【後編】空き家を有効活用する時代へ! 仲介や転用を促進する施策の狙いと今後の展望 〜国土交通省 土地・建設産業局不動産業課〜

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増え続ける空き家やそれに伴う問題の対策として、国土交通省では2017年に新たに「空き家・空き地バンク」を創設し、全国に点在する空き家や空き地の情報を利活用希望者に紹介するサービスを開始しています。
また、国土交通省では2018年1月1日から「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」を改正し、400万円以下の空き家等の売買や交換においては媒介報酬(仲介手数料)額の上限を18万円に規定するなど、続々と空き家の利活用を推進する動きが加速しています。
後編では前編に引き続き、国土交通省 土地・建設産業局不動産業課の角谷大介課長補佐(写真右)、松村学課長補佐(写真中央)、多田恭亮情報整備係長(写真左)に詳しく話をお聞きしました。

不動産仲介手数料の上限規制緩和が空き家問題に与える影響とは

空き家バンク
Q:今年1月には媒介報酬額の上限の改正が行われましたが、その狙いを教えてください。

角谷:空き家の取引に関しては、個人間で行われるとトラブルが懸念されるため、不動産取引のプロである宅建業者が間に入り仲介することが望ましいです。空き家の場合、老朽化により修復などが必要になるケースもありますし、再建築ができないなど特殊な条件の物件について個人が買い手を探すことが難しいこともあるので、宅建業者が空き家の流通に果たす役割はとても重要です。

しかしながら、宅建業者が受け取ることのできる報酬の額は、取引価格に比例する体系であるため、低額な物件では媒介費用に見合った報酬が得られず、空き家取引の媒介が避けられる傾向にありました。例えば一軒家を100万円でいいから手放したいという売り主がいる場合、売り主から得られる報酬の上限は5%の5万円となりますが、取引に当たって行う必要がある現地調査に係る費用や交通費、広告費といった宅建業者が負担する諸経費は、5万円では足りず、赤字になってしまいます。このように空き家の流通に掛かるコストの負担を宅建業者だけが負う仕組みは、宅建業者にとって空き家の流通に取り組むインセンティブが十分に働かないものとなっていました。今回の報酬制度の見直しは、こういった空き家取引の媒介コストの適正化を図るためのものです。

Q:報酬額の改正が行われたことで、空き家問題にどのような効果が見込めるのでしょうか。

角谷:改正後は、これまで宅建業者が負担しなければならなかった空き家取引の媒介コストについて、費用を払ってでも空き家を手放したい売り主が負担することも可能になりました。400万円以下の物件の場合でも、宅建業者は上限18万円を報酬として受け取ることが可能になったため、「無料でも良いから空き家を売却したい」「コストは負担するから空き家を流通させてほしい」といったようなニーズに応じることができるようになります。

少子高齢化や2022年問題など空き家増加に関わる課題

Q:少子高齢化や2022年問題などにより、今後さらに空き家増加が加速すると予測されていますが。

角谷:空き家の問題は今まさに直面している問題だという認識でいるので、今すぐできることから対処していかなければならないと思っています。
「全国版空き家・空き地バンク」に関しても、試行運用を始めて、走りながら、自治体からも意見等をいただき、使い勝手の良いシステムを目指して改良を繰り返しています。

空き家流通の促進に関する今後の展望

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Q:空き家流通の促進に関して、今後の展望など教えてください。

角谷:空き家問題では、空き家の発生を未然に防ぐことも重要です。この観点からも、既存住宅の流通市場を活性化し、住宅の流動性を高める環境を整備していくことも重要だと考えています。既存住宅の適正な評価の促進に向けた環境整備として、建物状況調査(インスペクション)の結果等を宅建業者が説明する改正宅建業法が4月に施行され、また、一定の要件をクリアした住宅に「安心R住宅」の標章を付すことができる制度も開始します。

また、相続放棄があったり登記がされていなかったりして所有者が不明の空き家も問題になっています。空き家にかかる固定資産税の情報は空き家所有者を探す手掛かりになり得るものですが、従来はそうした情報を自治体の空き家対策部局と共有できませんでしたが「空き家等対策に関する特別措置法」により、空き家の所有者に関する情報を固定資産税部局と空き家対策部局で共有することが可能になったほか、所有者の同意を得て情報を宅建業者等外部に提供する際のガイドラインの策定・改訂も進めています。

このほか、現在、空き家対策に取り組む不動産団体等への支援事業を行っていますが、2017年度に得た課題を整理したうえで次年度も継続して進めていきたいと思います。そうした中で、例えば新技術を活用して空き家の流通に取り組む団体等の支援も検討していきたいと考えています。

Q:最後にひと言お願いします。

角谷:人によっては、空き家はやっかいなものでしかないかも知れませんが、一方で価値を見出して必要とする人も居ます。要らないと思う人から、空き家を使いたい、アイディアを活かして再生したいと思う人のもとへ渡っていく仕組みが必要であるし、そのような人たちを応援していきたいと思っています。

(プロフィール)
国土交通省
土地・建設産業局 不動産業課
課長補佐
角谷 大介
2016年より現職に着任。イクメン(2児の父)。

国土交通省
土地・建設産業局 不動産業課
課長補佐
松村 学
2016年より現職に着任。趣味はジョギング。

国土交通省
土地・建設産業局 不動産業課
情報整備係長
多田 恭亮
2017年より現職に着任。第一子誕生によりイクメンとして奮闘中。

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