少子高齢化における育児と介護。晩婚化で直面する「ダブルケア」の問題

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世界の先進国の中でも特に日本で少子高齢化が進んでいます。少子高齢化とは、少子化と高齢化が同時進行する状況のことを言います。少子高齢化によって生じる問題としては、生産年齢の減少による国力の低下や、高齢者の増加による社会保険料の負担増などがあります。
そして、今問題になっているのが、晩婚化と出産年齢の上昇によって、育児と親の介護を同時期に担う「ダブルケア」です。「ダブルケア」を行っている人は国内で現在25万人にも達しています(内閣府推計)。
介護や育児の負担のみならず、特に女性は就業への影響が大きいという現状があります。
「ダブルケア」を担う女性に求められている支援策とはどんなことでしょうか。

晩婚化と出生年齢の上昇

我が国の平均初婚年齢は、年々上昇傾向にあります。
2013年の調べでは、夫が30.9歳(対前年比0.1歳上昇)、妻が29.3歳(対前年比0.1歳上昇)と晩婚化は顕著に進行しています(平成27年版少子化社会対策白書)。1980年時には、夫が27.8歳、妻が25.2歳でしたので、比較してみると、夫は3.1歳、妻は4.1歳と初婚年齢が上昇しています。このように、「晩婚化」が進行すると、出生年齢も上昇傾向にあり、同じく2013年の調べでは、第1子を出産した母親の年齢は30.4歳となっています。母親が30歳を過ぎてから育児をすることになるわけです。

晩婚化が進行するのはなぜ?

晩婚化が進む理由のひとつは、我が国の特徴である「終身雇用制度」が崩れたことではないでしょうか。
現在の日本は、ひとつの会社に就職すれば一生安泰と言う社会ではなくなりつつあります。いつリストラに遭うか分からず、給料が上がるかどうかも分からない、そのような状況で結婚して家庭を守れるのか、そんな不安もあるでしょう。それに、「女性の地位向上や自立」も要因と考えられます。経済的に自立していれば結婚を急ぐ必要がないと考える女性も増加傾向にあるようです。
これらの理由が全てではないにしろ、晩婚化が進行している大きな要因ではないでしょうか。

少子化、晩婚化で直面する「ダブルケア」

晩婚化が進むと出産年齢も上昇し、その分夫婦の両親も年齢を重ねていくことになります。
つまり、育児のタイミングで両親の介護問題に直面する可能性が高くなっていきます。晩婚化による育児と介護の同時進行、いわゆる「ダブルケア」の問題がここに生じるのです。少子化のため兄弟がいなかったり少なかったりする場合が多く、介護の担い手が不足している状況も「ダブルケア」の問題が生じる一因となっています。
かつてはあまり問題にされなかった「ダブルケア」が今、大きな社会問題となりつつあります。

「ダブルケア」による女性の離職

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内閣府の調査(育児と介護のダブルケアの実態に関する調査)では、「ダブルケア」の主な担い手は、女性が約5割、男性が約3割となっています。
また、「ダブルケア」をしている人の周囲から手助けを得られていない割合が、男性が2.9%であるのに対して、女性は11.9%と高くなっています。つまり女性が「ダブルケア」の担い手になる傾向があり、しかも手助けも受けにくいということが分かります。
そして、仕事面では、「業務量や労働時間を減らした」人は、男性では約2割ほど、女性では約4割と、女性が男性のおよそ倍の割合となっています。離職率も男性は2.6%ですが、女性は17.5%にも上るのです。
このことから、女性が「ダブルケア」のために離職に追い込まれるケースが目立つようです。

「ダブルケア」と女性の仕事

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晩婚化・少子高齢化・高齢出産などに伴い、育児と介護を同時に行わなければならない「ダブルケア」は今後ますます深刻化することが予想されます。特にその担い手の多くが女性であり、そのような状況に直面する女性にとっては、より身近で深刻な問題となっているのです。また、女性たちの年代は30〜40代であり、子どもの教育費・自宅のローンなど、出費も増えてきます。経済面からも仕事を続けなくてはならない年代と言えるでしょう。

育児には保育園の充実、介護には介護施設の整備といった行政支援は無論のこと、「企業の働き方改革」への取り組みもさらに必要性を増してくるでしょう。まず、「ダブルケア」への理解と協力が広がることが第一のポイントです。そして、働き方の多様化も求められます。育児・介護・仕事の3つを並立してできる環境づくりは、社員の定着、ひいては企業の発展にもつながるのではないでしょうか。
「ダブルケア」対策として、企業が推進すべきことには次のことが考えられます。

・時短勤務やフレックス制度
改正育児・介護休業法という法律により、全ての会社において、3歳未満の子を養育する従業員が希望した場合、短時間勤務制度と所定外時間労働の制限を適用する必要があります。労働時間は原則6時間と規定され、時短分の報酬は削られますので手取りは減ることになりますが、時短勤務を活用すれば、育児・介護と仕事の両立がしやすくなります。女性従業員は子どもを産んだ後も会社を辞めなくても済むことにもつながります。時短することによって、他の人に本人の仕事が回ってしまい、業務が進まなくなったりしないように、企業としても「ダブルケア」に理解を示し、支援するような体制づくりも必要になるでしょう。
また、出退勤時間をずらすフレックス制度の活用も、育児と介護の「ダブルケア」には効果があるものと思われます。

・育児休暇制度、介護休暇制度
労働者が安心して育児と介護ができるように、ある一定の期間、休みが取れる制度があります。これは法律で定められているので、労働者が求めれば事業主は断ることができません。とは言いながらも、なかなか取得しづらいのが現状のようです。育児や介護は誰の身にも起こることと捉えて、社会全体で認められるような体制づくりが必要でしょう。

・在宅勤務、テレワークの導入
現在はネットなどの活用によって、在宅で行える仕事も増えています。毎日の通勤に掛かる時間を育児と介護に充てられるメリットもあり、仕事をしながらの育児と介護も可能になります。育児と介護のために会社を辞めなくても済むようにもなるでしょう。色々なメリットが考えられる在宅勤務やテレワークの導入も企業はこれから大いに考えていく必要があります。

・企業内保育所の整備
大企業では少しずつ進んでいる企業内保育所の整備ですが、中小企業では資金面などの理由でなかなか難しいのが現状です。これには、例えば、同業者同士や同じビルに入っている企業同士が共同で設立するなどの方法も考えられます。

制度を整えたり企業内保育所などの設備をつくったりしても、それだけでは「ダブルケア」が理解され、認知が徹底されることは難しいでしょう。まずは、企業が職場環境を整備し、「ダブルケア」を周知徹底することが必要です。そのためには、会社全体で研修会を開くなどの努力が欠かせません。さらなる超高齢化時代を見据え、女性が働きやすい環境づくりが急務といえるでしょう。

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