AI機能が搭載されたOffice365が実現できる働き方改革とは

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世界のPC業界を牽引してきたマイクロソフト社が約30年前から世に出していたWord、Excel、PowerPointなどのOffice製品。元々は一人ひとり個人の仕事の能率を向上させるために開発され普及していったものです。しかし近年、労働者個人個人の作業が効率良く回っているだけでは、企業全体・地域全体・社会全体の「働き方改革」にはつながらないと考えられるようになってきました。

そこで現在のOffice製品をクラウド化することで、統合型情報共有クラウドサービスであるOffice365が開発されました。働き方改革に大きな影響を与えるとされているこの製品について紹介していきたいと思います。

他人と協力してひとつのファイルを編集

Office365には3つのコンセプトがあります。

ひとつ目は「コラボレーション」です。個人が発想したり制作できることにはどうしても限界があります。すると人は「他人と協力をする」ということを行います。もちろん実際にあって相談したり会議を開いたりすることもあるでしょう。しかし、スピードが必要とされる現代において常に顔を突き合わせて話し合うことは難しくなってきています。そのため、ICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)を利用することが多くなっているのです。

Office365のクラウド上には個人が行っている作業の進捗度や予定表、会話のやりとりの記録、意見や報告などが記録されています。そこでOffice365のツール「Office Delve」が効果を発揮します。Office 365のストレージ機能である「OneDrive for Business」で先にドキュメントの編集を行っておくことで、誰がどういったものを編集しているのか、また、その仕事を誰と行っているのかという内容が「Office Delve」に蓄積されます。そして、この蓄積された内容をもとにして「誰とコラボレーションすれば良いか」を推奨してくれるのです。個人よりもプロジェクトチームや他の部門が関係していたり、さらには他の会社や他の業界の人の意見や発想を取り入れたほうが斬新なアイデアが出ることが多いとされているために「的確な意見を出してくれる人」とコラボレーションできることは大きなメリットとなるのです。

コラボレーションをさらに活発にしていくためのツールに、「Microsoft Teams」があります。これは、作成したチーム内で働いている人たちがツール、コンテンツ、データを共有できるだけでなく、チャットや音声、映像を含めた形で「会話」ができることを主な機能としています。
そして、この「会話」を根本としている「Microsoft Teams」には「秘書BOT」が搭載されています。これにより会議に参加する人や人数、必要な時間、場所、開催される日時などを「会話形式」で決定していくことが可能となっています。いつも会議に参加している人をAIが選別し、それらの人が会議に参加できる日時を各自の予定表から調整して判断して推奨してくれるのです。そうすることによって、個人それぞれに都合の良い時間を聞いて調整していくという作業を省くことができるのです。
また、さまざまなOfficeアプリケーションを「Microsoft Teams」上で一括管理できるだけでなく、ユーザーは複数のチームに参加して、それらをすばやく切り替えて作業をすることも可能になります。
この「Microsoft Teams」は今後Office365のベースになっていく機能と言えます。ここで新しいチームの情報を登録するとOffice365のグループも作成されるため、他のツールを利用したファイル共有や、ひとつのファイルを共同で編集するといったことも叶うようになります。

AIが社員の行動を管理して効率アップ

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2つ目のコンセプトは「インサイト」です。Office365の「MyAnalytics」は行われた会議や、それぞれが交わしているメールなどを分析し解析することで誰がどのような動き方をしているのか、誰と誰が頻繁に連絡を取り合っているのかを可視化してくれます。これによって誰を会議に参加させるべきか、誰とコラボレーションするべきかを提案してくれるのです。

AIが、会議に参加していた時間・メールのやり取りをしていた時間・残業していた時間などの配分をデータ化することで、自分が行っている作業を分析しやすくします。そして、AIがさらに効率を上げるためのアドバイスをしてくれます。こうした効率化は実際にこの「MyAnalytics」を利用している企業で実績を上げています。社員それぞれの会議やメールに費やす時間が週に約2時間ほど減少したのです。また、これらのデータは上司が部下を管理しやすくするためのものではありません。このデータをもとに部下を管理するというのではなく、個人個人が自分の作業を分析して効率を高めていくことを目的としているのです。

そして、2017年夏のアップデートで「MyAnalytics」から「Workplace Analytics」へと対象の範囲が広げられました。これにより、今まで個人単位で分析されていたデータが会社全体へと広がったのです。

また、「MyAnalytics」を利用して会議を効率化しているところでは「Surface Hub」のツールも利用している場合が多くあります。「Surface Hub」は会議に参加しているメンバーだけでなく、会議に参加していない外部のメンバーとも同時にネットワークを使って作業ができるというWindows 10搭載のデバイスです。これにより、その場で外部関係者とつなぐことが可能となるため、会議中に必要となった情報をスピーディに確認できるようになりました。

複数のセキュリティ対策機能を搭載

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この外部との連携に関連してくるのが3つ目のコンセプトでもある「セキュリティ」で、クラウド化が進む現状においてますます注目されています。保存しているデータが莫大になり、外部とのやり取りが活発になるにつれてセキュリティの重要性は増していきますが、マイクロソフトでは「リアルデバイスを利用した生体認証」「マルウェアの攻撃の可視化」「データセンターの複数化」などを活用することでセキュリティを高めています。これらの対策により、攻撃を受けた際でも素早くルーティングを切り替えるといった対応で大きなダウンタイム(システムの稼働停止時間)を発生させないということに成功しています。

また、蓄積されたデータから、メールをどれだけの量、誰と送受信したかというデータが読み取れます。そのデータと受けている攻撃の状況を考え合わせるとウイルスなどで攻撃されている人が特定できるのです。そうして、感染する可能性が高いと判断された人は設定をリセットしてパスワードを設定し直すか、多要素認証を行うまでは重要なファイルなどにつなげなくするという対応が取れるのです。このようにしてクラウド化と同時にセキュリティのレベルも高めているのです。

これからの展望について

そもそもAI(人工知能)は最近になっていきなり生み出されたものではありません。1950〜60年代にかけての第一次AIブーム、1980年代ごろの第二次AIブーム、そして2010年代に起きている第三次AIブームです。

これらのAIは、精度の高い学習機能を持たせることに成功したディープラーニング技術が確立した2000年代後半から急激に性能を向上させてきました。しかし、これだけでは本当に力を発揮することはできません。判断する材料としての膨大な量のビッグデータがあって、それらを組み合わせることで初めて性能が発揮されるのです。

Office365で使用されているAI機能を利用した「MyAnalytics」や「Office Delve」も今までに蓄積されたファイルや会話記録、予定表、会議記録など様々なデータがあってこそ機能しているのです。そして、それらの機能は「仕事の効率化」「働き方改革」を目標とすることではっきりと目に見える形として実現してきたのです。

つまり、本当の意味でAI機能を活用し働き方改革に活かすには、すべての作業をその場限りのものにせず、しっかりとしたデータを蓄積し、そのデータをふまえて具体的な目標を定めた上で、個人や企業が「どうしたいのか」「どうありたいのか」を考えていくことがもっとも重要なのです。

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