【後編】「攻めのIT経営銘柄2017」選定はこれからの社会をどう変えるのか『「攻めのIT経営銘柄」が社会に与える影響とは〜経済産業省』

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攻めのIT経営銘柄
前編では、「攻めのIT経営銘柄」が作られた経緯や目的などを伺いました。
後編では、レオパレス21が「攻めのIT経営銘柄2017」に選ばれた理由、さらに現在の社会に与える影響、今後のビジョンとしてどういう構想があるのかなどを引き続き経済産業省商務情報政策局 情報技術利用促進課(ITイノベーション課)課長補佐の柴田和也氏に伺います。

選定される業種が広がり、認知度も向上

Q:選定された企業の選定後の反響はいかがでしょうか。

A:最も顕著なのは、選定する業種が広がっているということです。この銘柄に選定された後に株価が上昇するなど、確実な成果が出ている影響で、応募する企業が増えており、業種も広がっています。1業種で多くても2社しか選べないので、業種内の競争率が高まり、それに伴って他社との競争意識も高まっています。

昨年選ばれたのに今年は選ばれないということも起こってくるわけで、そうなると企業の担当者も経営層に申し開きできないという事態も起きているようです。ただ、業種を広げたとしても、1業種1〜2社選定という枠は厳守していきます。そうでないと価値が薄まってしまうので、現段階では今のやり方がベストだと思います。

レオパレス21も2017年に東証上場企業(一部、二部、マザーズ、ジャスダック)約3500社の中から選定した「攻めのIT経営銘柄2017」31社のうちの1社に選ばれていますが、改めて内容を拝見すると、素晴らしい取組をなさっていると思います。バックオフィスだけではなく顧客へのサービスまで積極的にITが利活用されており、契約書のIT化、入居者の方へのIoT利用など、まさに「攻めのIT経営」と言えるなど、この業界の先駆者的存在なのではないでしょうか。

Q:ところで「IT経営注目企業」を新たに加えた理由と、銘柄も含めたこれらの選定基準はどういうものでしょうか。

A:こちらは、総合的に見ると次点ではありますが、取り組みには注目すべき点があるといった企業を選んでいます。

「攻めのIT経営銘柄」の選定に際しては、まず一次審査で企業の体制やセキュリティなど、基礎的な部分を採点します。さらに二次審査でどういった取り組みをしているか、その内容を審査していきます。その際に、例えば、基礎的なことはもう一歩ですが、それを度外視しても取り組みの内容が経営の効率化や製品・サービスの向上に寄与しているなどの場合、注目企業の選定基準に合致します。実は、上場企業の中でも一部・二部上場企業よりもマザーズやジャスダック企業の方が先鋭的な取り組みをしていることがあるので、この要件に該当するケースも多くなります。こうした企業も取り込みたいというのもあり、「IT経営注目企業」を選定しています。
こちらの選定に関しても「攻めのIT経営」委員会の有識者の方々が、審議・検討に当たっています。

社会への影響は、企業のみに留まらず広がっていく

攻めのIT経営銘柄
Q:改めて「攻めのIT経営銘柄」が社会に与える影響について伺えますか。

A:直接的な影響としては先に述べたように、株価の上昇による企業価値の向上が挙げられます。投資家に向けて、投資を呼び込む説得材料になりますし、まさに「選ばれる企業」として認知されます。

現在は東証上場企業のみの選定ですが、徐々に「攻めのIT経営銘柄」の認知度が上がってきていますので、「こういうことで企業の付加価値が高まるのか」というようなITの利活用が各産業、各企業の経営層の気づきのきっかけにもなっています。

今はまだ「攻めのIT経営銘柄」は投資家と企業経営層に向けたものという面が大半ですが、一般の方々にも日本経済新聞で概要や企業の取り組みの内容を紹介するなど、少しずつインフォメーションも進めています。
いずれ上場企業だけでなく、この取り組みが中小企業にも浸透していき、ITイノベーションの源泉となって、社会的課題の解決につながっていくことを期待しています。

Q:そうなるために何か問題となる点はありますか。

A:問題点としては、上場している企業でも、20〜30年も前の古い基幹システムを使い続けているところがまだあります。そういう企業は古いシステムが足枷になってしまい、新しいITの導入及び利活用がしにくくなっているケースがあります。今後は、それをできるだけ早く新しいシステムに刷新していく後押しも、「攻めのIT経営」を推進すると同時にしていかなくてはいけないと思います。

「攻めのIT経営」は、企業の発展と社会生活の向上につながる

攻めのIT経営銘柄
Q:今後の展開、構想についてはどのようにお考えでしょうか。

A:これからは、日本の強みを活かしたIT経営が必要です。欧米の効率重視の方法とは違った、丁寧なものづくり、きめ細やかな顧客対応など、これまで培ってきた日本独自のやり方があります。これらにIT投資を積極的に進めていくべきでしょう。

例えば、現在介護施設などの現場では入居者の方のベッドにセンサーをつけて、起床や寝返り、脈拍など日常生活の行動や身体状況をそのセンサーが察知し、そうしたデータをスマートフォンで見守るなどの使い方が実用化されています。これなど、日本らしいITの利活用事例です。

また、今後、地場産業や伝統産業の後継者問題もIT化することで解決できる可能性を持っています。具体的には、すぐに後を継ぐ人がいない場合でも、熟練者の手の動きなどの技術をデータ化することで、技術伝承がしやすくなります。IoTも日本的文化と融合することにより、さらに生活に密着したものになるでしょう。

これから「攻めのIT経営銘柄」選定もさらに業種が広がり、中小企業から地場産業まで広がっていけば、投資家だけでなく一般の方々にも恩恵のあるものになっていくと思われます。

Q:「攻めのIT経営」は、これから社会をどう変えていくのでしょうか。

A:今後、「攻めのIT経営」が浸透していくことで、企業の経営層の意識改革を図り、欧米に勝てる競争力をさらに高めていけると考えます。
また、一般社会においては、人々の暮らしそのものに定着かつ浸透し、ITの利活用の幅と奥行きのさらなる広がりにつながると期待しています。

経済産業省
商務情報政策局 情報技術利用促進課(ITイノベーション課)
課長補佐
柴田和也
2010年経済産業省入省、資源エネルギー庁、中小企業庁等の部署を経て、2017年現職に着任。 現在、これから産まれる第一子に備え、「イクメン」準備中。

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