがちです。最近の浴室には暖房機能が搭載されたものも多いため、お風呂に入る時に暖めることが可能ですが、設置されていないお風呂に関しては注意が必要です。
そのような浴室に関しては、お風呂を沸かした後はなるべくふたを開けておき、あらかじめ浴室を暖めておく、浴室に入る前にお湯のシャワーを出してお風呂場の床と内壁に掛けるなど、空間全体を暖めて浴室内の温度を上げることは有効な対策になります。

・床材は熱が伝わりにくい素材を用いる
浴室の床が磁器質タイルなどの場合、とても冷え切っていることが多いので、素足で触れてしまうと一瞬にして血圧の上昇などをもたらしてしまいます。できれば浴室の床には木製のスノコを敷くなど、足裏に冷たさを感じさせない工夫をする必要があります。

・手足から掛け湯をして徐々に浸かる
脱衣所で着替える際、寒さから逃れるためにお湯の張ってある湯船に飛び込むように入ったり、熱いシャワーを全身に浴びる方も多いと思います。しかし、寒い状態から急に暖かい状態になると身体に強い負担を掛けてしまいます。それを防ぐ手段として、少しずつ体温を上げていくために、まずは足の先や手の先をお湯につけ、徐々に身体の、内臓がある部分にお湯を掛けていくようにしましょう。それだけでも十分に血圧の急激な上昇を防ぐことができます。

・お風呂のお湯はぬるめにする
部屋や脱衣所とお風呂の温度差が10℃以上になるとヒートショックの危険性が大幅に上がると言われています。リスクを避けるために湯船に張るお湯の温度は41℃以下に設定するようにしましょう。

・急に浴槽から立ち上がらない
入浴中はお湯で身体に水圧が掛かっていますが、その状態から急に立ち上がると身体への水圧がなくなり、血管が拡張するため、それが原因で脳にいく血液が少なくなって貧血を起こしたり、血圧が急変動したりする場合もあります。そのまま意識を失い、浴槽内に倒れて溺れてしまうこともあるので、浴槽から出る際は近くにある手摺などを使ってゆっくりと立ち上がりましょう。

・夕食前や日没前の入浴を心掛ける
日没後に比べて日没前はまだ外の温度が高いので、その分危険性が低下します。温度差が小さければ小さいほどヒートショックのリスクも減りますので、気温の下がらない日没前に入浴することを心掛けてみるのも有効な方法のひとつです。

浴室だけではない! 家中に潜むヒートショックの危険性

ヒートショック
これまでは入浴する際に起こるヒートショックの対策について紹介してきましたが、ヒートショックが起きるのは浴室だけではありません。ここでは、浴室以外の家の中に潜む、ヒートショックが起きやすい場所での対策を紹介します。

・部屋の中の空気を循環させる
暖かい空気は軽く冷たい空気は重いため、冷気が下に滞留してしまいます。そのため寝転んでいる状態から急に起き上がった時に温度差を感じることがあると思います。部屋にいる時は、単に暖めるだけでなく、空気が滞留しないよう循環させる必要があります。天井にシーリングファンを設置することで、効率良く室内の空気を滞留させましょう。

・トイレにも暖房器具を設ける
浴室と同様にヒートショックが起きる可能性が高いのがトイレと言われています。トイレも常に人がいるわけではないので冷え切っていることが多く、場合によっては少し長い時間使用することもありますので、トイレにも即効性のある暖房器具を設けましょう。ただし、常にトイレを暖めると嫌な臭気を増すことになるので、注意してください。

・和式トイレはなるべく避ける
和式トイレはしゃがむ姿勢になるので、しゃがむだけでも血圧の数値が25程度上がるとも言われています。最近ではあまり見掛けませんが、古い住宅では使用されていることがあり、特に高齢者の方には身体への負担が大きいので、洋式トイレにリフォームするなど配慮するようにしましょう。

以上がヒートショックに対する主な対策になります。また、日本気象協会がインターネットでヒートショック予報というものを掲載しています。日本全国でヒートショックの危険性はどの程度なのか、ヒートショック対策としてどのような方法があるのかなど詳細に掲載されていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

高齢化社会が進む日本でヒートショック対策のために必要なこと

・北海道民に学ぶ
外の気温が低くてもヒートショックで亡くなる人が少ないという北海道民からヒートショックが起きにくい家づくりのヒントを学べそうです。北海道の人々は防寒対策についてどのように考えているのかを見ていきましょう。

北海道では冬の時期、大雪が降るので外に出掛けることが非常に大変です。また、本格的な寒さは風邪を引くだけでなく命を落とす可能性もあります。その危機感から、北海道民には、寒い時は下手に節約するのではなく部屋を暖めることにお金を惜しまず使い、危険性をできる限り少なくするようにしたほうが良いという考えの人たちが多いのです。
東京に住む人にとっては冬は死ぬほど寒くはなく、また、大雪も滅多に降らないので、命を脅かすほどとは考えにくいことから、防寒対策については甘く考えがちです。まずはそういった考え方の根本から変えていく必要がありそうです。

・北海道民が行っている開口部対策
北海道では断熱対策としてガラス窓を複層ガラスにする、窓を二重窓にするという家が多くみられます。複層ガラスとは、二枚ガラスになっていて、そのガラスの間に空気層が設けられている窓で、断熱効果がとても高いのが特徴です。また、二重窓は既に設置されている窓の内側にもうひとつ窓を取り付けることにより、既存の窓との間に生まれる空気層が熱の伝わりを遮るので、断熱効果が上がります。追加工事だけなので取り付けも簡単で1〜2時間程度で完了するため、気軽に設置することが可能です。
開口部は外気を遮るものがガラスしかなく、熱が伝導しやすい熱橋(ヒートブリッジ)になって家の温度を大きく奪っていく部分になりやすいので、まずは窓から断熱対策をしてみるのはいかがでしょうか。

ヒートショックは予防策さえ知っておけば発生を抑えることができます。だからこそ、まずはヒートショックについて知ることが、ヒートショックを原因とする死亡者を大幅に減らすことにもつながります。みんなで知識を広めてヒートショックをなくしていきましょう。


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