【後編】世界一の福祉先進都市を目指す東京都の高齢者に対する取り組みとは『ロボット介護機器・福祉用具の活用支援について〜東京都福祉保健局〜』

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高齢者の数が急激に増えており、独居も多い東京都における課題やそれに向けた在宅療養・認知症対策などの施策について、前編で伺いました。
後編ではそれ以外の施策、特に介護人材の介護負担軽減を目指しての介護ロボットに関する施策について、引き続き東京都福祉保健局の高齢社会対策部計画課長の坂田早苗氏に伺います。

「人と話すこと」を含めた生活支援などで、高齢者の健康な暮らしをバックアップ

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Q:「東京都高齢者保健福祉計画(平成27年度〜平成29年度)」の中身について、引き続き教えてください。

A:6つある重点分野の4つ目、介護人材対策はメディアでも報じられているとおり、日本全体の社会問題です。労働人口の多い東京都においてもやはり大きな問題で、人材確保・定着・育成の支援が望まれています。介護職員の宿舎借り上げ制度やキャリアアップ施策の整備を進めています。

5つ目の高齢者の住まい確保は、都市整備局とも協力して取り組んでいます。いわゆる介護施設とは別に、サービス付き高齢者向け住宅というものがありますが、ここで言うサービスとは見守りや安否確認といったものです。介護保険サービスまで備わっている高齢者向け住宅もありますが、介護保険サービスを利用する場合には基本的に外部からということになります。

これに関して東京都として、高齢者向け住宅の運営事業者が入居者に対して自社の介護保険サービスを強制する、囲い込みの禁止を指導しています。提供すること自体は問題ないのですが、その利用は入居する方の自由な選択によるべきです。例えば近くの高齢者向け住宅に入居したとして、もともと自宅で利用してきた介護保険サービスをそのまま使い続けられるようにしてもらいます。結果的に、高齢者向け住宅の事業者が運営する介護保険サービスを選択しても構いませんが、運営事業者には入居要件ではなく選べるということをきちんと入居の際に入居者に説明するよう、東京都では指針も用意しております。

最後6つ目の介護予防については、歳を重ねても健康に生活していくため、これからますます重要視されていくものです。実際、週1〜2回で良いので2時間程度ちょっとした運動をすることで、70歳80歳であっても筋肉を減らさず、増量させることも可能だと言われています。これについては効果が見込める体操の方法などの普及に努めるとともに、皆さんが自らやりたくなるような仕掛けづくりも重要と考えています。そこで「いきいき百歳体操」でゆっくりとしか歩けなかった方が颯爽と変化したという高知市での成功事例などを写真や映像のビジュアルでご覧いただくことで、自分でもやりたいと思い、継続してもらえるような取り組みを行っています。

継続するには自宅から歩いて近くの場所で行うことも大切ですから、区市町村のそうした取り組みを東京都としても黒子的に支援しています。行政が全てを行うのではなく、住民が主体となって進めていくことが必要ですので、ノウハウや資料の提供を行ったり、定期的に理学療法士などリハビリの専門職の方にも関わってもらえるようにするなどの支援を行っているのです。

また、高齢者のみの世帯が増えているということで、家具の移動や電球の付け替えといったちょっとしたお手伝いについても、介護保険サービスというより住民の方々の互助やボランティアで行ってもらえるよう、「生活支援サービス」として支え合う地域づくりも支援しています。実は介護予防には運動だけでなく、「人と話すこと」が重要になります。家に閉じこもらずに外に出て、人と会ったり身体を動かしたり、社会参加や趣味を楽しむことが健康につながるのです。そうした活動ができるような地域をつくっていくのが、この分野の取り組みですね。

介護現場で効果的に導入できるよう、ロボット介護機器の検証や適切な使用方法を支援

Q:2018年からの3年間、第7期の計画ではどのような内容になりそうですか。

A:6つの重点分野が引き続きベースとなりますが、区市町村でも東京都でも特に課題としているのが、介護人材の確保・定着・育成についてです。様々な新規事業を検討し、バージョンアップしていこうとしています。

そして、介護人材の負担軽減に役立つであろうロボット介護機器の活用支援にも注力しています。もともとは2016年の「福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議」という会議中でロボット介護機器の話が出ていました。介護現場で腰痛問題が深刻化しており介護負担の軽減が喫緊の課題だというのと、介護業界の慢性な人手不足で利用者への支援が画一的になりがちだという指摘もあり、ロボット介護機器や福祉用具の活用が検討されたのですが、この時点ではロボット介護機器自体がまだ未成熟で、導入している事業者も多くはありませんでした。どんなものを導入すれば現場で役立つのか分からないという声もあり、何をどう用いれば適切な効果が見込めるのかを検証するために、東京都ではまずモデル事業として2ヵ所の施設で課題に即したロボット介護機器・福祉用具を導入してもらって、定期的にモニタリングしています。

特別養護老人ホームではベッドや居室での見守り、移乗介助のための装着型機器、介護老人保健施設では移乗介助機器やコミュニケーションロボットなどを導入し、検証しています。

また、これらの機器を適切に使って効果を出してもらえるよう、国の「介護ロボット導入支援特別事業」により機器を導入した事業所に対して、2017年度には専門家にアドバイザーとして訪問、助言してもらう事業を東京都で行い、事例の収集に努めています。

導入事例の広報や直接見学・情報収集できる場の提供を

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Q:検証の結果はいかがですか。

A:ロボット介護機器と言うと一般には腰痛予防のための装着型の移乗介助機器やコミュニケーションロボットがすぐに思い浮かぶかもしれませんが、介護現場での導入効果がとりわけ高く評価されているのはベッドや居室でのセンサー機能による見守り系の機器ですね。夜勤をしていても居室ごとの状況が一元的に把握しやすく、職員の方の負担軽減にたいへん役立っています。ベッドから落ちてしまうといった状況などにも気づきやすいので事故防止につながります。

介護の現場ずっと同じ動きを続ける工場などとは異なるため、装着型の移乗介助機器の場合、導入検討の時点でどのように使うイメージなのかを自分たちでよく考えておくのがよいのではないでしょうか。期待も大きいでしょうから、明確なイメージを持って導入することが大切です。

そういったことのためにも、今後はモデル事業の2ヵ所の施設の成果を広く周知させていこうとパンフレットを作成したり、実際に公開見学会を企画したりしています。ほかの事業者の方々に直接見てもらって、良いところだけでなく苦労の部分なども含めて参考にしていただければと考えています。

今後も行政ならではの立場で、介護現場を支援できるような様々な取り組みを考えていきたいですね。

(プロフィール)
東京都福祉保健局
高齢社会対策部
計画課長
坂田早苗

1988年東京都庁に入庁。2014年から高齢者福祉を担当。2017年8月より現職。

東京都高齢者保健福祉計画
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/shisaku/koureisyakeikaku/index.html

ロボット介護機器・福祉用具活用支援モデル事業
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/shisaku/robot/index.html

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