待機児童が3年連続で増加! 隠れ待機児童をはじめとする現状とその対策

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国の待機児童解消加速化プランが2013年に策定されて以降、待機児童の解消を目指して様々な子ども・子育て支援の制度が実施されています。

しかし、いまだに「預けたいけど、預けられない」という、保育所に入れない待機児童は増加の一途を辿っているのが現状です。さらに、待機児童数にカウントされない隠れ待機児童の存在にも注目が集まっています。

そこで、今回は増え続ける待機児童と隠れ待機児童の現状とその対策について紹介していきます。

増え続ける待機児童

初めに、広義の意味で待機児童とは「子どもを保育所に預けたくて申し込んでいるけれど、許可されずに預けることができない子ども」と簡単に説明することができます。
2017年には、厚生労働省が「保育所等関連状況取りまとめ」にて、2017年4月1日時点の待機児童数は2万6081人で、2528人増加(前年同期比)したことを公表しました。 さらに、2015年の待機児童数は2万3167人だったことから、3年連続で待機児童が増加したということで国の政策がなかなか現状に追いついていない実態が明らかとなりました。

この背景には、以下の理由が挙げられます。

・結婚後も働き続ける女性就業者数が増えたことによる共働き世帯の増加
これは、景気の良くない状態が続いたことにより経済的に働かざるを得ない女性の増加や、昭和の時代には一般的だった「女性は家庭を守る」といった考え方が薄れたことによる女性の社会進出が進んだ結果と考えられます。

・都心部への人口集中に加え、核家族化の進行や周辺住民による保育所施設建設反対
2017年、厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」によると、東京都の待機児童は8586人(2017年4月1日時点)と公表されていて、2位の千葉県1787人のおよそ5倍近くの数の待機児童がいることがわかりました。
核家族世帯の割合が大きく、さらに騒音などを理由とした周辺住民による保育所の開設反対により、結果、都心部の待機児童数の顕著な増加傾向となっています。また、一方で都内でも待機児童数が0人という地域があることもわかっています。

・保育士の人材難
保育士の労働環境や給与は他職種と比較し厳しく、職場への定着率の低さが問題視されています。国が保育士の労働環境改善に向けて制度を整備し始めましたが、今後の継続的な対応が必要不可欠となっています。

隠れ待機児童の存在

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厚生労働省は待機児童の新しい定義を決め、厚生労働省では2018年度から適用、自治体によっては2017年4月の集計より適用が開始されました。この背景には待機児童にカウントされない隠れ待機児童の存在がありました。隠れ待機児童とは認可保育所に希望して入れなかったのに待機児童の対象に含まれない児童のことです。隠れ待機児童が知られるようになったのは、無視することができないほどに数が膨らんでしまったからだとされています。

2017年の厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」によると、待機児童数は全国で2万6081人(2017年4月1日時点)、それに対し隠れ待機児童は6万9224人で約2.7倍の規模にもなっています。

こうした隠れ待機児童数が多い原因として、「それぞれの自治体における待機児童に対する解釈の相違」が挙げられています。このため厚生労働省は、各自治体の待機児童に対する考え方のばらつきを抑えるために待機児童の新しい定義となる統一基準をつくったのです。

待機児童の新定義では、「育休中でも仕事に復帰する意思があれば待機児童として認める」とした一方で、「求職活動をしない、特定の保育所を希望している、自治体補助の保育所を利用している」といった場合は待機児童として認めないとすることが定められています。

しかし、この新定義の適用により、隠れ待機児童だった一部の事例が待機児童としてカウントされるようになりました。その結果、待機児童の数が増え、3年連続で待機児童数が増加した要因のひとつとして考えられています。

国の待機児童対策

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現在の待機児童の状況を改善するために、国は子ども・子育て支援に関する予算を1兆1495億円計上(2017年度予算)し、本腰を入れて待機児童問題に取り組んでいます。

具体的には、首相官邸が公表した「6つの支援パッケージ」の中で、待機児童対策については以下の項目を挙げています。

・保育の受け皿の拡大
2013年から実施している保育の受け皿拡大についての継続した取り組みです。賃借料が高い都心部の保育園に対する賃借料の一部補助や、幼稚園の児童の受け入れ年齢の引き下げなどを内容としています。

・保育の受け皿の拡大を支える保育人材の確保
労働環境や待遇が厳しく、離職率が高いとされる保育士人材を確保するための取り組みです。保育士の業務負担軽減や手当の改善、保育士自身の子どもの預かり支援などを内容としています。

・保育の受け皿拡大と車の両輪の「保育の質の確保」
保育の安全・安心の質を向上させるための取り組みです。認可外施設で起きた事故の報告や積極的な情報開示、保育園などの児童による事故を未然に防ぐための対策などを内容としています。

そのほか、「6つの支援パッケージ」には、保護者への「寄り添う支援」の普及促進、持続可能な保育制度の確立、保育と連携した「働き方改革」といった項目もあります。

このように、待機児童問題の現状を打破するために国では様々な施策を計画し、実施に取り組んでいます。今後、こうした施策がそれぞれの自治体にまで浸透し、その地域に住む子育て世帯が安心して子どもを預けられる環境の整備がどれくらい進むのかに注目です。

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