【前編】世界一の福祉先進都市を目指す東京都の高齢者に対する取り組みとは『高齢者の現況と課題、それに向けた施策について〜東京都福祉保健局〜』

ケア

関連キーワード
東京都福祉保健局
日本では現在の人口のボリュームゾーンである団塊世代が75歳以上の後期高齢者に差し掛かる2025年問題に向けて様々な施策が講じられています。
少子高齢化とともに人口減少社会とも言われ、日本の総人口がすでに減少に転じている中、首都東京ではどのような取り組みを実施しているのか、東京都福祉保健局の高齢社会対策部計画課長の坂田早苗氏に伺います。

独居高齢者が多く、65歳以上人口が10年間で31.7万人増加と全国1位の東京都

Q:東京都の高齢者を取り巻く状況について教えてください。

A:東京都では、高齢者人口の実数も割合もまだ増え続けているところで、人口減少が始まるのも他地域よりは遅く、2025年辺りからではないかと推測されています。また、一人暮らしの高齢者が全国平均に比べ多い特徴があります。

また、施策を進める上で後期高齢者と前期高齢者(65〜74歳)という区分が重要です。東京都でも後期高齢者の割合が年々上昇しており、2020年には後期高齢者が前期高齢者人口を上回る予測です。介護保険サービスを受けるための要介護認定率も、後期高齢者では前期高齢者の7倍となっているように、加齢とともに介護ニーズが高まりますから、その整備がますます重要になっていきます。

65歳以上の高齢者人口推計で見ても、2015年からの10年間で東京都では31.7万人増加で全国1位であり、増加率は10.5%と全国11位のスピードです。要介護・要支援認定者数も増え続けており、要介護認定率も上昇傾向にありますから、より一層の介護予防の取り組みや自立支援、重度化防止策といったものが必要です。

認知症高齢者も東京都では増加が続いており、2016年の41万人から2025年には56万人と1.4倍になると見込まれています。この推計のもとになっているのは5歳刻みの性別・年代ごとの認知症出現率というものですが、統計的に言えば80代で発症率が非常に高くなるので、ある意味長生きするとともに認知症リスクが増すというわけです。また、認知症高齢者の内、見守りや支援が必要な方の人数・割合で見ても同様の増加傾向ですから、これに対する施策も考えていかなければなりません。

住まいについては、介護が必要にならないうちは、「現在の住宅に住み続けたい」という方が全体の4分の3を占め、介護が必要となってからも半数がそのように希望しています。介護施設への入居のニーズももちろんありますけれど、やはり住み慣れたわが家、環境での余生を皆さん望んでいるのですね。

3年ごとの計画策定で、ニーズに合った介護サービス体制を

東京都福祉保健局
Q:こうした状況に対し、東京都ではどのような活動を実施しているのですか。

A:「世界一の福祉先進都市・東京の実現に向けて」ということで、団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据えて、東京の地域包括ケアシステムの構築を目指しています。
この「地域包括ケアシステム」というものを都民の皆さんにぜひ自分ごととして知っていただきたいのですが、住まいと介護、医療、そして介護予防、生活支援という5つの分野を一体的に、それぞれの地域で支援していける体制です。医療・介護という専門分野の方々によるものだけでなく、介護予防の一部や生活支援については地域住民やボランティア団体、町会、自治体の皆さんが実際に関わって進められることが大切なのです。地域によって社会資源が異なるので、それぞれキーパーソンも変わってくるでしょうが、この5つの分野を包括的にというのはどの地域でも共通することです。東京都はこの5つの分野、あるいは分野ごとに連携させながらの施策を考え、推し進めています。

具体的には、3年ごとに「東京都高齢者保健福祉計画」を策定していて、2018年度から2020年度までの第7期についての議論を現在は進めているところです。この計画のベースとなっているのは「老人福祉計画」と「介護保険事業支援計画」ですが、後者は介護保険の各事業でどれだけのサービス量が見込まれるのかというもので、このサービス量によって決まるものの例が介護保険料です。40歳から64歳までの方には一定額を収めていただいていますが、65歳以上ではその額が自治体によって異なっていて、このサービス量の見込みをもとに決められているんですね。

実際、必要なサービス量の増加に伴ってこの保険料も増え続けており、東京都平均では、2000年に介護保険が始まった当初には3000円台でしたが、現在は5000円台、2025年には8000円を超えるようになるのではと言われています。こうした時代の変化があるので、3年ごとの策定が必要なんですね。

在宅療養や認知症対策など、医療・介護含めた地域連携を東京都でも支援

東京都福祉保健局
Q:「東京都高齢者保健福祉計画」の中身を教えてください。

A:第6期の重点分野として「介護サービス基盤の整備」「在宅療養の推進」「認知症対策の総合的な推進」「介護人材対策の推進」「高齢者の住まいの確保」「介護予防の推進と支え合う地域づくり」の6つがあります。ひとつずつ説明していきましょう。

まず、サービス項目ごとに必要量の見込みを立てる介護サービス基盤ですが、それぞれの項目の現状把握から2025年度末までの整備目標値を設定しています。特別養護老人ホームでは6万人分、在宅復帰を目指す介護老人保健施設は3万人分、各々の区市町村にお住まいの方に向けた地域密着型サービスである認知症高齢者グループホームは2万人分などですね。

2つ目の在宅療養では、医療と介護の連携推進や訪問看護の提供が重要な要素です。最期の時期を自宅で過ごしたいという希望に応えるには、在宅医療の推進が重要なポイントです。介護職を含めた多職種連携もこの中で進めており、定例のミーティングを持つなどして顔の見える関係を地域の中で深めていただいています。

3つ目の認知症対策では、国の制度で「認知症疾患医療センター」という地域の医療連携の要であり住民の方からの相談を受けられる場所が、二次医療圏ごとに指定されています。これを東京都ではさらに細かく、区市町村ごとに1ヵ所ずつ指定して、取り組みの中心となってもらっています。一部の村と島以外では指定ができており、地域住民やかかりつけ医の方々とも連携できるようになっています。医療だけでなく、介護関係の方もかかわっていますね。

認知症に関する正しい知識と理解を持って、地域や職場で認知症の方やその家族を手助けする「認知症サポーター」の育成も重要です。
その活動を地域の見守り施策と連動させていくためにも、区市町村の取り組みを東京都として支援しています。認知症の方や家族、地域住民、専門職が集う「認知症カフェ」の取り組みも区市町村ごとに進んでいますが、医療機関が関わるものについては東京都の補助金制度もあります。医師や看護師がその輪に加わることで、主治医とはまた違った視点でのアドバイスなども得られるのではないでしょうか。

(プロフィール)
東京都福祉保健局
高齢社会対策部
計画課長
坂田早苗

1988年東京都庁に入庁。2014年から高齢者福祉を担当。2017年8月より現職。

東京都高齢者保健福祉計画
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/shisaku/koureisyakeikaku/index.html

その他のおすすめ記事

その他のケアの記事

キーワード一覧

 ページトップ